蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

ロコモ対策  (bon)

2019-06-12 | 日々雑感、散策、旅行

 確かに、現役の頃に比べると、明らかに運動量は少なくなっていると思います。勤務中
でも、デスクワークが主ですから、椅子に座っている時間が圧倒的に長いと思いますが、
それでも、毎日朝夕、電車通勤がかなりの運動になっていたのかもしれませんし、とくに、
駅構内の広い乗換えや長い階段などが消極的な代替え運動だったのかもしれません。

 リタイアして10数年も過ぎますと、この通勤が無くなり、そのかわりどこかに外出したり、
たまに長時間の散策などもしたりしますが、積分値では運動量は少ないのでしょう。

 体力、持久力、バランスなどが急激に落ち込んでいることが意識されます。こんな繰り言
を行って見ても仕方ありませんが、超高齢社会を迎えて、国レベルで大きな問題となって
いるのですね。
 すでに、かなり以前(2007年)に、政府では、「新健康フロンティア戦略」の中で、介護
予防対策の一層の推進の観点から、骨折予防及び膝痛・腰痛対策といった運動器 疾患対策の
推進が必要であるとの方向性を示し、各方面で検討対策が講じられてきているのです。

      

  ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)とは、運動器症候群のことであり、
略して「ロコモ」と呼び、当ブログにも、2014.10.5の「ロコモティブシンドローム」に記事
アップしていますが、いままた、岩本幸英氏(九州労災病院院長)記事に触発されて(身に
つまされて)記事に取り上げました。

 

 ヒトの体を構成している組織・臓器は、生命維持臓器(脳、心臓、肺、消化管など)と
運動器(骨、関節、筋肉、腱、神経など)に大きく分けられますが、運動器は、ヒトが自分の
意志で活用できる唯一の、さらに言えば、人間の自律と尊厳を支える重要な組織・臓器である
とあります。

 この運動器が、高齢化に伴って加齢による運動器疾患が近年急増しているというのです。
ある研究結果から、運動器疾患の推計有病者数は、

  変形性腰椎症      3790万人
  変形性膝関節症     2530万人 
  骨粗鬆症(腰椎部)   640万人
  骨粗鬆症(大腿骨頸部) 1070万人

であり、上記の疾患のうち少なくとも一つ以上を有する国民は、4700万人にも上るとされ、
上記疾患の3つを有する人は540万人もいるというのです。

   
                         (日本老年医学会雑誌2012年より)

      

 そして、要介護、要支援の原因の第1位25%を「転倒、骨折、関節疾患、脊椎疾患」など
の運動器疾患が占めているのだそうです。介護予防、健康寿命延伸のために、運動器疾患
対策が重要であるのです。

        (ネット画像より)

 厚労省の国民生活基礎調査の平成28年度(2016年)結果でも、下表の通り、要介護、要
支援の総数で、22.3%とダントツで、要支援では32.4%の高率に達していることが分かり
ます。

 
                         (厚労省国民生活基礎調査より)

 

 そこで、この「ロコモ対策」が叫ばれているのですが、ロコモの原因は、加齢に伴う、
運動器疾患筋力低下バランス能力低下に集約され、日本整形外科学会では関連団体と
連携してロコモ対策を通じて介護予防、健康寿命延伸に取り組んでいるのです。
(因みに、介護保険料+後期高齢者医療保険料で、毎月かなりの額が引き落とされています
が、国全体で、それだけの費用が掛かっているということなんですね。)

①運動器障害を包括的に診る  整形外科においても、脊椎、膝などの専門分野に分かれて
た診療を行う傾向にあるようですが、高齢者の場合は、疾患だけでなく、筋力低下やバラン
ス能力低下など複合原因によることが多いため、これらを包括して観点から診ることが重要
だというのですね。

②ロコモチェック  先のブログ(2014.10.5)にも記述していますが、日常、自分自身でも
気づけるように、ロコチェック項目が提案されています。

 1、片足立ちで靴下が履けない 2、階段は手すりにたよる 3、横断歩道を青信号で渡
りきれない 4、15分くらい続けて歩けない 5、家の中でつまづいたりする 6、1㎏程度
の買い物をして家に持ち帰れない 7、布団の上げ下ろしなどが困難  で、この内一つ
でもあればロコモの疑いがある。

③ロコトレ(ロコモトレーニングのことです) 経費・設備が不要なロコモ予防、改善法が
提案されています。バランス能力の訓練の開眼片足立ちと下肢能力強化のスクワットのふた
つです。

④ロコモ度テスト  ロコモの重症度を把握するためにロコモ度テストが考案されています。 
立ち上がりテスト、大股で歩いた歩幅を計る2ステップテスト、そして生活や身体の状態を
項目25で質問する の3つの方法があり、その結果でロコモ度を測定するというやり方です。
このテスト結果で、軽症例の早期発見が可能となり、早期介入によるロコモ予防・改善が図
られるということなんですね。

 

 健康寿命は、平均寿命より、男性で約9年、女性で約12年短いと言われています。ロコモは、
メタボ、認知症と並ぶ健康寿命を短くする原因ですから、ロコモ対策が健康寿命を保つための
一つの大事な要素だということを、改めて自身に言い聞かせたいところです。

 

 ちょっと古い(2004年)ですが、厚労省の国民生活基礎調査で、以下の実態をまとめてい
ました。(抜粋)

①腰痛は国民の有する自覚症状として、 男性では第1位、女性では第2位と高い頻度で認め
られる症状である。また、「腰痛症」 は受診病名としても頻度が高く、男性、女性ともに
第2位を占めている(第1位は高 血圧症)。

②介護が必要となった主な原因として、「関節疾患等」及び「骨折・ 転倒」をあわせると、
年齢を問わず女性では約2割、男性では約1割を占めている。 また要介護度別には、特に
要支援、要介護1といった軽度者において占める割合が大 きくなっている。

③「筋骨格系及び結合組織の疾患」において、脊椎 障害(脊椎症を含む)、関節症及び骨
粗鬆症の患者が多い。

④高齢者の骨折予防対策の対象となる主な疾患としては、大腿骨頚部骨折及び脊椎椎体骨折
が挙げられ、いずれも骨粗鬆症が発症の主な身体的要因である。特に、80歳以上の超高齢
者の骨折が急増すると予測されている。

⑤高齢者の膝痛対策の対象となる主な疾患としては、変形性膝関節症が挙げられる。 変形性
膝関節症の患者数について、自覚症状を有する者は約1,000万人、潜在的 な患者(X線診断
による患者数)は約3,000万人と推定されている。重症の変形 性膝関節症では、関節変形、
運動痛及び可動域制限等により起立歩行が障害される。

⑥高齢者の腰痛症対策の対象となる主な疾患としては、腰部脊柱管狭窄症、前述の骨粗鬆症
性脊椎椎体骨折及び変形性腰椎症が挙げられる。本疾患患者の約 90%に歩行障害が認められ
る等、本疾患を有する患者は身体的及び精神的QOLが低下しているとの報告もある。

⑦変形性腰椎症の患者数については、自覚症状を有する者は約1,000万人、潜在的な
患者(X線診断による患者数)は約3,300万人と推定されている。

 

 

 

 

 

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