湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ブラームス:交響曲第1番

2017年04月08日 | ドイツ・オーストリア
○クレンペラー指揮フランス国立放送管弦楽団(WME:CD-R)1954/9/17モントルーLIVE

冒頭から重厚にドン!と決まるドイツ臭い響きでもうORTFかどうかなんて問題なくなる。技能の高さは言わずもがなだがアンサンブル力もなかなかのオケ、壮年期のクレンペラーもフルヴェン並の力とみずみずしさに前進力がくわわり、録音状態すら問題ないくらいにドライヴされたしっかりした音楽になっている。序奏部に音飛びがあるのは残念。2楽章もよくあるような緩やかな歌謡性を煽る方向にいくことはなく、最重要点として構造を明確にし、目先の情で変わらない音楽を指向する。ベートーヴェン的。ソロすらはっきりした部品として組み込み、ソリスティックな発音を廃し、全て音符どおりの長さに太い明確な音を吹かせている。純音楽的な完成度を目しているように感じる。3楽章はとくに前進力を感じる。極めてまとまった音響は何度でも聞くに堪えうる隙のなさを示している。4楽章も晩年のような横の粘りがなく、ドラマチックな音楽を徐々に煽り、主題の前奏としてあらわれるホルンなどのソロ旋律も徒に止揚し感傷を煽ることなく自然な流れの中に必然としてあらわれ主題の登場までの橋渡しをしっかり行っている。このあたり端正とい言ってもいいくらいだ。主部は迫力にみちた推進力がやはりフルヴェンを思わせる。このあたり録音が悪いのが難点。だがこの威厳とみずみずしさを兼ね備えた演奏の前にたいした問題ではない。オケの柔らかくもニュートラルな音とすこぶるいいバランスが、受難の客演時代の他曲録音でみられるような無味乾燥さや乱暴な処理ととられかねないぶっきらぼうな発音は中和され、もちろん曲の相性もあるんだろうが、まさにフルヴェンに拮抗しうるまとまりのよさっ強靭さを発揮している。50年代最良の遺産だろう。即物的なフィナーレもきっぱりした和音の連打に高潔さを感じさせる。拍手も盛大です。フランスオケをここまでベトオケにできたクレンペラー/ブラームスコンビ、外れはない。もっともどんなオケからも同じ音楽を引き出せる人なので同時期の録音を集めても一緒ですが。時期が違えばまたガラッと変わる。

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