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映画・演劇のレビュー

満月動物園『ツキノオト』

2015-06-24 21:42:53 | 演劇

死神シリーズ「観覧車編」の第3作。今回の主人公は上原日呂が演じるやさしい男。やさしすぎて悲しいほどだ。いつも主人公を演じるゲストの男優はやさしい。でも、やさしいだけでは、生きていけない。とんでもない運命と向き合い、成長していく男女の姿を描くのがこのシリーズで、甘いハートウォーミングだけど、そこには人生の真実が確かに垣間見える。そういうところもこのシリーズの魅力であろう。

さて、今回のエピソードだが、死神は彼にではなく、彼の恋人(河上由佳)にとりつく。だから、男はお話の傍観者としての立ち位置を与えられる。そこがほかの作品とは違う点であろう。しかも死神は彼女を助けられない!

これは5部作の起承転結における「転」のポジションを与えられる作品と言えよう。お約束はちゃんと守りながらラストまで一気に突き進む。2時間20分の大作だ。

だが、別にこれがことさらほかの作品よりも力が入っているわけではない。いつもと同じ。長さも感じさせないのも見事。見終えたときにはいつものように2時間くらい、と思ったほどだ。時計を見て驚く。でも、思い返すと確かに少し長かったかも、って。それって、すべての登場人物を結構均等に近い描き方をしたからだろう。そのせいで2時間20分になった。

どうしようもない運命を担って、その中で毎日をしっかり生きようとするヒロインの姿が気持ちいい。結局は河上由佳が主人公になる。でも、彼女をセンターに持ってこずに群像劇のスタイルを取る。

そういう作り方も含めて前2作とは微妙に違うのがわかる。別々に見てきたこの4部作をこうして連続で見ると、その違いが明確になり面白い。1話完結連作、でも、全部を見たなら、その先が見える、そんな感じの構成になっているはず。後、残りは2作品。次回も楽しみだ。




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