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基礎からのアメコミ映画講座:X-MEN編

2012-04-28 | 映画
基礎からのアメコミ映画講座、第2回はこちら。
先ごろ最新作「ウルヴァリン2」の撮影予定が変更された、と
発表された「X-MEN」シリーズについてです。

まずは原作の基礎知識から。
X-MENの創刊は1963年。原作はスタン・リー、
作画はジャック・カービーというマーベル黄金コンビの作品でした。

人類の中に生まれた特別変異種「ミュータント」。
畏れられ、差別の対象となる彼らを保護し、教育する「恵まれし子らの学園」。
その生徒たちは世界を脅かす敵に対しては、その超能力を駆使して戦う
ヒーローチーム「X-MEN」として立ち向かうのです。

初代メンバーは最強のテレパシー能力者・プロフェッサーXを指導者に
目からビームを出すも、自分の意思でコントロールすることができず
常にバイザーを着用することを強いられているリーダー・サイクロップス。
富豪の息子として生まれ、背中に生えた羽根で空を飛ぶエンジェル。
ゴリラのような体格と怪力を持つビースト。
いたずら者の最年少・氷を操る能力を持つアイスマン。
メンバーの紅一点・念動力とテレパスを持つマーヴルガール。
ここにサイクロップスの生き別れの弟、破壊エネルギー能力を持つハボックや
磁力を操る女性ミュータント・ポラリスが後から加わります。

しかし、この初代メンバーの間、このタイトルはまったく人気が出ませんでした。
当時一番人気があった作画担当であるニール・アダムスがDCから移籍した際
「マーベルで一番人気のないタイトルを任せてほしい」といって
この作品を引き受けたものの、まったく人気が出ずに
途中から新作を書かず旧作の再発行になってしまったくらいの不人気でした。

その不人気へのてこ入れが行われたのは、1972年。
生きている島・クラコアに囚われたX-MENたちを助けるために
世界各国のミュータントを集め、新X-MENが結成されたのです。

カナダから超回復能力を持つタフガイ・ウルヴァリン。
アフリカからは気象を操る魔女・ストーム。
ソビエトからは怪力と鋼鉄の体を持つコロッサス。
イギリスからは超音波で空を飛ぶバンシー。
ドイツからは悪魔的外見を持つテレポーター・ナイトクローラー。
日本からは原子の炎の力を持つサンファイア。
アメリカからは怪力を持つネイティブアメリカン・サンダーバード。
サンダーバードは戦死、サンファイアはX-MEN加入を拒んだものの
この二人を除く5人にサイクロップスがリーダーとして残留、
初代メンバーたちはそれぞれの道に進み、この新生X-MENが始動しました。

この新生X-MENが人気となり、特にウルヴァリンの人気が高まっていきました。
後に復帰したマーヴルガールを巡るサイクロップスとの三角関係や
過去の記憶を失っているという謎めいた設定、
敵を殺すことを厭わないハードさなどが人気を集め、
後に独立誌が出たりもいたします。
(日本でYAKUZAやNINJAと戦うエピソードもあったり)

さらに若い少年ミュータントたちによる新チーム「ニューミュータンツ」や
マーヴルガールの死→復活から初代メンバーたちが集まった「Xファクター」
X-MEN全滅の際にヨーロッパのミュータントたちで作った「エクスカリバー」など
後からどんどん新チームが生まれるとともにこれらのタイトルがクロスオーバーし
X-MEN本体にもどんどんと新メンバーが加入することで
大河ドラマ化し、人気を高めていきます。
(AKB48やモーニング娘。などの多人数アイドル的な展開ともいえますね)
特に80年代後半から90年代前半にかけ、ジム・リーが作画を担当すると
その人気は爆発的なものとなったわけです。
その後、2000年あたりに一旦ストーリーや刊行誌が整理されて以降も
マーベルの中心的なタイトルとなっております。

さて、映画1作目は2000年に公開されました。
監督のブライアン・シンガーは「ユージュアル・サスペクツ」で注目を集め
前作はナチズムを描いた「ゴールデン・ボーイ」ということで
『なぜアメコミ原作映画を?』という疑問がもたれていましたが
ミュータント差別をセクシャル・マイノリティ差別と重ね合わせることで
『自分たちの問題』として描こうとした側面も感じられます。
(監督を始め、キャストにも同性愛者であることを公表している人が多いのも
 その制作姿勢を反映させたものであると思います)

一部のキャラは原作に比べて書かれ方が薄かったり
(サイクロップス、セイバートゥースあたりが割りを喰う形に)
「スターウォーズ:EPISODE1」で話題になったレイ・パークが演じるトードが
逆に異常に強くなっていたりということもありましたが、
ウルヴァリンを演じたヒュー・ジャックマンと、
ストームを演じたハル・ベリーがこの映画でスターへの階段を登り、
ハル・ベリーは次作「チョコレート」でアカデミー賞を受賞いたします。

続編「X-MEN2」は2003年公開。
前作での「アクション描写が弱い」という批判を受けアクションを強化、
ウルヴァリンの過去に迫る内容となり、高い評価を得ることとなります。

しかし、3作目を前にシンガーはサイクロップス役のジェームス・マースデンと共に
「スーパーマン・リターンズ」に参加することを決定、
進行していた企画は早撮りで知られるブレット・ラトナーに引き継がれ
「X-MEN:ファイナル ディシジョン」として2006年に公開されます。
前作ラストで死亡したジーン・グレイ(マーヴルガール)の復活と暴走を描いた
「ダークフェニックス・サーガ」と、ミュータント能力を消す薬「キュア」についての
「アストニッシングX-MEN:ギフテッド」を原作にしたストーリーでしたが
製作時のごたごたもあって、とっちらかった印象の映画になってしまった感もあります。

この3作でシリーズは一旦完結、という形をとりますが
スピンオフ映画の制作が発表されることになりました。

さて、2000年代中盤、原作では「ハウス・オブ・M」クロスオーバーをきっかけに
ミュータントの数が大幅に減少してしまう、という展開が起こるとともに
これまで謎であった「ウルヴァリンの過去」が判明するというトピックもありました。

その展開を受けて、2009年にスピンオフシリーズ第1弾
「ウルヴァリン X-MEN:ZERO」が公開されることになります。
ウルヴァリンことジェームズ・ハウレットの過去を描く作品となった今作は
原作のキャラとのブレが大きいキャラがいたりする部分もありましたが
アクション映画として満足度の高い作品となりました。

そして2011年、スピンオフ作品にして新3部作の第1弾となる
「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」が公開されました。
制作にシンガー、監督にマシュー・ヴォーン(「キック・アス」)を迎え
プロフェッサーXとマグニートーの青年期を、キューバ危機と絡めて描いたこの作品は
リブート版007テイストを感じる超能力アクション物として
高い評価を得るとともに、青年マグニートーを演じた
マイケル・ファスベンダーがブレイクする作品となりました。

さらに日本を舞台にした「ウルヴァリン2」の制作準備も進んでいたのですが
東日本大震災の発生などで日本ロケの予定が流れ、制作自体も遅れているとのこと。
また、企画として2014年公開予定で「デッドプール」の制作も行われるようですが
「ウルヴァリン」出演時のデッドプールが原作と違うキャラだったこともあり
(原作では読者に突然話しかけてきたりもするようなキャラ)
どうなるのか注目されるところです。

さて、日本におけるX-MENは、といいますと
80年代に「ポップコーン」誌での邦訳があり
1992年にコナミによるアーケードゲームが作られましたが
本格的な展開は94年にテレビ東京系でのテレビアニメ放送、
カプコンからの格闘ゲームリリース、竹書房からのアニメ漫画化、
そして小学館プロダクションからの邦訳アメコミ出版に
タカラからのフィギュア輸入販売というメディアミックス展開があり、
ここから日本における第2次邦訳アメコミの時代がスタートした
そんな作品となっております。

アニメ自体は時間移動を挟み全体の半分ほどで終了しましたが
(後にCSで声優変更して全話放送)
アメコミ邦訳は途中で雑誌形式の「MARVEL X」を挟みつつ毎月刊行され
平行世界物の傑作「エイジ・オブ・アポカリプス」も電話帳なみの厚さで
3冊に全作品収録で刊行されるほどの人気もありましたが
「ゼロ・トレランス」を最後に刊行が一時終了することになりました。

その後、新潮社から映画で入った人向けの平行世界もの
「アルティメットX-MEN」が11巻まで、
本編のほうも日本人漫画家・麻宮騎亜担当分が1冊のみ邦訳されましたが
話が唐突に終わりフォローもされないまま時間が過ぎていきました。

2010年、ヴィレッジブックスから「アストニッシングX-MEN」の邦訳刊行がスタート、
小学館集英社プロダクションからも「X-MEN ウルヴァリン:オリジン」が刊行され
アヴェンジャーズとのクロスオーバー「ハウス・オブ・M」を含め
現在もヴィレッジブックスを中心に刊行が続いている・・・はずです。
(現在、「デッドリー・ジェネシス」まで刊行中)

これから原作に触れられる方は、「アストニッシングX-MEN」を
1冊目の「ギフテッド」から読まれるか、
小学館集英社プロダクションからの「X-MEN:ファーストクラス」
(初代メンバー時代に描かれなかったストーリーを描く、というシリーズ)
を読まれるのが一番いいように思います。
(以前の小プロ版を古本屋で買われるのもいいですが、途中絵がかなりきつくなります)

登場人物が多いこともあり、若干ハードルが高く感じるかもしれませんが
一人好きになれるキャラを見つければそこを軸に楽しめるのがチーム物なので
戦隊物感覚で楽しんで頂きたい、そんな作品です。



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