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映画・演劇のレビュー

『GODZILLA 怪獣惑星』

2017-11-21 21:29:20 | 映画

 

なんとアニメーション映画になった『ゴジラ』である。最初この企画を知ったときには、子供向けの映画でも作るつもりか、と思ったが、そうじゃないことはすぐに明白になる。だが、それでもアニメのゴジラは不可能だろう、と思った。今はやりの3部作スタイルと言うことを知った時には、ますます心配になった。どこまで本気で取り組むのかが見えないから、期待より不安のほうが大きく膨らむ。昨年の『亜人』3部作の監督というのは、なるほど、と思わせるが、同じように昨年のあの『シン・ゴジラ』の後を受けて、全く違う設定と世界観のもと、どれだけのものが可能なのか。ビジョンが見えない。

 

完全にSF映画のフォーマットなのだが、そこにゴジラがいる必然性がなくてはこの企画は成り立たない。破壊神ゴジラというスタンスは崩せない。正義のヒーローはあり得ない。でも、その先が見えない。怪獣バトルなんて論外だ。これはとんでもなく難しい映画になる。

 

そんなこんなで、まず見なくては何とも言えない。89分という上演時間も不安要因にしかならない。そこからは、水増しして3本に話を割った、ように見える。映画は悠々たるタッチで語られていく。話がなかなか進まない。イヤな予感ばかりが高まる。

 

取りあえず1本の映画として完結していたのはよしとしよう。だが、あのラストも含めて、ここから新しい展開はなかなか期待できない始まり方だ。だいたいゴジラ一体のために地球を棄てるという最初の設定自体に説得力を感じない。なぜ、棄てなくてはならないのか。ゴジラをどこかに閉じ込めることは出来なかったのか。

 

それから20年後の地球に帰ってくるというのも、なんだかなぁ、と思う。地球では長い歳月が流れていて、でも、そこにはやはりゴジラが君臨していた、というお約束の展開はともかくとして、ゴジラと戦い勝つという取りあえずのハッピーエンドを用意するのも致し方ない。さらには、だが、それだけでは終わらないのも、当然で、一匹目のゴジラはただの序章でしかない、という展開も予想の範囲内。要するに何の驚きもない映画なのだ。ただの予定調和で2作目につなぐなんて、ちょっとした詐欺行為であろう。

 


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