かみかみの徒然草

たっぷりの笑いにちょっぴりの涙と怒りをスパイスに、毎日を心豊かに生きよう~

花様年華

2006-05-05 20:56:26 | 映画
または in the mood for love とも言う。ちなみに英語タイトル。
ウォン・カーウァイ作品はどうも難解でちょっと・・・と言う人でも、この作品は知っているのではないでしょうか?
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マギー・チャンのファッション、狂おしいまでのプラトニックさで揺らぐ男女の感情。
当時、オトナの恋愛映画として、かなりのヒットだったそう。
そして、近年稀に見るプラトニックさと映像の美しさでカンヌ映画祭で話題になったそう。

大学生の終わりの頃、DVDで初めてこの作品を観ました。
この年は『小さな中国のお針子』を始め、『北京ヴァイオリン』『春の惑い』『HERO』と、やたらに中国映画の年でした。
特に、『春の惑い』『たまゆらの女』(私は個人的に好きですが、全体的にはあまり評価は良くない模様・・・)は恋愛映画としては秀逸の出来で、その勢いで『花様年華』を観ちゃったわけです・・・

時代の雰囲気、チャイナドレス、ハイヒール、梅林茂の音楽、ナット・キングコール、映像。
どれをとっても雰囲気があって、まさに in the mood for love な気配が濃厚。
でも・・・・・
チャン夫人の描き方は終始客観的で、一体どこまで行ってるの?チャン夫人はチャウ氏のことを本当はどう思ってるの?というのがなかなか読めなかった。
で、一方、チャン夫人のことを本気で恋してしまったチャウ氏の描写は、観てるこっちにまでダダ漏れなくらいにしっかりと描かれているわけで、痛々しいラストにはかなり凹みました・・・・
この人、一体これからどうやって生きていくんだろう・・・・という重い終わり方。
あまりにも後味が悪かったです。

当時はチャウ氏の視点で作品を観ていたため、何ともいい気分がしなかったのですが、数年経った今、チャン夫人の本音がやっと見えてきた気がします。
そして、チャン夫人の戸惑いもわかるような気がする。
夫がどうも浮気をしているらしい。それも隣人の奥さんと・・・・その隣人がチャウ氏である。
最初は、妻への復讐のため、チャン夫人に近づいていったのだが、思いがけない方向に話が展開していく。
秘書として、当時の職業婦人の走りでもあるチャン夫人は、一緒にいてホッと出来るチャウ氏に惹かれていく。
一方のチャウ氏も妻とのすれ違いの日々の寂しさから、聡明なチャン夫人に惹かれていく。

惹かれ合うところまでは一緒だったのだが、その後のそれぞれの感情の動きに差が開いていったような気がする。
チャウ氏は勢いで本気になってしまっていたのだが、チャン夫人は常に後ろめたさがあったのかも。
チャン夫人の心の中は常に葛藤だらけで、全てを投げ打つ覚悟が出来ていなかったのかもしれない。
でも、目の前のときめきには抵抗出来ない・・・・

夢見る生き物のようでいて、実は現実的だ。
特に女性ってそうかもしれない・・・・
本気の恋愛と恋愛ごっことの線引きははっきりしている。
このまま突っ走るか?抑えるか?の見極めは早いうちについている。
チャン夫人もまた、線引きをしっかりとっていたつもりが、徐々にその線がぼやけていったのであろう。
曖昧になりつつある境界線上での心の揺らぎはまさにin the mood for love だ。
チャン夫人とチャウ氏は結局別れた。
チャン夫人は、チャウ氏への思慕の情を心の奥底に封印して、一応の結論を出したが、チャウ氏はいつまでも燻っていて、その想いは見ての通り。
チャウ氏が叶わぬ恋の終止符を打つまでに相当の時間がかかる。
そして、『2046』に続く。

『花様年華』、淡々としているようで、何度か観るうちに味わい深くなる作品。
一回観ただけじゃわからない微妙な色合いは、観る度に変わる。
まるで万華鏡のよう。今度観た時はどう変わっているのだろう?

ほろ苦さと甘さのあいだに・・・

2006-05-03 02:39:13 | 映画
『ジョゼと虎と魚たち』と聞くと、ある人のことを真っ先に思い出す。
学生時代のバイト先にいた映画好きな後輩のK君のことを。

ある時、バイト中にK君と映画の話をしてた時、ふとした拍子で『ジョゼと虎と魚たち』の話になった。
相手が男子ということもあり、私から進んで恋愛映画の話をすることはなかったのだけど、その時は何故だか何の脈絡もなしに彼の方から「『ジョゼ虎~』オレ的に気になってるんですよね~」と。

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この頃、ちょうど卒論の提出〆切も迫っていて、ただ、「男子が恋愛モノって珍しいな~」と感心してたのみである。
12月、顔を合わせる度に「『ジョゼ虎』気になりますよ~」が挨拶代わりになっていたK君。
今になってみると、K君、この言葉を通して何かを伝えたかった??
この頃、何事にも自己嫌悪に陥りまくってた私にはK君の言葉の真意を読み取るところまでなかなか神経が行き届かなかった。
バイト全体の送別会で、酔った勢いで思いがけない行動を取ったK君に対して、相変わらず、(コイツ、酔っ払ってら~)としか思ってなかった私・・・
その後バイト全体の送別会の後、後日、私は退職したが、その時もK君はさり気なくシフトに入っていた。そして、同僚たちが私のために個人的に送別会をやってくれて、その時もK君がいた。
大人数での飲み会だったので、K君とゆっくり話をすることも出来ずじまいだった。

その日の彼は、顔が赤くなってしまうくらいに飲みまくっていて、かなり毒舌モードだった。
その上、煙草をくゆらす彼の表情に、退廃的な雰囲気がそこはかとなく漂っていた。
そんな彼と一瞬目が合い、かなりドキッとした。
その時の彼はいかにも好色そうで、鈍感な私でもゾッとするような色気があった。(映画観すぎ??
戸惑いを禁じ得なかった。
いつも折り目正しく、弟キャラのようでいて意外にしっかり者。安心して話が出来る奴。
それが今まで私が抱いていたK君の印象である。
でもその晩、彼がほんの一瞬に見せた一面は、好青年のそれとはあまりにもかけ離れていて、その色気は危険なモノにすら思えた。
そして、飲み会の間、K君のケータイにはしょっちゅう着信があり、その度に彼は席を外していた。
同僚たちは、「あいつはああ見えて、なかなかやり手だよ」と言っていた。ちょっと謎めいたモノ言いだった。
「何人から電話来てるんだよー」
と同僚たちは興味津々でK君に問いかける。
「K君、モテるんだね~女の子の扱いには結構慣れてたりして。」
戻ってきたK君に笑いながら話しかけてみたが、酒で上気していたものの彼の表情は至って真面目だった。
「俺、本当に好きな女性の前では、緊張して何も出来ないですよ・・・・」

ツマブキ扮する恒夫は、気の多い男で、気になる女の子には片っ端からモーションをかけていく。
あくまで自分の欲望に忠実だ。でも、度が過ぎているわけではない。
女子から見ても憎らしいくらいにさじ加減を心得ている。
池脇扮するジョゼもまた、恒夫のズルさを知りつつも、奇特なまでに自分を気にかける恒夫に惹かれてしまう。
恒夫も然り。同級生の女の子とイイ感じになっていながら、不自由な体でありながらも自由な精神・感性を持つジョゼに強く惹かれていく。
この2人が惹かれ合う様は、正直、理屈ではどうにも説明のしようがない。
理屈なしに惹かれ合っていく2人の様は官能的すらある。
とても印象的な場面があった。
押入でジョゼと恒夫が教科書の持ち主・金井晴樹のことでバカ話に興じてた時に何かの拍子で二人の手がかすかに触れる。
触れた瞬間、ジョゼは恥じらって、反射的に手を引っ込めるのだが、恒夫はすかさず、ジョゼの手を自分の方に引き寄せて強く握りしめる。

教養科目で「恋愛小説を読む」という講義があったけど、男女が惹かれ合う様はもはや理性を超えている、とフランス文学の教授がよく言っていたがホント、その通りな展開・・・・
とは言え、やはり、一女子として言わせて貰えば、恒夫の態度はあまり好ましくない。
『ジョゼ虎~』を観た女子の意見は、概ね「恒夫は好かん」という否定派が多かった
でも、K君の恒夫に対する意見は全く違うものだった。
「確かに恒夫は狡いけど、それをいかにも悪者に見せないトコロは格好いいっすよ。憧れますよ。」
この時は、(あ~男子誰しもが持つ願望か・・・)と呆れていた。
でも、今になって思えば、彼は恒夫に自分自身を重ね合わせていたのだろう。
表面的には器用に立ち居振る舞い出来ても、本当は、脆いところもあり、それを悟られまいと、上手に隠してしまう狡さを。
あの夜、危うげな色気を漂わせていた彼に、いつになく心が揺らいだ。
でも、理性を超えるには至らなかった。お互いに。

シンプルに美しく

2006-04-01 20:16:54 | 映画
今日は映画サービスデーだったので、以前から気になっていた『かもめ食堂』を観てきました。
久しぶりにミニシアターらしい作品を見たなーって感じ。
映画自体は原作同様、淡々としていて特段華やかなわけではない。
でも見終わると、居ずまいを正されるような、ピッと背筋が伸びるような心地良さを感じました。
ここ最近は、連続していい映画に巡りあってるな~
原作も小林聡美や片桐はいり、もたいまさこを前提にキャラクターが作られている感じがしていたのですが、ホント、この三人の呼吸と間合いは見事です。


映画も原作同様、毎日を丁寧に生きる女性たちの美しさが際立っています。
ごはんを作る・買物する・寝る前に膝行する。
どれも何気ないことなのに、その何気なさに妙に心惹かれるものがある。
特に、小林聡美扮するサチエが料理を作っている姿は美しく、絵になっている。
そこには凛とした佇まいがあり、気品すら漂っている。

原作ではそれぞれの事情が事細かに書かれていたけど、
映画ではその点について、一切説明を加えることなく、セリフと気配だけで、それぞれが何かを抱えてフィンランドに辿りついたというようにしている。
互いの領域に踏み込みすぎることなく、心地よい女3人の友情は、見ていて気持ちがいい。

でも、心地よいだけではなく、生きていれば必ずある切なさもほんの少し入っていて、だからと言って落ち込みすぎることもなく、毎日を丁寧に生きていく主人公たちの姿って素敵に見える。
そんな何気ない日常や切なさをシンプルに美しく映像化した荻上直子監督はタダ者ではない、と思ってしまう。
この女性監督のこれからの活躍は気になってしまう。
実は、荻上監督のデビュー作である『バーバー吉野』も気になっていたりする。

『THE 有頂天ホテル』

2006-03-25 17:16:03 | 映画
以前から気になっていた『THE 有頂天ホテル』、やっとのことで見に行きました。
三谷作品であること・豪華ホテルで繰り広げられる人間ドラマ・豪華キャストと、客を惹きつける要素は沢山ありますが、これ、一見の価値ありだと思います。

 

前作の『笑いの大学』は抑え気味だったのに対し、今回はトコトン豪華で、笑いのツボは要所要所で押さえてました。
オープニングはまるでミュージカルの序曲のようで、まるで舞台を見ているような感じでした。
序曲→本編への導入はまるで幕が上がったかのようで、登場人物たちが今にも歌い出しそうな感じでした。(でも、歌わないけどね~)
久しく、ミュージカルを観に行ってないので、久しぶりにまた行きたくなってきました。
これ、このまま舞台化したら大ヒットするんじゃないか??
海外作品を翻訳するミュージカルは数多あれども、国産ミュージカルは今ひとつ洗練さに欠けていたのが定説だったけど、この作品をそのまま舞台化したら絶対当たる気がする。いや、舞台化されたら観に行きますよー
東宝配給というところからしても、帝劇での舞台化も想定してる?とツッコミを入れたくなってしまう・・・・

それにしても、一流と言われる場所のバックステージモノ作品っていつも観客の関心を惹くものですね~
営業スマイルと本音のギャップの大きさが魅力です。
学生時代、私もとある一流(と思われる?)場所でバイトした経験があるので、ホテルで働く登場人物たちの本音の部分や客を見る視点はまるで自分のことのように思えました。

色んな人間が集まる一流ホテルという場所で、時として海千山千なやりとりもあり、やさぐれそうになるけれど、新たな自分として生まれ変わろうとする希望を独特の間や笑いで描く三谷氏はさすがです。
それにしても、悪徳代議士役の佐藤浩市が『新撰組!』の芹沢鴨とかぶっていたのは気のせい??相変わらず悪の華を咲かせてます。このまま行くと悪役専門になりそうですよー

『耳をすませば』

2006-03-11 21:07:37 | 映画
金曜ロードショーで『耳をすませば』が放映されていたので、思わず見てしまいました。
映画館では見る機会がなく、この作品を初めて見たのは、思えば8年前の金曜ロードショー・・・・
映像の美しさと女の子なら誰でも胸キュンになっちゃうストーリーに、思わず釘付けになっちゃいました・・・・

中・高ずっと女子校で、男子としゃべる機会もなければ、ドキドキするような機会もなく、『耳をすませば』の世界は、ちょっとばかり憧れでした。
今となっては、オヤジキャラだー気の強い女だー毒舌家だーと言われておりますが、中・高時代は全く正反対の内気で夢見る少女でした
(職場の人からは、「うそだー!!」「またまた~」と言われそうですが・・・)
そんな私にとって、自分に正直で率直な物言いをする雫ちゃんは、なってみたい女の子の典型でした。
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とまあ、少女時代の自分を思い出しながら見ていましたが、
杉村の熱い告白シーンや、聖司くんの告白場面を見ていたら背中が痒くなってきた・・・って言うか・・・・
「あー見てらんないよー」って感じ。
ハチクロじゃないのですが、もう、見てるこっちが恥ずかしくなるというか、恥ずかしさのあまりエネルギーが無駄に消耗するというか・・・
とにかく・・・・「酸っぱい!!!」
青春って酸っぱいのね・・・って思っちゃいました・・・

でも、見てるこっちが恥ずかしくなる一方、彼らの率直さがまた清々しく、気持ちよかったです。
誰かを好きになることの嬉しさと苦しさ。その感覚、すっかり忘れてました。
気になる人がいても、傷つく前にその感情を立ち消えさせる術をすっかり身につけていたりして・・・逃げ上手になっていました・・・・
杉村が意を決して雫に告白したものの、思いがけない杉村の告白に、思わず言葉を濁してその場を立ち去ろうとする雫。
ある程度答えはわかっているものの、「どっちなんだ?」と問いかける杉村の潔さには私、感服してしまいました
傷つくことを覚悟の上で、雫に返事を求める杉村の真摯さに拍手したくなりました・・・

たとえ、傷ついたとしても、真実を知らないと前に進めないことだってある。
曖昧な状態のまま、相手に対する思いをそっと自分の胸の内に秘め続けるものほど、辛く切ないものはない。
だったら、傷ついたとしても、相手に思いを伝えてしまった方がいい。言わないで後悔するより、言ってスッキリする方が断然いい。
昔は「雫にフられてしまった杉村」という認識のみだったけど、
今見ると、聖司くんは意外にも不器用で、杉村は男らしい。
あ~、文系少年と体育会少年だね、まさに
この年齢になって、今ならわかる杉村の良さ。私自身が酸いも甘さも噛み分けてしまったのか??
つくづく思う。映画ってまさに今の自分を映す鏡だな~と。

アカデミー賞如何に!?

2006-03-06 21:27:50 | 映画
いつの間にか、アカデミー賞の季節になってましたね~
以前はNHKが放映権を持っていたため、気軽に見られたのですが、WOWOWに放映権が移ってからというもの、すっかりご無沙汰気味です・・・・
そして、うっかり忘れてました(爆)ネットでやっと気付いたくらいですから・・

それにしても、今回のアカデミー賞のノミネート作品・俳優、渋いっすね!!
今回は娯楽作よりも社会派の作品が揃ったように思います。
そして、今回は実力派の役者さんがノミネートされてるところも良かったです。
一時期、「詐欺??」と突っ込みたくなるようなノミネートもあったものの、今回は、色々考えてノミネートしたんだなーというのが感じられました。
ヒース・レジャーがノミネートされたり、レイチェル・ワイズが受賞したりする現象はまさに喜ばしいことです。
ヒースは受賞は逃したモノの、アカデミーノミネートで大きく一歩前進です!
ヒース・レジャーは『サハラに舞う羽根』以来、気になってた俳優さんですが、作品がヒットに恵まれないなど、日本では知名度がイマイチだったりする。
親友のオーランド・ブルームは世界規模で大人気だというのに・・・
演技力はあるし、歌も上手そうなのに・・・・残念っ!!
写真だけだと、老けた印象ですが、この人は動く姿がエエです!
とにかく表情がいいのです。スクリーンから目が離せないのです。
同じオーストラリア出身ということで、いつかバズ・ラーマン監督と組んでくれないかな~『ムーラン・ルージュ』を超えるミュージカル娯楽作を是非とも見てみたいです!!
ヒースの主演作『ロック・ユー』は中世を舞台にしたファンキーな騎士道映画。試合に明け暮れては勝ち進んでいく様はまさに痛快そのもの。恋あり、友情ありで、エンターテイメント作品としての仕上がりはなかなかのものです。かなりおススメです。
(ポール・ベタニーも出てるしで、結構通好みな映画だけど、何にも考えないで安心して観られる映画です。)

『博士の愛した数式』

2006-03-04 23:44:08 | 映画
久しぶりに、ゴーカイに泣けました。こんなに泣いたの、『解夏』以来だな~
『解夏』では、主人公たちの互いを思う気持ちの美しさにひたすらバカ泣きし、『下妻物語』では、どうしようもなくバカ笑いしましたが、『博士の愛した数式』もまた、バカ○○の一種に思えました~
もう、何だかよくわからないけど、心が洗われて、涙が止まらないんですよ~
「やばいっ!!止まらないよ~」
と思うモノの、ホント、♪どーにもとまらない~って状態・・・
原作本は読んでいて、映画も話題作だし気になるしで、最初はあまり期待しないで行ったのですが、あんなに泣いたのは想定外でした(汗)
ていうか、泣けることが想定の範囲内というのも、どうかと思いますが・・・

ストーリーは多分、ご存じの方が多いので割愛します。(←オイ!!)
原作でも、数式の美しさを熱心に説く博士の純真さ、そして、そんな博士を心から敬愛する家政婦さんとその息子・ルート。この3者による、透き通るように美しい関係が見所です。
映画も、そうした原作の良さを活かし、ほぼ忠実に作品を撮っていますが、原作とは違った視点で描かれているのが非常に興味深かったです。
原作は、家政婦さんの一人称で進んでいきますが、
映画では、大人になって数学教師になったルートの視点で物語が進み、家政婦さんはあくまで、ルートの視点で語られます。
原作とは視点を変えたことで、原作本来の良さが活かされた上で、物語そのものに深みが出てきました。

 

原作でも家政婦さんの視点で、博士とルートの思いやりや愛情に満ちた心温まる絆が描かれていましたが、映画では、ルートの視点で描かれており、ますます博士とルートの互いを信頼し合う様に、ぐっと胸が締め付けられます。
ルートに対する博士のたっぷりの愛情に、博士に対する思いやりと素直さを示すルートの関係に、観てるこっちも優しい気持ちになれます。
あまりの優しさ故に泣けてきちゃうんだろうな~

そして、もう一つ。原作では、ちょっとだけ登場の未亡人。
映画では、物語のもう一つの重要な要素として、未亡人と博士の関係、二人の感情の揺らぎも描かれていました。
原作ではともすると、冷たい印象になりかねない未亡人。
本の世界では、精一杯想像力を働かせるしかなかった未亡人と博士の関係でしたが、映画では、そこをしっかり丁寧に描いてました。(以下ネタバレ)
若かりし頃、道ならぬ恋に落ちた博士と未亡人。
未亡人はそのことにずっと十字架を背負いながら生きてきた女性で、博士と向き合うことを恐れているかのよう。
それゆえ、未亡人は博士の身の回りの世話を家政婦さんにお願いしたのだが、
思いがけず、未亡人と博士だけの絆は家政婦さんやルートに向いていくことに寂寥感を抱く。そのことが、この物語途中のクライマックスにつながります。
原作ではその場面が突拍子もない感じだったけど、映画ではその過程が、浅丘ルリ子の表情だけで伝わってくる。
博士が小さな子供に限りない愛情を持つ様子に、強い動揺を見せる未亡人。
いかに、家政婦さんやルートを今まで疎ましく思っていたのか、理解出来ます。

映画には、原作をそのまま忠実に再現する作品と、原作の行間を読み取る作品があるけれど、『博士の愛した数式』はまさしく後者。
セカチューはずっこけたけど、『博士の愛した数式』はホント、想定外の感動を得ることが出来ました。

『プライドと偏見』

2006-02-26 14:39:20 | 映画
先日、『プライドと偏見』観てきました!
うちの母が元々、ジェーン・オースティン作品が好きで、その影響で私もオースティンものはかなり好きだったりする。
この日は六時の終わりと同時に職場を後にし、母と待ち合わせて観てきました。
ブリジョンやフォー・ウェディング、ラブ・アクチュアリーの製作を手がけたワーキングタイトルが今回も製作。
ここのプロダクションが製作する作品ってハートフルでそれでいて、ピリリとスパイスも効いていたりして、何度観ても飽きない。
ブリジョンの元ネタ作品をとうとう映画化してくれたのがワーキングタイトルってのがまた嬉しい。

ブリジョンでコリン・ファースのファンになった私、実は、テレビ版の『高慢と偏見』のDVDを持っておりますが、エリザベス役の女優さんは常ににこやかで、エリザベスVSダーシーのバトルが今ひとつ、迫力に欠ける気がしたのがちょっと気になってました。
でも、新生『プライドと偏見』では、エリザベスをキーラが演じることになり、テレビ版よりも身近な感じになりました。
いるよな~こんな感じの女の子♪って感じになって良かったです。
品がありながら、同時に元気いっぱいでボーイッシュさも同居するキーラの魅力が見事にエリザベスに合ってました。
バッチリお化粧して、きれいなドレスを着たらさぞかし美しいキーラですが、
いつもよりお化粧は控えめで全体的に地味な感じもまた、清楚な感じが出ていて好感持てます。

 

単純にいうと、最初は、お互いにいい印象を抱かなかった二人の男女が、段々と惹かれあっていくというお話。
(ま、ダーシーさんは、元気いっぱいで頭の回転の速いエリザベス嬢に一目ぼれしていたのですが、自分の資産と家を守らなければならないという使命感から、どうしても身分の違いというものを常に意識せざるを得なかった・・・)
それに加えて、身分の違いや当時の考え方(いくら財産があっても、男性と結婚しないと女性名義で財産を継ぐことが出来ず、路頭に迷ってしまう・・)といった要素も加わり、ラブロマンスに深みが出てきています。

当時のイギリス社会は、身分制が厳然と存在し、家名を守るためには、違う階級の人間との結婚が出来ないこと・また、女性も家の財産を継ぐには結婚しか道がなかったことなど、結婚はあくまで「手段」という見方が色濃く残っていた時代。
そんな時代の風潮にあって、エリザベスとダーシーは、決して、時代の考え方に染まりきらず、あくまで自分の意思を尊重していたと言えます。

エリザベスは、やかまし母ちゃんから、
「家族が路頭に迷わないためにも然るべき人と早く結婚しなさい!気に入られてなんぼよ!」的な考え方を押し付けられていた中で、遠縁にあたるチンチクリンな牧師にプロポーズされるも、はねつけてしまう。
この当時の女性は、いかなるブオトコな小金持ちからプロポーズされても、
家族を路頭に迷わせないためにも嫌々応じるのが当たり前な中、
見事にそれをはねつけたエリザベスの行為は、母親にしてみれば「何てバカなことを!」ということになりますが、好きでもない人とわざわざ結婚していどうなるのか?という人として至極当たり前な考えを持つことがいかに大変なことなのかが伝わってきます。
恋愛観だったり、最初は見かけで判断し、後でダメ男と判明してそんな自分に凹んだりと、私たちと何の変わりない普通の女の子。
キーラの演技で、エリザベスという人物がますます身近で愛おしく感じられました。
そして、そんなエリザベスに惹かれるダーシーを演じたマシュー・マクファディンもなかなか良かったです。
特に、ダーシーがエリザベスのことを想っていながらも、前半、その感情を押し殺し続けてきた様子は何とも切ないものでした。
最初の出会いやビングリー家でのダンスパーティーの中で、愛想の悪さの中にも、エリザベスへのほのかな好意がにじみ出ていたところも中々良かったです。
映画のダーシー役の俳優さんは、ドラマ版でダーシーを演じたコリン・ファースに比べると、華やかさに欠けるものの、そういった細やかな感情の表現はよく出来ているし、自然な感じがしました。

当時の風潮の中で、エリザベスとダーシーが惹かれあっていく過程は見ていてキュンとするものがあるけど、映画版はとても自然に身近に感じられました。
映画版は、音楽もとても良かったです。ピアノの伴奏が何ともショパンっぽいところも好感持てます。てっきり、マイケル・ナイマンが担当していると思っていたのですが、全く別の人だったらしい。(イン・ディスワールドの音楽を担当した人らしい・・・)
近頃忙しいこともあり、映画はあまり見ないのですが、久しぶりに見た映画がこれで良かったです。
DVD出たら間違いなく買いそうです・・・・

『プライドと偏見』

かもめ食堂占い

2006-02-18 20:33:58 | 映画
近頃また、活字中毒気味です。
職場の図書館で借りた『ツチケンモモコラーゲン』をたった二日で読み終え、
今日、美容院に行った帰り、『かもめ食堂』を買って帰ってきました。
(これらの本の感想はいずれ・・・)
『かもめ食堂』、映画版のHPであらすじはある程度知ってましたが、原作も面白いです。淡々としているようで、静かさの中から主人公たちの心境や情熱を浮かび上がらせるのはさすがです。

そんなわけで、原作を読み始めてますます映画が気になってしまった私。
また映画のHPに行っちゃいました。久々に見たHPに何やら不思議なコンテンツが・・・・
「かもめ食堂占い」ナンじゃ、こりゃ???
心理テストや性格占いの類のものはなにかと気になる私、思わずやってみました。
すると・・・
ワタシを幸せにするメニューはおにぎり(さりがに天)だそうです・・・


おにぎりって言われてもね・・・それから・・・ざりがに天って何っすか???

とまあ、思いがけず、いきなり「おにぎり(ざりがに天)」という判定が下り、ぶったまげましたが、占いの内容は至極まともです。

● おにぎり(ざりがに天)を選んだあなたは、穏やかでものごとにこだわらないのんびり屋さん。
鷹揚でゆったりと構えているあなたは他人との競争を好みませんが、内面に秘めた情熱は人一倍。

鷹揚かどうかはどうであれ・・・・近頃は開き直ってます、ハイ。
他人との競争・・・できれば、したくないねーでも、根は負けず嫌いだったりする。
情熱は人一倍・・・頑張りすぎてるのは確かかも。

狙ったものは時間はかかっても必ずゲットするという、着実な面も持ち合わせています。
言われてみればそうなのかもしれない・・・粘り強いと言えば聞こえはいいが・・・
でも、それって執念深いとも言わんか?(爆)

なによりも心の充実を優先させるタイプですから、仕事や恋人を選ぶときも、見た目や条件などには見向きもしないでしょう。
ええ、心の充足感を重視しております。経済学用語で言えば、「効用」ってやつですかね~(試験勉強で覚え立ての言葉♪)
中身を重視するあなたですから、仕事はどれだけやり甲斐を感じられるかに、恋人は相手の個性にポイントを置くはずです。
ビンゴ!!
ただ・・・仕事はこれでいいとしても、こだわりを持ちすぎるのってどうなんでしょうか・・・割り切れないことには手は出さない、という信条もどこまで続くのやら・・・

だからこそ、本当にやりたいことや好きな人が見つかるまでには少し時間がかかるかもしれませんが、あなたらしい着実な歩みがきっと幸せを呼び込んでくれます。
その言葉を励みに生きていきます・・・・

占い自体は極めてシンプルですが、かなりの確率で当たる(と思う・・)ので、是非ともやってみて下さい→「かもめ食堂占い」
それにしても・・・ざりがに天って何???

ちょっと気になる作品

2006-02-04 19:04:59 | 映画
いつかやってみたいこと。
それは、有給を利用して、10日くらい北欧に行くこと!
ムーミンや北欧インテリアや、アラビア(陶器ね)が好きな私としては、
何はともあれ、一度はフィンランドに行ってみたいものです。
でも、今年は貯金もしたいし、まず受験勉強なので、北欧周遊は、来年の夏に晴れ晴れした気分で是非とも行こうと思ってます!
ということで、映像だけでもせめてフィンランド行った気になりたいな~と思ってた矢先に見つけた作品が『かもめ食堂』という映画。



日本の作品ですが、フィンランドでオールロケを敢行した!というところがスゴイ!!
三人の日本人女性がヘルシンキでいかに日々を過ごすのか、ちょっと気になります。色彩も北欧の雰囲気にマッチしていて、可愛らしい感じです。
映画だけでもフィンランドに行った気になろう~(公開が楽しみです♪)