雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

今日のことば(4)  「嘘」(1) 

2024-04-14 06:30:00 | 今日のことば

 今日のことば(4)  「嘘」(1)

 嘘の誘惑に対して

  何気なくついてしまう嘘。

   責められるのが嫌で
   馬鹿にされるのが嫌で
   除け者になるのが嫌で
   愛想をつかされるのが嫌で
   誉められたい一心で
   認められたい一心で
   立場を守りたい一心で
   つい、言ってしまう嘘
   ないものをあるがごとく、やったことをやらなかったごとく
   吹聴したり、隠したりする。
   恐怖心からの嘘
   虚栄心からの嘘
   投機心からの嘘
   嘘は、何気ないものであっても
   最も恐ろしい誘惑の一つでしょう。
        (新祈りのみち 至高の対話のために 高橋佳子)
著者・高橋佳子氏について私は知らない。
 引用した「ことば」は800ページ以上もある単行本のなかから引用した。
巻末のプロフィールによると、幼少のころより、人間は肉体だけでなく、目に見えないもう一人の自分――魂からなる存在であることを体験し、「人は何のために生まれてきたのか」「本当の生き方とはどのようなものか」という疑問探究へと誘われる。現在68歳。
 哲学者、宗教者、霊感の強い人などそのどれにも属するような雰囲気があるけれど、
一定の枠におさまり切れない人のように思う。

  何気なくついてしまう「嘘」は、人間の感性の「最も恐ろしい誘惑」の一つでしょう、
と読者に投げかける。窮地に陥ったとき、何とかそこから逃れたいという思いで「嘘」をつく。
一度ついた嘘に、これをカバーするためにまた嘘をつく。
嘘のスパイラルに陥ってしまえば、取り返しのつかない人生の破滅が待っている。
 嘘によって窮地を脱出したように思えても、嘘はもつれた糸をほぐすようにほころび、
心の傷口を大きくしてしまう。
 
多くの政治家が、嘘の轍(わだち)に足をとられ政治生命を絶たれるのを見てきた。
「記憶にございません」ということばに託された「嘘」。
「嘘をついているのではありません。記憶にないのです」という大ウソ。
人間として恥ずべき行為で政治姿勢を問われ、倫理観を問われているのに、
「記憶にない」と、人間として政治家として絶対に忘れてはならないことに記憶は味方しない。
都合の悪いことを忘却の彼方に追いやるほど、人間の心は便利にできていない。
 嘘をついてでも、
名誉と地位を守りたいと何ともあさましい人間の自己防衛本能だ。
「嘘の誘惑に負ければ、破滅が口を開けて待っている」


♪せめて一夜の夢と 泣いて泣き明かして 
 自分の言葉に嘘は つくまい人を裏切るまい
 生きてゆきたい 遠くで汽笛を聴きながら♪
              
(アリス 「遠くで汽笛を聴きながら」)

  嘘をついたら楽になれるのに、悔し涙かもしれない辛い涙を流して
若者は「嘘はつくまい 人を裏切るまい」と、青春の荒野をさまよう。
嘘の誘惑に負けない青春の旅立ちを謳う名曲である。

 (今日のことば№4)             (2024.3.13記)

コメント
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