風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

スウェーデンの秋暮らし 3-2

2017-11-16 | 海外
その1からの続きです。 

● 女王さま通り

ランチを取ったレストランから、エレベーターで下に降りる時のこと。
普段のくせで「Close」ボタンを押そうとしましたが、探してもありません。
こちらのエレベーターには、「Open」ボタンしかないのです。
日本でのあくせくぶりが、胸に響きます。
「閉」に慣れないようにしたいわ~。

セルゲル広場から、ストックホルム最大の目抜き通り、ドロットニングガータン(Drottninggatan、女王通り)に来ました。
道の両側にH&Mの店舗。よく見ると、あっちにもこっちにもあります。もはやH&M通りといってもいいくらい。
ストックホルム最大ということは、スウェーデンで一番賑やかな通りです。



今年の4月7日にテロ事件が起こったのは、この辺りだそう。
大型トラックが、歩行者天国を500メートル以上暴走してデパートに突っ込み、4人が亡くなり、15人が負傷しました。
現場は騒然とし、一時は地下鉄や中央駅の電車もすべてストップしたとか。
平和な繁華街で突然起こったテロ。誰もが恐怖で大パニックになっただろうと思います。
テロ防止のために、王宮の近衛兵が迷彩服姿になるのは、仕方がないことかもしれませんね。



カフェの窓際にさりげなく置かれた、イングリッド・バーグマンのポートレート。
金髪碧眼の美男美女が多いこの国でも、やっぱりこの人が代表格です。

● 青空マーケット

ヒョートリエット(Hötorget)広場では、野菜や果物の青空市場が開催されています。
市はたくさん出ていますが、並べられている品物はほぼ一緒なので、目移りしそう。



スウェーデン人の大好きな森で採れる、新鮮なキノコやベリーがたっぷり売られています。
色鮮やかでおいしそう。見ているだけで元気が出てきます。



今はキノコのシーズンなので、北欧名物カンタレリ(Cantarelli=アンズダケ)がたくさん並べられています。
うーん、すごい。森の妖精が採ってきたとしか思えません。



私も森でキノコ狩りしたいわ~。ポルカとか踊りながら。

● 歴史上のヒーロー

ストックホルムのマンホール。
STOCKHOLM Vattenとストックホルム水道公社名が入っています。



王冠をかぶった人物は、16世紀にスウェーデンを国として統一し、騎士から王になったグスタフ・ヴァーサ王(グスタフ一世)の肖像。
あれ、市役所で見かけたのは誰だっけ?
13世紀に活躍した政治家、ビルイェル・ヤールさんでした。
どちらもスウェーデンの歴史になくてはならない二人です。



ハリポタに出てきそうな本屋さん。海外の書店は趣がありますね。

● ウプサラへの帰り

3時近くになりました。仕事が終わる4時過ぎには、電車は帰宅ラッシュになります。
日照の関係で、スウェーデンは仕事の開始時間も終業時間も、日本より早いのです。
日本よりもはるかに人が少ないこの国にも、ラッシュってあるんですね。

ベイビーとベビーカーをつれているため、ラッシュの波はなんとしても避けたい私たち。
駅に急ぎましたが、4時11分発の電車に乗ることになったので、もみくちゃにされないかとドキドキ。
でも一番乗りだったため、問題なく座席に座れて、シートの間にベビーカーを収納することができました。
たしかにすぐに、車両の中はいっぱいになりました。

ウプサラに到着したら、あとはもうのんびり帰るばかりです。
大都会のストックホルムから帰ってきて、ほっとしました。



このくらいの、落ち着いた静かな街が心地いいわ~。



市場ほどではありませんが、ここでも道端でいちごとキノコを売っています。
どちらも好きだし、売っていたら毎日でも食べたいもの。
いいなあ。日本でもあればいいのに。



配達中の郵便屋さんの自転車が停まっていました。
やっぱりスウェーデン国旗色です。



● リコリスのハリボー

スーパーには、リコリス味の黒いお菓子、シュネッケンがありました。
これは知っています。タイヤのような食感の「世界一まずいグミ」ですね。
前に仕事仲間がいやげものとして買ってきましたが、誰も手をつけなかったので、いつまでも職場の冷蔵庫の中に残っていました。



日本人はまず敬遠するそのお菓子が、こっちではたくさん売られています。
「ソウルフードだからね~」
声を大にして聞きたいです。ナゼ?ドーシテ?

「私もリコリス大好きだし」
平気だというリョコちゃんの顔をまじまじと見つめます。
きっとこれが、北欧の踏み絵。
これが食べられないようでは、ここには住めなさそう。
 
こちらの人たちは、スイーツではなく、食後の清涼食品としてたしなんでいるそうです。
キシリトール代わり?うーむ。

● スウェーデンのお酒事情

移民の導入により、以前よりも治安が悪くなっていると聞きますが、それでも道端に乞食や飲んだくれを見かけません。
「まず、寒くて外にいられないからね」
その大前提がありましたね。

街はどこを見てもきれいですが、そういえば野良猫一匹、見かけません。
「飼い猫にならないと、寒くて生きていけないよ」
そういうわけなのね~。



スウェーデンでは、お酒は政府によって厳しく管理されています。
20歳以上にならないと購入できないという法律があり、さらにアルコール度数の高いお酒が買えるのは、国営のシステムボラーゲット(Systembolaget)という酒屋のみ。
ちょっと覗いてみると、お酒がどーんと並んでいて、免税店のようでした。



(クラシカルだなあ、なんの建物だろう?)と思ったら、Bastard Burgersというバーガー屋さんが入っていました。
ちょっと意外。



ウプサラでも標識をみつけました。
飛び出し注意かな?のどかな絵ですね。

● 明朗会計・無印良品

スウェーデンにも、無印良品が入っていると聞きました。
シンプルなデザインは、こちらでも人気だそう。確かに北欧風ともいえますね。
以前、ウプサラにグラニート(Granit)というスウェーデン版無印良品があり、リョコちゃんも気に入っていたそうですが、そちらはなくなり、無印の方が残ったそう。



「ちょっと見てみない?」と言われて、売り場へ行ってみます。
わあ、MUJIも日本語もそのまま。
「日本の商品のままで売られているから、プリントされた日本の値札もそのままついてるの」
どれどれ、と、てぢかにあった色鉛筆を手に取ってみました。



「わあ、本当に日本で売られているものなのね」
「で、これが299クローネの値段がついているでしょう?」
「300クローネとして、15を掛けたら…4500円!」
「そう!なのに、日本円の値札は2100円って書いているのよ~」

きゃあ、こっちでは2倍以上のお値段になってしまっていますよ!!
いくらなんでも高すぎですね。
日本での値段がわかってしまうため、どうしてもブレーキが入ってしまって、なかなか買えないそうです。
里帰りした時に買いこもう!

ちなみに、ここまで高くなったのは、今の日本の金融計画のためだそう。
アベノミクスがこんな形で!?

● 北欧陶磁器

昨日、ムーミンマグカップコレクションを見せてもらいましたが、リョコちゃんはほかにもアンティーク食器を集めています。
彼女がチェックしている、北欧陶磁器のコーナーに行きました。


イッタラ


飽きのこない、シンプルで美しいデザインがいいですね。
ハイブランドのラインアップが充実しています。
あれ、でもロイヤル・コペンハーゲンとジョージ・ジェンセンは、デンマーク。
マリメッコ、イッタラ、アラビアは、フィンランド。

そういえば、スウェーデンのブランドってなんだったっけ?
「リサ・ラーソンよ」
そうそう、彼女が好きなブランドでした。
ほかにはグスタフスベリ。本社工場がある場所は陶磁器の産地として有名で、アウトレットが充実しているそう。



ここで、エルクの木製コースターを発見。
北欧の職人の完全ハンドメイドの、Skandinavisk Hemslöjd(スカンジナビスク・ヘムスロイド)の製品です。
前に来た時に買ったもので、今でも気に入って使っています。

ところでマリメッコとは「マリちゃんのドレス」という意味だそう。かわゆい。

寒く冬が長い北欧は、家で過ごす時間が長いため、居住空間を快適にするインテリアデザインが発展したそうです。
ということは、日本も東北以北のインテリアデザインが期待できるかもしれませんね。

● ライトアップ大聖堂

夕方になり、町は薄暗くなってきました。大聖堂に灯りがともります。



そばにある古い井戸は、今でも動きます。
ポンプを動かしてみると、私たち日本人の背丈よりも高い場所から水がジャーッと大量に流れ落ちてきて、あわてて横っ飛びしました。
北欧の秋の夜、外で水を浴びたら、すぐに冷え切ってしまいますからね。



日本でもおなじみの、道路標識。
完全に遊んでます。いいの?
いいんでしょうね。フリーダム~。



● 黄色い救急車

音を鳴らして救急車がやってきました。
見ると、黄色の車体です。
「派手だねー」と言ったら、「白いのは日本くらいじゃない?」と言われました。
あれ、そうだったっけ?



あとで調べてみたら、アメリカ・フランスは白、ドイツがオレンジメインでした。
北欧諸国とイギリス、オーストリア、チェコが黄色ベースで、やけに目立ちます。
雪国だから?

ちなみに消防車は、日本と同じく赤ベースだそうです。

● プジョーのペッパーミル

帰宅して、夕ご飯の支度。
塩胡椒入れに目が留まりました。
「あれ、プジョーのマーク?まさかね、ハハ」

と笑いかけたら、本当にプジョー製でした。
えー、プジョーがペッパーミルを作っているの?
ビックリ鳩の目の私に、リョコちゃんが教えてくれました。



粉挽き業者だったプジョー家の跡を継いだ兄弟が、刃の切削加工技術の特許をとり、ペッパーミルを誕生させたのだそう。
兄弟はその後、製粉所を製鋼作業所に改造し、現在の自動車工業のプジョー社に続いているとのことです。



そんな歴史があったんですね。知らなかった!
エルメスが革職人だったように、プジョーはかつては製粉業者だったんですね。
この技術は車のギアにも生かされているそうです。



もともと頭のいいリョコちゃんですが、知識も豊富。いつもいろいろなことを教えてもらっています。
プジョーのペッパーミル、私もいつか入手したいわ。

● 女子力ディナー

今日のメニューは、ミントとチーズ入りのトルテリーニ。



ラビオリにサラダとハムを載せると、女子力高いディナーにたちまち早変わり。
インスタ映えするわ~。



彼女はメニューの種類ごとにクックパッドを使い分けている達人です。

● フィーカの時間

今日は結構二人ともくたくた。久しぶりの人混みの中、石畳の古い道を歩いていたのもあるけれど、やはり赤ちゃんがいると、万事に気を払わなくてはいけないからです。
ママはこれが毎日のことなので、本当に大変ですね。

ベイビーが見たがる幼児用DVDを家でずっとかけていると、ニュースが見られなくなり、世の中の流れがわからないまま家に引きこもることが、母親のストレスに繋がるそうです。
育児の悩みは、万国共通ですね。



スウェーデンでは、身近な人たちとお茶をすることを「Fika(フィーカ)」といいます。
この時間を人々は大切にしていて、勤務中も10時と15時がフィーカの時間。
食事の後のフィーカです。

スウェーデンのお菓子は、ペッパーコッカーというジンジャークッキー。
薄いのが主流ですが、これは厚いタイプ。



● 今日のマグカップ

今日のフィーカのカップ。惜しげなくムーミンマグが出てきたので、思わず「いいの?」と聞きました。
「いいの。使えるものだから好きなの」
ただ飾っておくだけではなく、実際に使える陶器を集めているという彼女。
すばらしい。モノは使ってこそですからね。

どちらもモスグリーンがベースですが、絵柄は違います。
こうやって色を合わせるところも、いいセンスだわ。



右側のカップルは、なんか変わった言葉をしゃべる小人でしたね。
名前、忘れちゃったなあ。
「トフスランとビフスランよ」
「そうそう」
言われて思い出しましたが、おしゃべりしながらゆっくりフィーカしているうちに、また忘れていきました。

4日目に続きます。



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