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映画・演劇のレビュー

コンブリ団『ブラックホールのそこ』

2015-10-07 19:38:21 | 演劇
「そこ」は指示語としての「そこ」でもあるが、「底」でもある。この作品はそういう二重構造が随所に描かれる。いや、その繰り返しである。いたるところ、そればかり。なんでもない母と娘の会話。会社の上司と部下の会話。同じ場所で、同じ時間にかわされたとりとめもない会話が2つ。同時進行であるはずのそれらが、順に描かれる。吹き抜けとなった巨大ショッピングモールの共有スペース。今では、どこにでも見られる場所だ。明る . . . 本文を読む
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オリゴ党『折紙の適応戦略』

2015-10-07 19:37:31 | 演劇
久しぶりの新作長編となった岩橋さんの作品は、とても小さなお話だ。カフェ公演であることを十二分に意識した作劇になっている。空間だけではなく、窓から射し込む自然光もそのまま生かした芝居なので、描かれる時間は、昼公演は昼間で、夜公演は夜になる。それだけで印象は変わりそうだが、それでいいのだろう。外を通る人たちの姿を見ながら芝居は進行する。(ときどき、何をしているのだろうか、と立ち止まり、覗き込む人にいる . . . 本文を読む
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『ジョン・ウィック』

2015-10-07 19:25:47 | 映画
キアヌ・リーブスの最新作だ。続編も決定しているというこのアクション映画はキアヌ復活を告げる会心の傑作。101分という短さもいい。シャープな切れ味が身上の作品なのだ。2時間の大作ではこの感触はとうてい望めない。一気にラストまで、見終えて、ため息をつく。いいものを見た、という充足感。 めまぐるしく、ではなく、心地よく、テンポよく見せる。ストーリーはどうでもいい。この気分だけがわかれば十分なのだ。愛 . . . 本文を読む
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『ダークホース』再び

2015-10-07 19:18:50 | 映画
福岡アジアフォーカスで見た映画の話を順次書いたけど、最後にもう一度、一番最初に見た『ダークホース』のことを書きたい。以下は、見た直後のメモである。 心を病んだ男が、貧しい子供たちにチェスを教え、オークランドでの大会で優勝する。こんなとてもベタな話なのに、これだけ感動的な映画になったのは、彼が自分の置かれた過酷な状況を受け入れて、そのなかで出来ることをしようとした。そういう当たり前のことが、こ . . . 本文を読む
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蛭田亜沙子『フィッターXの異常な愛情』

2015-10-07 19:17:08 | その他
こういうタイプの元気の出るコメディが今の時代に求められているのなら、これからもどんどん量産されることだろう。柚木麻子の『ランチのアッコちゃん』があまりによかったし、あれを超える作品はきっとなかなか難しいだろうけど、あれ以降、働く女性を応援する作品が目につく。読んでいて元気になる、というのはいい。飽きるまで、いろんな人がどんどん作って欲しい。これは「お仕事小説」の変化球なのだが、こちらが王道になり . . . 本文を読む
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インドネシア映画祭

2015-10-07 19:16:24 | 映画
アジアフォーカスに行く前日、シネマートで上映されていたインドネシア映画祭で2本を見た。わかりやすい娯楽映画なのだが、こういうのがインドネシアで大ヒットしたわけはよくわかる。いずれも、娯楽映画の定番を踏まえた作品で、ちゃんと泣かせるし、感動させる作品だ。いささか、あざといのも御愛嬌。 『タイパンタイラー』は、妻を亡くし、仕事も住む家も失った父と少年が、ダフ屋をしながら、なんとかして、元の仕事であ . . . 本文を読む
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