雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

海に消えた対馬丸 学童疎開船の悲劇 ⑧ 沈んでゆく疎開船

2023-08-20 06:30:00 | ニュースの声

海に消えた対馬丸 学童疎開船の悲劇 ⑧沈んでゆく疎開船
 わずか12分で対馬丸は、悪石島海域の海底に沈んだ。1944年8月22日22時23分ごろ。
海水は冷たく、すさまじい水圧がかかってきた。
沈んでいく対馬丸に伴って、大きな渦が起こり、体が激しい勢いで回転し始めた。
「船が沈没したらなるべく早く船から遠くに逃げろ」と、
疎開船の不安を煽るような注意はされなかった。
ただただ大人たちの「逃げろ!
」という叫びに、
子どもたちは船倉から狭い階段を、甲板にに向かって必死で登って行った。
傾いた甲板に出て、「海に飛び込め!」という大人たちの声に、
暗い海面を見てしり込みする児童もいる。
恐怖にすくみ、甲板に座り込んでしまう児童は、
大人たちに抱きかかえられ、暗くうねる海に放り込まれた。

 闇の世界に埋もれながら、意識が遠のいていく。
……どれほどの時間が経過したのか、
自分の体が仰向けに浮いているのに気付いた。
船は跡形もなく、
海面には小さな渦がところどころにできている。
対馬丸沈没の名残の渦だ。
周囲を見回した。
海面は浮遊物に満ちていて、孟宗竹、ドア、木片、畳などに交じって
救命衣をつけている人の体も浮いていた。
傍らの体に触れてみた。
が、その体には頭部がなく、改めて周囲の人々の体を見つめなおしてみると、
救命衣をつけた死体ばかりであった。
と、作家・吉村昭は対馬丸事件を扱った「他人の城」の中で表現しています。
沈没する船の引き起こす渦に巻き込まれ、
海底に引きずり込まれ溺死したのでしょう。

 船の爆風で救命ボートは転覆し、
生存者は台風襲来の中、孟宗竹で編んだ筏で漂流しながら救助を待った。
漂流は、風雨、三角波、真水への渇望、周辺を泳ぐフカへの恐怖、
錯覚や幻聴との戦いでもあった。
           対馬丸沈没 語り部の平良恵子さんが29日、88歳で死去されました。
             疎開船「対馬丸」の生存者で、語り部として長年活躍されていました。
             9歳だった1944年8月、国の疎開方針に伴い沖縄から長崎に向かうため乗船した
             対馬丸が米潜水艦の攻撃を受けて沈没。平良さんは筏で6日間漂流した後、流れ
                着いた無人島で救出された。沈没事件には箝口令(かんこうれい)が引かれ戦後になっ
                                               ても語れない生存者がいるなか、平良さんは早くから語り部として体験を伝え                                                   る活動をした。(朝日新聞2023.7.31記事を要約)
                                                                                                                        (つづく)

                          (語り継ぐ戦争の証言№32)  (2023.8.19記)

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ニュースの声(23)  俳優 佐野史郎さんのつぶやき

2023-02-15 06:30:00 | ニュースの声

ニュースの声(23)  俳優 佐野史郎さんのつぶやき
  多発性骨髄腫を経験した(2023.02.04朝日新聞・がんとともに)
                       4日は『世界対がんデー(World Cancer Day)
                       2人に1人がかかる時代と言われている。一人一人が、
                       がんに対する意識を高め、行動を起こすことを目的に
                       世界各地で取り組みが行われる。新薬が開発され、医
                       学の進歩があっても、がん対策の基本的姿勢は「早期
                       発見」「早期治療」だ。世界中で人々ががんのために
                       一緒にできることを考え、約束を取り交わし行動を起こ
                       す日。それがワールドキャンサーデーです。

権力者は、「幸せであることは、経済的に満たされることだ」とという物語を作り、
      多くの人々がそのルールー信じているんですよね」
    でもそれは違う、と佐野史郎さんは言う。
   血液のがんの一つ『多発性骨髄腫』の告知を受けた時彼は言った。
   「どうしたらいいんですかね?」。
   難病と言われるがんを宣告され、ショックをうけたり、おろおろしたりという心の葛藤はなかった。
   告知を冷静に受け止めた彼は、自分が罹患したがんに、
   どう向き合ったらいいのか、自分らしく生きていくのに、
   「どうしたらいいんだ」と、これから先の俳優としての人生行路に思いを巡らせる。
   「冷静に考えれば、存在しているという意味では、虫や微生物などの他の生き物と同じだと思う」
   (その時が来れば)命が尽き、姿がなくなっていく。
   そう考えると、別に人間の死だけ、自らの死だけを中心に捉えて、
   「気の毒」とか「かわいそう」とか「特別悲しい」とは思わないで済みます。
   喜怒哀楽を超えた、ある意味達観した佐野史郎さんですが、
   (手術が済んで)高熱と剣山で刺されるような痛みが続いたとき、
  「もうだめかな、帰りたい―」
  たった一晩、弱音を吐いた夜。でも、
  「乗り越えなきゃ」、「まだまだ」
  弱音を吐いた自分を叱咤するようにつぶやいた。
  経過観察を受けながら、少しづつ仕事を再開し始めたが、
  再びがんになることへの恐れはあるが、
  いたずらに悲観的にならない。根拠のない期待も持たない。
  この地球の中で、「人間だけが特別な存在ではな」く、
  生きとし生けるものすべての生き物が、その時を迎えて『命』を全うする。
  そう考えることで、困難を乗り越え、救われることがある、と言われているような気がする。

     (ニュースの声№23)         (2023.02.13記)
  


                     

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ニュースの声(22) 性暴力 他

2023-02-03 06:30:00 | ニュースの声

ニュースの声(22) 性暴力 他
 ① 性暴力 示談協議進まず
      陸自元隊員らを提訴 (朝日新聞2023.01.31)
   国と加害者元隊員5人を提訴。元自衛官のIさん
実名で被害を告発。
     性暴力の被害は多くの場合、泣き寝入りで終わってしまうケースが多いが、
       消して泣き寝入りはしないという決意に敬意を表します。
     損害賠償訴訟についてのIさんの会見での
コメント。
    「できることなら戦う選択をしたくなかったが、(元隊員等は)反省していないと感じた。
    ハラスメントの根絶は不可能なんじゃないかと思った」
     「震災で自衛隊の方々に助けてもらったので、自衛隊への感謝は忘れないし、今でも好き。
    好きな自衛隊を辞めざるを得ず、たくさんのものを失っているので、
    その責任をしっかりと取っていただきたい」 
     希望に燃えて入隊した自衛隊で彼女が経験した辛いセクハラは、
    何事にも代えがたいたくさんのものを奪ってしまった。
    社会人としてスタートした憧れの職場で、「人々の役に立ちたい」という彼女の夢だけでなく、
    生きる力さえも奪いかねない卑劣な行為だったことを、加害者の5人の元隊員は自覚し、
    Iさんに謝罪すべきだ。
    「一人一人が大切にされて、正しい正義感を持っ隊員や組織になってほしい。
    オープンにして真実を明らかにしたい」
    
② 戦争の記憶 今も夜が怖い (朝日新聞2023.01.30) シリーズ ー人生の贈り物ー
  建築家 原 広司氏 少年時代の戦争
   1944(昭和17)年
ごろには上級生は集団疎開でいなくなった川崎。
   この時、原氏小学2年生。
    食糧の配給事情は逼迫し、大豆の油を搾り取ったカスとか、最後はクマザサの葉と茎とか。
    ちょうちん行列が行われ、出征する人を見送る。
    みんな「立派に死んできます」とか言ってね。
   
   兵隊になりたいなんて全く思わなかった。
   夜は空襲で、ほとんど防空壕。
   戦争に行きたくないし、死にたくもない。
   だから夜が怖いんです。
       現在87歳になっても、夜が怖いという原氏の記憶に焼き付けられた戦時下の
      様々な出来事がトラウマとなってよみがえってくるのでしょう。
       お腹をすかした育ち盛りの少年にとって、食べるものへの希求はきっと今でも
      よみがえってくるのでしょう。
      私の母などもよく戦時下の食糧難の時代を振り返り、
      ひもじい思いを後年になって語ってくれました。
      あの時代の少年たちの夢は、「立派な兵隊さんになる」ことだったようですが、
      「兵隊になりたいなんて全く思わなかった」と、
      当時の少年には珍しい「精神の自立」を持った少年だったのでしょう。
      少年の目を通して見た戦時の、
      当時としてはちょっと危ない(危険な)考えを持っていた少年だったのでしょう。
      原少年はちょうちん行列の群れの中で、ただ一人裸の王様を見つめられた少年だった。
               
            原 広司について
                
1936年生まれ。建築家。
                札幌ドーム、大阪梅田のスカイビル、JR京都駅ビルの設計。
                日本建築学会賞、野村藤吾賞など受賞。

(ニュースの声№22)      (2023.01.02記)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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北海道旭川いじめ凍死事件 ⑤ 責任逃れの隠蔽がなされないように…

2022-12-01 06:30:00 | ニュースの声

北海道旭川いじめ凍死事件 ⑤ 責任逃れの隠蔽がなされないように…
 何もしなかった学校・旭川市教委
  爽彩さんが川に飛び込み、それに至るいじめの数々の事例に精神的に重大なダメージを受け入院
  したにもかかわらず、学校はいじめ対策を組織で検討することを怠った。
  同じように市教委も、2019年6月26日には母親から、性的いじめや川に張らざるを得なくなった自
  殺行為の報告を受けながら、このことを重大事態として認識していれば、学校に対し強く指導する
  ことを怠った。
   市教委の要請にしたがわずに放置した学校も、的確に指導できなかった市教委もその責任は重
  い。市教委や学校がいじめに対する法やガイドラインの規定を認識していなかったことが、
  今度のいじめ凍死事件を悲惨な結果に終わらせてしまったと言っても過言ではない。
   市教委のいじめや人権に対する主体性と自信のなさが根幹にある。
  合わせて、学校や教育委員会という組織の閉鎖性が、
  保身と隠蔽という現象を招いてしまったのではないか。

 最終報告に対する遺族側の見解
   最終報告で第三者委員会は、
  1.『母親から本件生徒に性的な被害を思い出させないため、
  学校が本件生徒に事件のことを聞かないよう要望があった』
  2.『本件がいじめと認定された場合、本件生徒への影響(本件が重大事態として対処されることで、
  より広い範囲にわたって事件のことが知られるようになり、本件生徒がより大きな精神的苦痛を感
  じることになる可能性があること等)が懸念された』

   こうした記述は問題のすり替えであり、いじめに関する法律やガイドラインの専門性の乏しいこ
  とが原因であると厳しく糾弾することが望ましい。

  1.2に関する遺族側書見書は、
   『第三者委は、「いじめ」として指導すると、加害者の心理に萎縮的効果を与えるとして指導すべ
   き場面を限定する必要があると主張する。
    しかし、このような考え方こそ、教員の指導を委縮させ、「いじめ」の早期発見、
   早期対応という理念を踏みにじるもの。加害者を守ろうとするゆがんだ考え方である』
    さらに、
   『本件調査は誤ったいじめ定義の解釈、すなわち根拠のない縮小解釈、
   限定解釈によってゆがめられたものであり、
   このような調査結果を受け入れることはできない。
   いじめ防止対策推進法の定義に基づく「いじめ」認定を求める
』、
   と主張している。

   性的被害を受けた後、爽彩さんは希死念慮を抱くようになり、
       (
このことが「川に入る」ことにつながっていくのだが)
  性的虐待は心理的にもいちじるしく強いストレスであり、
  心理的外傷後ストレス障害【PTSD】をおこるおそれがあると、
  主治医の確定診断があるにもかかわらず、爽彩さんの死に至る精神的苦痛を検討することなく、
  
第三者委はこのことを無視し、死亡に至る経緯の検証から除外している。
  第三者委は、かたくなに「いじめ」認定を回避して、爽彩さんの自責感、自己嫌悪感が原因である
  と主張しているように見える。

今津旭川市長
   遺族が報告書を不服とし再調査を求めていることから、
  「事態の真相解明には更なる検証の必要性を感じ、遺族の思いに応えるべく、真実を明らかにする」
  ことを表明し、いじめ防止対策推進法第30条第2項に基づき、「市長直属の再調査」をおこなうとし、
  第三者委員会の人件費等の補正予算案と条例改正案を市議会に提出。

「いじめ」の定義の変遷
  時代によって、人の考え方や行動は変化していきます。
 それにつれて私たちの生活環境も変化していきます。
 同時に子どもたちの「いじめ」の内容も変化していきます。
 同じように「いじめ」の定義も少しずつ変わっていきますが、定義の根底にある「いじめ」が
 「不特定多数の児童」が関係する問題であるという認識に変更はありません。

 昭和61年の「いじめ」の定義
     ① 
自分より弱い者に対して一方的に、
       ②  身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、
            ③  相手が深刻な苦痛を感じているもので、
            ④  学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもので
       起こった場所は学校の内外を問わないものとする。

            ここで重要なことは、心理的攻撃だけでなく、たとえば、心理的攻撃も「いじめ」とみなすこ
      と、例えば通学路や自宅、インターネット上で起きたものも、すべて含まれます。
           しかし、
学校が事実を確認しない限りはいじめだとは判断されませんでした。
                   
これによって、いじめが表面化しにくく、いじめられている児童生徒の訴えが取り下げられてし
                   まうこともありました。
                   ④の文言は平成6年度では
削除され次のように改正されました。

 平成6年度のいじめ定義の改善点 
    「学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの」が削除され、
    
「個々の行為がいじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、
    いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと」が追加されたが、
     いじめかどうかの判断を学校主体で行っていたものから、
    あくまでいじめを受けている子どもに寄り添って判断するように変化しました。

     後段の文言は少しわかりずらい、第三者(学校側)が見ていじめと判断するような事例が起きて
    も、いじめられている子どもが、「やり返したり」「いじめと思いたくない」というような気持ち
    があったら、これは「いじめではなく、悪ふざけのたぐい」と判断されてしまうことです。
    実際にあった事例ですが、「いじめと認定」せずに、「悪ふざけ」にして、いじめ問題に封印して
    しまう事例がありました。表ざたにしたくない、という学校側の意思が問題になります。

平成18年度のいじめ定義の改善点
    いじめの定義から「一方的に」「継続的に」「深刻な」といった文言が削除され、
    以下のような定義に改善されました。
 そして現在では次のように定義されています。

  「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係の
  ある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるもの
  も含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」
                             (いじめ定義の変遷・文部科学省より引用)
   まとめてみると、
    
被害者・加害者の間に一定の人間関係があって、
     被害者が苦痛を感じているものであれば、いじめだと認定される、ということです。
          いじめの内容が広範囲にわたり、「被害者が苦痛を感じている」事例は、
    いじめと認定しなければならないと
いうことです。
    起こった場所も、「学校の内外を問わず」という文言も大切な定義です。

   最後に
      北
海道旭川いじめ凍死事件に関する新第三者委員会の調査が適切になされ、
             
大人の当事者の思惑で、いじめが隠蔽され命の尊厳が侵されるようなことが二度と起きないよう
              に、遺族の悲しみに鞭打つような、痛ましい事故が起きない教訓となる調査報告を望んでやみませ
             ん。
                                          (おわり)

          (ニュースの声№21)       (2022.11.30記)
    


   


 

 

 

 

 

 

 

 

 

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北海道旭川いじめ凍死事件 ④ あなたは私になにをしてくれたの?

2022-10-18 06:30:00 | ニュースの声

北海道いじめ凍死事件 ④ あなたは私になにをしてくれたの?

  北海道教育委員会はいじめと認知し、謝罪と今後の対応について、
 双方の保護者の共通理解を図るなどの必要があると、市教委を指導するとした。
 だが、市教委も学校もいじめそのものを否定的に見て、解決への行動を起こさなかった。
 こうした行為の裏には、不祥事を認めたくない、わが身かわいさの考え方は、
 隠蔽行為へと進んで行ってしまう。
  なんどもいうようだが、そこに存在するのは教育理念のない自己保身と、
 学校運営のことなかれ主義である。具体的な例をあげよう。

  爽彩さんがなくなったとき、転校先のX中学校では、
 体育館に全校生徒を集め、「命の大切さを訴える会」が開き、校長は爽彩さんが痛ましい最期を遂げ
 たことを報告し、命の大切さを説いている。爽彩さんがウッペツ川に飛び込んだ事件以来、
 爽彩さんが精神的に大きなダメージを受け、転校した学校だ。爽彩さんは事件後、家に引きこもり学校
 にも行けない状態が続き、長期入院を余儀なくされた。
  
  葬儀の日には、X中学校の校長や担任、そして小学校の同級生、
 X中学校のクラスメートたちが参列しました。
 その一方で、爽彩さんが2019年4月の入学時から、9月まで在籍したY中学校の関係者は誰一人参加して
 いない、と報道は伝える。
(ただし、Y中学校の関係者は葬儀への参列を希望したが、遺族側がこれを拒否
 したかどうかはわからない)
  Y中学校の不誠実な対応は次のような記事にも表れている。
  爽彩さんの長期入院などがあり、母親は看病疲れもあり、学校側との話し合いに、
  弁護士を代理人とすることを申し出ると、学校の強い反対にあう。
  「弁護士が一緒では話すことはができない」
  と態度を硬化させる。母親は仕方なく、一人で話し合いの場に臨むことになった。
        「(性的内容の)画像の拡散は、校内で起きたことではないので、学校としては責任を負えない」
  「加害生徒にも未来がある」(親族の話)
  あろうことか教頭の発言である。この論法でいえば、爽彩さんが公園で集団いじめにあったことも、
  川に飛び込まざるを得なくなったことも、すべてY中学校の責任ではなくなってしまう。
   我が子のために何んとか解決策を見もい出そうとする母の藁をもつかみたい気持ちを、
  足蹴にするような発言であり、自己保身の何ものでもない考えに、憤りを感じる。
  確かに、加害生徒の中にはY中学校以外の生徒も存在したが、
  かといって自分の学校に在籍する生徒が屈辱的ないじめに遭い大変な精神的打撃を受けているのに、
  「責任を負えない」と、信じられない発言だ。
   
   2021年4月爽彩さんの当時の担任と報道記者とのインタビューがある。
   爽彩さんの母親からいじめの相談があったと思うのですが、適切に対応されましたか?
   「学校でのことは個人情報なのでお話しすることができません」
   なぜ、謝罪の会に先生は立ち会わなかったのですか?
   「学校でのことは個人情報なのでお話しすることができません」
   爽彩さんにお悔やみの言葉はありますか?
   「すみませんが、私からお話しすることはできません」

   あさましい、人間性や愛情のひとかけらもないような、どこか他人事のような対応に
   こんな担任に救いを求めた生徒の悲痛な叫びが聞こえてくる。
   「あなたは私に何をしてくれたの」と。

                                 (つづく)

      (ニュースの声№20)       (2022.10.17記)

 

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北海道旭川いじめ凍死事件 ③ 六つのいじめ認定と学校、教育委員会の対応の悪さ

2022-10-11 06:30:00 | ニュースの声

旭川いじめ凍死事件 ③ 六つのいじめ認定と学校、教育委員会の対応の悪さ
 第三者委員会による報告書で認定された「いじめ」概要
  いじめ認定
   ① 上級生A、B、CによるLINE等による繰り返し行われた性的なやり取り。
   ② 上級生A、B、Cが、深夜ないし未明に被害生徒を含めて公園に集まろうという趣旨の会話
     をLINEで行っていたこと。
   ③ 上級生Dが強要による御菓子等の代金を繰り返し負担させられていたこと。
   ④ 上級生Eが、LINEで性的な話題を長時間にわたって続け、被害生徒の性的な動画を送付すること
     を長時間にわたって強要したこと。
   ⑤ 上級生C、D、E、F、Gが被害生徒に対して性的内容の会話を行い、被害生徒に性的行為の実行を
     繰り返し求めた。強要された一連の行為を5名は静観していた。
   ⑥ 上級生Eが被害生徒をからかい(あおり行動)、パニック状態になった被害生徒に対して、上級生D
     
が突き放すような不適切な発言をしたこと。
  以上が北海道新聞が、第三者委員会の報告書を見聞してまとめた「いじめ認定」の概要です。
  認定された六項目であるが、非常にわかりずらく、ブログの読者にとっては、「いじめの実態」
  の真実が伝わりずらい面があるかと思う。亡くなったとはいえ被害者が未成年であり、性的内容を含む
  いじめの内容を具体的に記述できない控える配慮がある事をご理解いただきたい。

いじめの定義について
文科省によるいじめの定義が明確化されたのは昭和61年度(1986)からでした。

      1.自分より弱い者に対して一方的に、
      2.身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、
                      3.相手が深刻な苦痛を感じているもので、
      4.学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの。

     この時の問題点は、4.の学校が1~3までの事実を確認していなければ、いじめだとは判断されないという
      大問題が含まれていました。
              1~3までの項目を挙げながら最後の項目で、いじめ問題が、
       学校側の隠蔽退出を助長することになってしまいました。
               いじめを認めることは「担任の面子」に関わる事であり、上司(学校長)の経歴を傷つける
    ことになってしまうから、いじめについては『見ざる聞かざる言わざる』の対応になってしまった
    経緯があります。
     この定義は、平成6年度(1994)には、大筋では前述と変わりませんが、
    次のように改善されました。
     1.「学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの」が削除され、
     2.「個々の行為がいじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、
      いじめられた児童生徒の立場に立って、行うこと」が追加された。
    大きな進歩は、いじめの判断を学校に丸投げするのではなく、あくまでいじめを受けている子供に
   寄り添って子ども主体で、わかりやすく言えば、子どもの気持ちになって判断するというように、
   進歩しました。
    いじめの定義は、次代に添って改善していきますが、それは後述します。
   今回の事件は、学校や市教が称は61年度に明文化された定義の、
   『学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの』という項目に、
   結果として拘泥してしまったための、不幸と考えられます。

  Business  Journal 2021.08.19付のウェブニュース 
     今度の「旭川いじめ凍死事件」における学校の対応はまさにこのことに該当していると思いま
    す。信じられない発言が、当時の教頭からありました。
    加害生徒に囲まれ、ウッペツ川に飛び込んだ事件の後、爽彩の携帯電話に、
    いじめを受けていることを示す履歴があることを学校に知らせ」(手記より)たものの、
    学校の教頭から信じられないような言葉を浴びせられたという。

    「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。
    10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。
    どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみてください」

    学校や市教委の対応については、母親の手記は次のように述べています。
    

   「いじめの認知には至らなかった、などと繰り返し主張しています。教育委員会の態度は、
   『いじめ』をもみ消そうとしているようにさえ見えます」

    上記、赤字の部分はBusiness  Journal 2021.08.19付のウェブニュースです。

  朝日新聞2021.11.07付の記事
      インタビューに応じて次のような母親の発言があります。
   
      「学校からは『法に触れるようなことだが、いじめではない』と言われた」

      ウッペツ川に飛び込んだ事件。
      広瀬(爽彩)さんは、19年4月中旬、他の生徒らに求められて自身の画像をLINEで送った。
      その後も
同様なことがあり、母親は「画像はあまりにもひどいものだった」と言い、
      道警や学校に相談。
      「学校からは悪ふざけだとか、いたずらの度が過ぎたものだとか言われた。
      最後には、法に触れるよ
うなことだが、いじめではないと言われた」
      「法に触れることだが、いじめではない」とは、どういうことなのか、
      少年とは言え触法犯が学校内にいるというのに、
      学校はいじめではないと、理不尽な姿勢を崩さない。

      市教委の報告を受けた道教委は、同年10月3日付の文書で、
      「客観的に見ていじめが疑われる状況。川に入った際、
      『死にたい』と繰り返し訴えていることから
      『心身の苦痛の苦痛を感じている』ことが考えられる」と指摘。
      いじめと認知し、謝罪と今後の対応について、
      双方の保護者の共通理解を図るなどの必要があると、市教委を指導するとした。
                                  (つづく)
   
(ニュースの声№19)      (2022.10.10記)

 

 

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北海道 旭川いじめ凍死事件 ②

2022-09-29 06:30:00 | ニュースの声

北海道 旭川いじめ凍死事件 ②
  旭川中二いじめ 第三者委員会による最終報告書について
      
最終報告書に触れる前に、①で示した概要のもう少し詳しい事件の内容を
      お知らせします。

   
   2021年2月⒔日夕刻、母親が外出した際に家を出ていって行方不明になった。
   家を出る直前に爽彩(さあや)さんは複数の友人にLINEでメッセージを送っていた。
   『今日死のうと思う 今まで怖くてさ 何もできなかった ごめんね』
   メッセージを受けた友人の一人が、警察に通報し、母親は娘の疾走を知ることになる。
   北海道旭川市の2月は寒く当夜の気温は零下17度にもなり、
   外出時の服装が薄着だっことから安否が気遣われていた。
   失踪から19日が経ち一向に行方はわからず、その痕跡さえつかめず捜査は手詰まりとなり、
   旭川警察は3月4日、公開捜査に踏み切った。
   母親は懸賞金まで掛けて、一人娘の爽彩の無事を祈った。
   悲報が母親の元に届いたのは、3月23日の午後2時半。
   失踪から38日が経っていた。
        旭川の春は遅い。積雪の多い町は雪が解けずに根雪となって残る。
        それでも遅い春の兆しは、積もった雪を徐々に溶かしていく。
        やがて春が訪れれば、公園は雪解けを待っていた子どもたちの遊び場になっていく。
                             解けた雪の下から爽彩さんの体の一部分が姿を現したのを
        公園近くの住民が発見した。
        爽彩さんは凍り付いたままもの言わぬ遺体となっていた。

      「安置所で遺体を見たら、間違いなくあの子だったんです。
    娘は凍っていました。私は何度も娘に謝りました」 後日、取材に応じた母親の言葉である。

   2019年4月、爽彩さんは北海道旭川市立の中学校に入学。
   大人になる過程でくぐる門は、
   たくさんの夢と少しの不安を抱えた少年少女たちの学び舎であるはずだった。
   だが、爽彩さんへのいじめは入学間もない4月から始まった。
   爽彩さんの顔は日を追うごとに暗くなり、顔つきが変わり、笑顔が消えてしまった。
   異常な様子に母親は何度も、「娘はいじめられているのではないか」と相談した。
   4月に1回、5月に2回、6月に1回の担任への相談は、母親の心配とは裏腹に
   とても真剣に考え、対処しているとは思えない言葉が返ってくる。

   「あの子たちおバカだから、いじめなどないですよ」
   「今日は彼氏とデートなので、相談は明日でもいいですか」(親族の話)
   「いじめありますよね?調べてください」との母親の電話に、
   早い時にはその日の午後や次の日に担任から連絡がくる。
   「本当に仲のいい友達です。親友です」
   母親の心配とは、具体的な根拠も説明せずに、熱意のない言葉が担任から帰ってくる。

   報道によれば、いじめは徐々にエスカレートしていったようです。
   母親が担任に相談した時点で、適切な対応をしていれば、
   爽彩さんは、命を落とさずに済んだと思われ、
   学校、教育委員会等の無責任な対応に激しい憤りを覚えます。

   6月15日に爽彩さんは、公園に呼び出され、
   自慰行為を数人のグループが見ているところで強要される。
   グループのいじめはさらにエスカレートしていき、自尊心を壊された爽彩さんは、
   更なる犯罪行為と思える様ないじめに遭い、自殺未遂を計ることになる。
   「死ぬ気もねぇのに死ぬとか言うなよ」
   と爽彩さんを煽ります。
   爽彩さんは10人近くに囲まれ孤立無援の状況の中、4㍍の高さの土手を降りて、
   川へ飛び込み、警察の出動となりました。
   地元の情報誌「メディアあさひかわ」はこの事件を次のように報道しています。
   自身の不適切な写真や動画を男子生徒によってSNSに拡散されたことを知った女子生徒が
   精神的に追い詰められ、橋から飛び降りて自殺未遂を図った。  

   この事件後、爽彩さんは一連のいじめによるPTSDで苦しみ、2021年2月13日失踪し、
   3月23日凍り付いた変わり果てた姿で発見された。
   これが〈いじめ凍死事件〉の概要です。
   凄惨ないじめの内容にまで触れた報道もありましたが、
   爽彩さんが受けた心の傷を思うと、私にはこれ以上の詳細を書くことはできませんでした。

   死亡した経緯について、
   市の第三者委員会がおよそ1年4ヵ月にわたって調査してきました。
   20日に公表された調査の最終報告書は、2022年4月に出された中間報告と変わらず、
   新たな展開は認められず、6項目を「いじめ」と認定するにとどめている。
   最終報告書に新たに盛り込まれたのは、学校や教育委員会の対応についての見解だけでした。
   

   遺族はこの最終報告書を不服として、再調査を求める事項を発表している。
   〈1〉いじめ防止対策推進法第2条に基ずく、爽彩さんにたいする「いじめ」に関する調査検証。
   〈2〉「いじめ」と自死との関連性の調査検証。
   〈3〉「いじめ」に対する学校及び教育委員会の対応に関する調査検証。
    等を要求しています。
                        (つづく
)
   
    (ニュースの声№18)            (2022.9.28記)


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北海道 旭川いじめ凍死事件 ①

2022-09-22 06:30:00 | ニュースの声

北海道 旭川いじめ凍死事件 ①
  
 旭川市の公園で昨年、中学2年の女子生徒が凍死した問題で、
  生徒へのいじめや、
  学校の対応などを調べた第三者委員会が設置主体の市教委に最終報告書を提出した。
  
旭川市教委は17日、第三者委員会の最終報告書の概要版を20日に公表する方針を決めた。
  黒蕨真一教育長が同日午前の市議会本会議で説明す、
  市教委と第三者委の記者会見は同日以降に行う予定。
  18日の記者会見で公表の予定だったが、文言の修正などに時間を要しているとして、
  20日の市議会で教育長の説明後、
  今津寛介市長が再調査のため市長直属の第三者委を設置する方針を表明する予定である。
  
   事件の始まりから3年以上も過ぎているのに、随分のんびりした話である。
  今の第三者委員会の構成員は、一回目委員会の構成員に事件関係者がいたために再編成された
  委員会だ。しかも、二回目のメンバーにも問題があり、一部入れ替えになった経緯がある。
  また、約束の期日に報告書ができず、発表の延期迄している。
       そして、20日第三者委員会から報告書が発表になった。
  要旨であるが報告書をよんで、
  やっぱり問題ありの報告書で遺族が再調査を希望しても仕方のない内容だ。

  旭川今津寛介市長は、この報告書に関して市議会本会議で、
  「議会の真相解明には更なる検証の必要性を感じ、遺族の思いに応えるべく、真相を明らかにする」
  と述べ、市長直属の再調査を行うと答弁している。

  今回は、このいじめ凍死事件をよく知らない人のために、
  以下に概要を述べ、次回から報告書の内容について私の思うところを述べようと思います。

  
 事件の概要
     事件は3年5カ月前にさかのぼる。
    中学2年女子生徒は、2019年4月北海道旭川市立北西中学校入学。
    まもなく同校の男女生徒によるいじめが始まった。
    とても陰湿で耐えられないような性的な内容を含む集団のいじめが続いた。
    いじめはエスカレートしていく。
    
2019年6月22日、女生徒はいじめグループ(十数名の男女生徒)囲まれ、
    自殺を教唆するような、「死ぬ気もないくせに…」などと煽(あお)り言葉を浴びせられ、
    孤立無援の中で、「死ぬから画像を消して」とウッペツ川に飛び込み警察が出動する。

     いじめ事件が公になる概要です。
    だが、いじめグループの事情聴取では、
             「母親の虐待が原因で飛び込み自殺未遂をした」と説明する。
               聴取された全員が同様な説明をしたとなれば、
          この説明は単なる嘘というよりは、悪質な口裏合わせであり、
    深堀すれば、関係児童の大人が説明内容を教唆したのではないかと疑いたくなってくる。
    この説明が嘘というよりは、
    悪質な捏造であることは警察の被害者のLINEの復元ではっきりして、
    いじめの実態が判明してくる。
                               (つづく)
   (ニュースの声№17)      (2022.9.21記)

 

 

 

 

 


    
   

   


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ニュースの声(16) 北方領土 ビザなし渡航合意破棄

2022-09-13 06:30:00 | ニュースの声

ニュースの声(16)  北方領土 ビザなし渡航合意破棄
  ロシア、強硬姿勢強める (朝日新聞2022.9.7)

      2022年2月25日 。ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が始まった日だ。
      世界を暗雲が覆い始め、平和を侵す危険な入口への扉が開いた日だ。
      西側と東側を分断するような危険な壁が作られ、
      単にロシアとウクライナの二国間の問題ではなくなってしまった。
      ウクライナを支援する国としない国、あるいは傍観する国。
      ロシアを支援する国と世界が色分けされてしまうような危険な状態が、出現した。

      ロシアはウクライナ侵攻後の3月、欧米とともに日本を「非友好国」に指定。
     北方領土問題を含む日本との平和条約交渉の中断と、ビザなし渡航の停止を決めていた。
     領土問題ばかりでなく、日ロ間の漁業協定の履行停止なども決めていた。
     友好国と非友好国という対立の構図が出来上がり、自国の正当性を主張し、
     対立する国々に対抗措置を計れば、益々溝は深まり、
     解決のための話し合いの場は遠ざかっていく。
     ロシアは孤立を余儀なくされる。

                9月5日、ロシア政府は、北方領土の元島民らによる「ビザなし渡航」についての
    日本との合意を一方的に破棄すると発表。
    停止や中断ではなく、一方的な平和条約交渉の破棄という強硬手段である。

     30年前の1992年4月22日、ロシア人の第一陣を乗せた船が、根室の花咲港に入港してきた。
    二国間の住民同士が、互いに海を渡り交流を深める取り組みは、日本や関係者にとって
    北方領土問題の解決へつなげる大切な試みだった。
    これまでに、およそ1万4000人の元島民等の関係者たちが日本側から、
    ロシア側からおよそ1万人が参加し、ホームステイなど草の根の交流を重ねてきた。
    そうした試みが、侵略戦争の手段として一方的に破棄されてしまうことに、
    プーチン氏の手段を選ばないルールを無視した姿勢が見えてきて怒りを覚える。
    国民のための政治が、戦争の手段に使われてしまう。
    なんと理不尽な行為なのだろう。
    先人たちが、互いに国の代表として築いてきた北方領土への解決への糸口を
    プーチン氏は切ってしまった。

     合意破棄について、岸田首相は6日、事前の連絡もなく、破毀宣言をするロシアに対して、
    「極めて不当なものであり、断じて受け入れられない」と発言しているが、
    空しい言葉の響きしか感じられない。このことに関して、どのような対抗策をとるのか、
    あるいは話し合いのルートを探るのか、発言からはなにも見えてこない。

     
     元島民の平均年齢は86歳を超えて高齢化が進んでいる。
    交流がいつ再開できるのか、そして再び故郷を訪問できるのか住民の不安が広がっている。

     「これで振り出しに戻ってしまうのか」(元島民
 85歳)
     「揺さぶりなのか、本音なのか、ロシアの真意がつかめない政府同士が向きあって
      一日も早く交流を再開して欲しい」 (両親が国後島出身 70歳)

        当事者の声は、私たちの声でもある。

      (ニュースの声№16)      (2022.9.12記)

     

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ニュースの声(15)  狂気の凶弾に倒れた安倍さん

2022-07-15 06:30:00 | ニュースの声

ニュースの声(15)  狂気の凶弾に倒れた安倍さん
  安倍元首相撃たれ死亡む  (朝日新聞7/9一面トップ)
   自民党をはじめ、警護に当たった警察関係者、突然の凶事に号外を出し、
   唖然としたのは関係者だけではない。
   テレビのテロップを見て一瞬目を疑い、「まさか」という気持ちがやがて数時間後に
   流れたテロップは、「心肺停止」の後流れた「死亡」の文字だった。
   信じられない思いと同時に、泡立つような鳥肌が沸き立ち、私はオロオロした。
   
   朝日は一面に社説を張った。特別の措置に事件の重大性と驚きが厳しい言葉で綴られていた。
   銃弾が打ち砕いたのは民主主義の根幹である。
   前身の怒りをもって、この凶行を非難する。
   ……戦後日本の民主政治へのゆがんだ挑戦であり、決して許すことはできない。
   その罪の危険さ、深刻さを直視しなければならない。
   民主主義をなんとしても立て直す。決して手放さない。
   その覚悟を一人ひとりが固める時である。
         感情を抑え、冷静に伝えるべき内容を吟味し、主張し、ときには啓蒙し
         世論をリードしなければならないジャーナリストとしての理性が揺らぎ
         部分的には感情過多な社説になっている。
         衝撃の深さを物語っている。
   天声人語も、抑制されたてはいるが激しい言葉を紡ぎ出している。
   世を震撼させる事件だが、(テロは)前代未聞というわけではない。
   ……まさか現代の日本で、と書いたが、政治家への暴挙は残念ながら時折
   起きている
   ……どんな政治であっても、それをただすのは言論、そして民主主義の手続
   きである。
         道半ばにして倒された戦前、戦後の政治家の事例をあげながら、
         「暴力の卑劣さは、何度非難しても避難し足りることはない」と
         天声人語氏の激しい息遣いを時々のぞかせる。
         だからこそ私たちは明治半ばの自由民権運動で「言論の自由」や
         「普通選挙制」を獲得し育ててきたのだ。
         
  どんなに立派な法律や条文を作ろうとも、社会は変容しその中で生きている私たちの
  考え方や行動も変わっていく。人間にとって基本的な規範は変わらなくても、いつの
  世にも規範から逸脱してしまう人間や社会的規範から落ちこぼれ、底辺を漂い鬱屈し
  た生活をせざる得ない人間は存在する。
   ただ近年は、動機の曖昧な事件や自分の不遇を他者に転化してしまう事件が多くみ
  られる。どちらの事件も短絡的で、無責任極まりなく自己の正当性を主張するのみで、
  倫理観の欠片も持ち合わせないような人物が存在する。
   例をあげれば、「大阪キタ新地クリニック放火殺人事件」(令和3(2021)年12月17日)
  の谷本盛雄被告や、「京都アニメーション放火殺人事件」(令和元(2019)年7月18日)の青
  葉真司被告の事件などが思いおこされる。安部元首相を襲った事件も短絡的で無節操な、
  自分の不遇を他者に転嫁し、手製の銃を作り負のエネルギーを一気に特定の人にむけてし
  まった事件なのではないか。
   
   歴史に残るようなこの襲撃事件で、無節操な暴漢によって、有為な人材が失われたとす
  れば、倒れた本人の無念さは計りがたく、遺族の方々の悲しみは深く時の流れを経ても癒
  されないだろう。
   
         前回の「 ニュースの声(14)」で次回「ニューの声(15)」では、招待者に「長年にわたりふ
  るまい酒」を提供したのは誰なのかを掲載することを約束した。
  しかし、安倍元首相は凶弾に倒れてしまった。
   バイタリティに富んだ政治活動は評価され、在任中は政治家としての資質を充分に発揮し
  た安倍氏の死を惜しむ声は日本ならず世界の国々や地域からも聞こえてくる。
   「モリカケ問題」は安倍氏の大きな汚点として残ってしまった。同様に「桜を見る会」に
  於いても政治資金規正法違反と公職選挙法違反の疑いがもたれていた。このことを私は私な
  りに糾弾したかったのだが、凶弾に倒れた安倍氏に、死者に鞭打つような行為は今の私には
  できない。従って「桜を見る会」のシリーズは前回の「ニュースの声(14)」で幕を閉じるこ
  とにしました。
   「余人をもって代えがたい」政治家の一人として、私は元総理の安倍氏が大好きだった。
  今はただ、安らかに眠れと祈り手を合わせるばかりである。
 
             (ニュースの声15)       (2022.7.14記)

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