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映画・演劇のレビュー

『シングルマン』ほか四本

2011-08-05 19:41:41 | 映画
 10日間で10本のDVDを見た。TSUTAYAが100円セールをしていたから、ついつい調子に乗ってレンタルしてしまったのだ。それでなくても、忙しかったのに、借りた以上見なくてはならないから、毎日1本、疲れ果てた夜中か、仕事に行く前の早朝に見続けた。結構ハードで、もう途中で何度投げ出そうかと思ったけど、返却日までで、なんとか完走した。そのうちの5本は既に書いたのだが、残りの5本については、もう書く余裕がない。そこで、簡単なメモだけ、まとめて書き残しておく。

 トム・フォード監督『シングルマン』が一番素晴らしかった。先に見た『スプリング・フィーバー』同様ホモセクシャルを扱うのだが、当然興味本位の映画ではない。あの時代(60年代が舞台だ)自分の性癖をオープンにはできない中、それでも自分に正直に生きようとした男の内面が、その晩年となった最後の時間の描写の中で綴られていく。コリン・ファースが凄くいい。

 久々に日本製のオリジナルアニメも見た。3時間に及ぶ大作『涼宮ハルヒの消失』である。さすがにこれは長い。でも、この雰囲気は悪くはない。不在のハルヒの謎を追いかけて主人公がもうひとつの時間を生きることになる。学園もので、とても静かなタッチで、今、こういうアニメが世の中ではけっこう人気があるのか。ちょっと勉強になった気がする。

 1昨年のカンヌ映画祭「ある視点」部門に出たフランス映画『あの夏の子供たち』もおもしろかった。ワーカーホリックの父の死。残された妻と2人の子供たち。前半の彼が死ぬまでの部分がいい。彼は映画プロデュサーで、マイナーでアート系の作品を精力的に作り続けている。ずっとケータイを離せないで、子供たちといるときでも、仕事の電話がひっきりなしにかかってくる。そんな彼のめちゃくちゃな日々から目が離せない。本題は彼が死んでからの子供たちの話のはずなのに。

 韓国の日本未公開映画から、プ・ジョン監督『今、このままでいい』を見た。女性監督らしい繊細な心遣いが、心に沁みる小佳作だ。姉と妹の旅を通して、2人を棄てていなくなった父の秘密を知る、という話。

 最後の1本は昨年秘かに公開された平山秀幸監督の『信さん 炭坑町のセレナーデ』だ。今の時代になぜ、こういう映画が作られるのか、不思議でならなかった。それなりにお金もかかるし、でも、絶対にヒットしそうにない。こういうノスタルジックな話を丁寧に描かれると、まるで昔の映画を見ているみたいで、なんだか優しい気分にさせられる。でも、なぜ、今、これを作るのか、やはりよくわからなかった。少年の成長物語で、親友の母親(小雪が演じる)にむける純真な愛が描かれる。いい映画だったとは思う。だが、なんか釈然としなかった。

 以上5本。ようやく、書き終えた、と思ったら、また、TSUTAYAから、次の100円セールの案内が来た。また、借りてしまうのだろうか。自分が怖い。


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