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映画・演劇のレビュー

『銀色のシーズン』

2008-01-28 21:03:41 | 映画
 充分予想していたけれど、そんな予想を遥かに超える大バカ映画だった。今時ここまで確信犯的にくだらない映画を大金投入して作ってしまう勇気っていったいどこから生まれてくるのだろうか。

 驚きなんて、とうの昔に通り過ぎた。これは超犯罪的映画である。ファーストシーンから、ラストまで、考えられないようなバカな設定とストーリーで、それを結構本気に見せていく。勘違いではない。わざとこんな映画を作っているのだ。酷いとか酷くないとかいう問題ではない。これは真面目に映画を見に来た人にとっては悪夢としか言いようがない。

 だいたいこの設定で今時映画を作ろうなんてこと自体が時代錯誤で、誰一人この映画に期待なんてしてないことは、ガラガラの劇場を見れば明白だ。わずかにここにいる観客は、もしかしたら僕と同じで誰もが見たこともない茫然自失の映画を見たくて来た撃沈覚悟の特攻隊志願の観客であろう。(ごめんなさい。言いすぎです。スキー好きの人とか、瑛太のファンとか、ラブロマンス期待した人とか、健全な観客がほとんどだと思う。)

 だが、劇場では、失笑すらなく、みんな静かにこの映画を見ていた。でもこれは絶対「いってしまっている」映画だ。ドラッグでもやっている気分だった。だいたい今時スキー映画を作るなんて、まともな神経の人たちではない。『私をスキーに連れてって』の頃ではない。もうそんな時代ではないだろうと思う。もちろんスキーが時代遅れだなんて言うのではない。スキーを密かに楽しんでいる人たちはいないわけではない。趣味として、ウインタースポーツとして楽しむことにやぶさかではない。しかし、それを映画にすることって「盆栽」をテーマに映画を作る以上に困難を極めることが必至なのだ。なのに『海猿』シリーズの羽住英一郎監督はそれをやってしまった。

 しかも中途半端は一切しない。剛球ズババンの直球勝負である。娯楽の王道を行くボーイ・ミーツ・ガール。最初のめちゃくちゃなスタントシーンから一気にありえないドラマに突入していく。開いた口が塞がらない。細かいことは今は書かない。目撃すればいいのだ。そう、もう何も考えることはない。この時代錯誤のワンダーランドを体験したい人は、今すぐ劇場に駆けつけるといい。早く行かないと上映が終わってしまうぞ。

 田中麗奈は飛び切り可愛いし、瑛太たち雪猿3人組はキュートだ。今年一番の「とんでも」映画がまだ1月も終わってないのに登場だ。さっさと目撃せよ。ありえないことに出逢えれる。

 でも、お金と時間があるのなら、僕は他の映画を見ることを勧めるが。

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