ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

スパゲッティナポリタン

2017年08月13日 | 食べ物


スパゲッティナポリタンは偶に食べたくなる料理だ。以前は洋食屋喫茶店での定番で、粉チーズタバスコをドバドバかけると更に美味くなるというちょっとジャンク寄りの食べ物であるのだが、今はお目にかかることも少なくなった。というより、それらを出していた洋食屋喫茶店(カフェではない)そのものがなくなったと言った方がよいだろう。唯、最近やや復活気味の傾向はあり、出してる店も前よりは増えているように思う。

そんなナポリタンをいくつか食べてみて思ったのは、昔と違う、ということだった。一般論として、本人が思ってる昔の味というのは純粋な味ではなく、記憶の中で再構築された郷愁込みの抽象的な味の記憶で再現不可能のものなのだが、この場合の違いは具体的で、ずばり麺の感触が違うのであった。決してアルデンテではなくプリプリでもない、むしろネチョっとした歯触りだ。こうするためには昔の作り方を忠実に再現しなくてはならない。ポイントは茹でたてではなく茹で置きの麺を使うこと。麺は安いママースパゲッティ。置く時間は一時間以上。油をかけてくっつかないようにする。その麺を使うと、一気に昔の味が再現される。具は玉ねぎピーマン、それとハム。本来ならプレスハムなのだがこれは今や絶滅。ボンレスハムで代用。或いは本格派ではない赤いウインナーのチューリップにしたもの。これも今はあまり見かけない。これらをマーガリンで炒めケチャップで味付けして茹で卵でも添えればもう殆ど完璧だ。

改めて食べてみると、当時は感じなかったジャンク色を郷愁と共に感じることだろう。そしてそれこそが追い求めていた味なのである。
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