金木犀、薔薇、白木蓮

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映画:『さらば、わが愛 覇王別姫』

2010-09-05 16:07:30 | 映画の感想
映画:『さらば、わが愛 覇王別姫』(陳凱歌監督)
★★★★★

娼婦である母によって、捨てられるように
京劇俳優の見習いとして師匠のもとへ預けられた程蝶衣。
厳しい稽古と体罰に耐えながら成長した彼は、
女形として仲間の一人・段小樓とともに
トップ俳優の座に上りつめる。
「覇王別姫」の劇そのものに、蝶衣は小樓を愛するが、
小樓は娼婦の菊仙と結婚してしまう。
めまぐるしく社会が変容する激動の中国で、
京劇、そして俳優である二人を取り巻く状況は揺れ動き、
蝶衣・小樓・菊仙の愛憎入り乱れる関係は
悲劇へ向かうことになる。

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一人の男をめぐる三角関係の話だと思っていたら、
てっきり女だと思っていた主人公が男!
ホモセクシャルな感情が描かれているのだけど、
特に抵抗も感じず、彼の切ない恋情に
胸が締め付けられるような気持ちに。
小樓なんか、凡庸な小物にしか思えないんだけど、
蝶衣にとっては幼い頃の厳しい稽古を
ともに乗り越えた兄弟であり、
危機にさらされた京劇を受け継いでいくための
パートナーであるからこそ、
抜き差しならないことになっちゃったんだろうなあ。
激動の50年、時代の流れに翻弄されて
自分が救った捨て子に反逆され、
信じていた相手に裏切られる後半の展開がやるせない。

それにしても、レスリー・チャンの妖艶な美しさといったら!
「女よりも美しい男」ってほんとにいるんだね。

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