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映画・演劇のレビュー

『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』

2015-05-20 20:22:25 | 映画
こういう映画が最近の中国は大好きだ。香港の中国返還以降、一時期本拠地をアメリカに移してハリウッド進出を決め込んだツイ・ハークだったが、なかなか上手くいかず、結局21世紀に入って、再び中国に戻ってきた。香港映画ではなく、より大きなマーケットを目指して中国映画の大作を手掛け、再びヒットメーカーの名を欲しい儘にしている。歴史アクション3D大作を続々と作り、大衆を大喜びさせているようだが、なんかあんまり . . . 本文を読む
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河合二湖『向かい風に髪なびかせて』

2015-05-20 20:21:40 | その他
4つの短編からなる連作だ。4人の少女が描かれる。4人とも自分に自信が持てない女の子だ。もちろん、事情はそれぞれ違う。お互いが羨ましい。人には自分にないものがあるからだ。隣の芝生に憧れるのは大人も子供も変わりない。小学校から中学に上がり、ほんの少し大人に近づいたけど、まだまだ子供でしかない。中学という場所はとても不自由で、息も絶え絶えになっている。そんな女の子たちのそれぞれの抱える問題が描かれてい . . . 本文を読む
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大阪新撰組『F・アラバール作品選Vol.1 戦場のピクニック 祈り』

2015-05-18 21:18:26 | 演劇
とても簡単につなぐことによって、2つの話をきれいにひとつにまとめて1本の作品として提示することができた。シンプルであることがこんなにも美しい。 戦場で繰り広げられるのどかでおだやかなピクニック。青年兵士と、その両親、さらには敵兵も交えてのピクニックである。『戦場のピクニック』はそんな明るい不条理劇だ。だが当然、ラストでは一転、地獄となるのだが、それすら静かに収束していく。そして、おびただしい死 . . . 本文を読む
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『マイ・マザー』

2015-05-18 21:17:44 | 映画
グサヴィエ・ドラン、19歳のデビュー作を見た。前から見たいと思っていたけど、きっと、暗いし、重いから、と先送りしてしまっていた。でも、先週彼の最新作『マミー Mommy』を見て、今、見ずしていつ見る、と覚悟を決めた。(なんと、おおげさ)19歳で監督、脚本、主演を一手に引き受けて、これだけの作品を作るなんて、改めて脱帽だ。こいつは恐るべき子供だ。 母親との確執を描き、とことん両者の関係を突き詰めて . . . 本文を読む
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笑の内閣『名誉男性鈴子』

2015-05-18 21:12:35 | 演劇
チラシにあるストーリーとは微妙に変わった本編のストーリー。要するに台本を書いているうちに設定が変わってしまったのだろう。いつもタイムリーな時事ネタを取り込み、作品化する高間響さんは、大手企業で管理職コースに乗っていた女性、という設定を市長選に出馬した女性市会議員へと変更して、大阪都の住民投票の日にぶつけてきた。 「見た目は淑女、中身はおっさん」という「名誉男性」(この卑屈なネーミングのことを僕 . . . 本文を読む
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『ブリングリング』

2015-05-16 20:44:56 | 映画
ソフィア・コッポラの新作だ。今回も彼女は自分の興味の赴くまま、自由に世界を切り開く。少女たち(少年も混じる)のキラキラした暴走振りに圧倒される。むちゃくちゃする。おいおい、と思う。でも、彼女たちは止まらない。犯罪映画なのに、その遊び感覚は楽しい。不謹慎は承知の上で彼女たちのショッピングを(その危ない冒険を)なんだか、応援してしまう。きっととんでもない目に遭う。そんなことは、わかっているのに、(とい . . . 本文を読む
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『ジェリーフィッシュ』

2015-05-16 19:07:27 | 映画
金子修介監督の新作なのだが、これは金子? と思うしかないくらいに、まるでつまらない。どこにも可能性が感じられない映画以下の代物。どうして彼はこんな仕事をしたのか。レズビアンを興味本位で取り上げるわけはない。でも、そこに何を描こうとしたのか、まるで伝わらない。主人公の2人の女の子たちが何を考え、何を思い毎日生きているのか、それすら伝わらないようでは、これは映画ではない。『自縄自縛の私』(これもつまら . . . 本文を読む
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『攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers』

2015-05-16 09:10:10 | 映画
border:1を見た時、正直言ってがっかりした。これではお話の導入でしかないではないか、と思った。 最初に劇場でborder:3を見ていたから、その圧倒的情報量とそれを1時間に凝縮して見せようとする姿勢に感心して、1を見る気になっただけに、残念だった。こういうただの説明はいらない。しかも、それだけで1本終わらせるなんて詐欺だ、と思う。 オリジナルである押井守監督の傑作以降のTVシリーズや劇場版 . . . 本文を読む
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『殺人の川』

2015-05-15 19:41:06 | 映画
この地味な韓国映画が、なかなかいい。先日見た『海にかかる霧』よりもこれのほうがより『殺人の記憶』のDNAを受け継いでいるのではないか、と思う。とんでもなく暗い映画だけど、韓国の暗い時代がちゃんと描かれてあるのがいい。そういう意味でもこれは『殺人の記憶』を想起させる。 ふたりの少年が好きだった少女。彼女が雨の日に殺される。犯人は誰なのか。事件は迷宮入りするのだが、その出来事は彼らの心に暗い影を残す . . . 本文を読む
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『リトル・マエストラ』

2015-05-15 19:40:16 | 映画
ただただ甘いばかりの映画だ。こういうタイプの映画を、つまらないと切り捨てるのは簡単だが、そうはしない。もちろん、有村架純が『ビリギャル』以前にも、こういう蓮っ葉な役(最初だけ、だけど)を演じていたという発見は大きい、なんてことが理由ではない。 このロケーション素晴らしいのだ。そこにあるさみしい風景がなんとなく心に沁みてくる、そんな映画なのだ。僕はこういうのは嫌いではない。ただ、もう少し語られる . . . 本文を読む
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藤沢周『界』

2015-05-15 19:39:01 | その他
この短編集は身に沁みた。まるで旅のエッセイのようなさりげなさ。ほんの一時の心の記録でもある。読みながら、主人公と一緒にこういう実にうら淋しい風景に身を委ねることとなる。さまざまな場所が舞台となる。彼が旅先で出会う街角の、路地裏の、飲み屋や食堂でのひと時が描かれる。冒頭の『月岡』では、幼い頃、死んだ祖母と来たことがある温泉を50年ぶりに再訪した男を描く。それって記憶の原点への旅ではないか。 以下、 . . . 本文を読む
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大崎善生『ロストデイズ』

2015-05-15 19:37:41 | その他
20代の終わりの夫婦が主人公。若くして結婚して、切迫流産の危機を乗り越えて、子供が生まれる。2年後。夫は思う。自分たちはもう人生の頂上を極めてしまったのではないか。だとすると、これからは下るしかないのではないか、と。 人生は山登りではないけど、そんな例えをするなら、どこが頂上なのか。必死に生きてきて、いくつもの苦難を乗り越えて、何かをやり遂げた気分になる瞬間があるのかもしれない。なんだか、傲慢 . . . 本文を読む
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『監視者たち』

2015-05-14 20:23:07 | 映画
香港映画『天使の眼、野獣の街』のリメイクである。(なんとラストではオリジナルの主役であるサイモン・ヤムがゲスト出演している)オリジナルよりもスタイリッシュな作品となった。都会の迷路を、監視カメラを通して確実に明確なものとして捉え、犯人を静かに追い詰めていく。クールな作品になった。 情報化社会が犯罪捜査を変えた。監視カメラを駆使して、犯人を捜し出す。事件は捜査室の中だけで完結しそうな勢いなのだが、 . . . 本文を読む
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『15歳、アルマの恋愛妄想』

2015-05-14 20:14:38 | 映画
とてもへんてこな映画を見た。未公開(これを書いた後で調べると、2013年に公開されていた)の2011年製作ノルウェー映画だ。邦題はこんなのになっているけど、実際は『チンチン・アルマ』というのが適当。 女性監督であるヤンニッケ・シースタ・ヤコブセン監督作品。それにしても、これ変すぎ。冒頭から主人公の少女がテレフォンセックスしてるシーンから始まる。啞然とする。なんだ、これは。 でもこ . . . 本文を読む
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努力クラブ『彼女じゃない人に起こしてもらう』

2015-05-13 20:08:48 | 演劇
なんとも不思議なお話だ。しかし、それをもっとスタイリッシュに見せてくれたならいいのだが、少し、拙くてぎこちないから、乗り切れない。惜しいなぁ、と思う。 同棲している彼女がいるのに、バイト先の先輩の誘いに乗って夜中に出ていく。「やっかいな、先輩なんだ、」とか言い訳しながら、先輩のいるファミレスに行く。もちろん、彼女には先輩が女であることなんか言わない。別に彼がやり手の女たらしである、というわけでは . . . 本文を読む
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