「ゆわさる別室 」の別室

日々BGMな音楽付き見聞録(現在たれぱんだとキイロイトリ暴走中)~sulphurous monkeys~

本日の効果音(68)疾駆(「隠蔽捜査」m-15)/  窪田ミナ(2014)

2016-07-14 | 閑話休題・本日の効果音

〇本日からBS-TBS(13:00~)で、ドラマの再放送開始記念ということで(><)
 「月曜ミステリーシアター 隠蔽捜査 オリジナル・サウンドトラック」(日音、NQKS-2008)(2014.3.)

 たれぱんだたちが見ているのがサントラ盤だが、このドラマが気になって2~3月頃に#1~#5あたりを動画で見てしまい、そこで音楽がまた気になってCDで探したもの。さらにその隣にある原作の文庫本『果断/隠蔽捜査2』(今野敏)(ほぼ#3~#5のエピソード)も、買って一気に読んでしまった次第(写真)。
 
 その前の2013年前半期の「あまちゃん」の「杉本哲太&古田新太」さんダブル主演でライバル・生瀬勝久さんにして、適度なやさぐれ感と刑事コロンボ的な捜査力の強行犯係の戸高巡査部長の安田顕さんとか、審議官の神保悟志さんとか主席監察官の池田成志さんとかSITの斎藤歩さんとか管理官の古舘寛治さんとか、副署長の松澤一之さんとか主人公の奥さんの鈴木砂羽さんとか、その他にも、とにかく息詰まるような「舞台役者」系の「渋くて熱い芝居」に定評ある布陣が「半端なく」集結しているのである。ハンチョウにさらに輪をかけて美麗おっさんドラマだ(マニアには嬉しかろう。マニアックすぎるかもしれん。いわゆる可愛い若いもん(佐野玲於くんぐらいですかね)が少ないw)原作小説もいかにも「男社会」な話だったが。
 ※さすがに2014年1月のリアルタイムオンエア時には「あまちゃんからのダブル主役にHK変態仮面の父と偽物も共演」とかいう大それた宣伝はできなかったんだろうな(笑)。
 ※原作が有名で何度か映像化されているのだが、ちなみにTBSドラマ版主役の“柔軟な堅物”竜崎署長とやんちゃ系伊丹刑事部長というと、なんか「KinKi Kidsのブンブブーン!」ゲスト古田さんの上野居酒屋めぐりの回(CXで2015年10月)の時に古田さんが言っていた、杉本さんと呑んでて「表へ出ろ!」な勢いになった「東西ロックンロール対決」(!?)の話を思い出す(爆)←それ、ちょっと現場で見てみたいぞw

 改めて見てみると、時間帯なら夜10時枠にふさわしそうなドラマなのに放映が夜8時台だったことと、またテレビドラマ的には確かに、可愛げな若手アイドルが出てくる華やかさみたいなのがほぼ皆無なこともあって、非常に地味な印象を与えるところはある。面白いけれどその時間帯の番組にしてはエピソード詰め込み気味の難解な内容で、視聴に結構集中力が必要で気が抜けなさそうだ。さらに、どう見ても土ワイのテレビ欄みたいな長すぎてダサいサブタイトルが、意外に難しい内容とミスマッチな感だったりして(※サントラ盤の「漢字二字の熟語」の曲タイトルの方がかっこいいのに、本編はなぜなんだ)
 竜崎は原作小説からのキャラでもあり、彼の言うことは「本来の意味での」公僕、の在り方なのだろうが、2014年~今の2016年の現実世界では、そういう本質的な意味での「まっとうな公僕」に反する異常な公職者があまりにもおびただしく、平然と嘘をつき、率先してやくざな悪事をし罰せられず、国民の1%以下か以上か知らんがshamelesslyにニュースの中で跳梁跋扈していて、視聴者は日常的にもその幻滅感に辟易している。「国のために働く」という台詞は、(少し前ならそれほど悪い意味でもなかったかもしれんが)今の視聴者の側にはもっともらしく苦々しいマイナスイメージの方を連想させるのではなかろうか。一方、副署長の「家族的な組織観」が意外な成功も生んだりするところがドラマとしては面白いんだけど、考えるとむしろ前時代的であり、斜に構えた戸高の言ってる醒めた状況の方がよほど「現実的」だったりするとか。すべてめでたしとは行かず、全体的に「苦み走った」話なのも、予定調和的な嗜好のゴールデンタイムの視聴者には合いにくいのかもしれない。そのへんがもしかして視聴率的敗因だったのではないか?などとも思われる。
 それはともかく、基本的に非常に硬派というか、構築されたドラマとしては濃い。きっと直前の、2013年7月クールの半沢直樹みたいなのを狙ったのかもしれんが。いかんせんこっちは、それで言うならむしろ大森北署のくそまじめな署長による下町ロケット的なドラマだと思う。こういう再放送の機会があると、あるいは2015年10月クール以降のドラマ視聴者にも、じわじわと再評価されるのではないだろうか。原作小説シリーズも続いており、もしこのメンツで続編ドラマってのがあると贅沢なんだが。
 もっともTBSというところは、最終的に優秀で恒久的なコンテンツが出来ることをめざしていて、その当座の視聴率調査など些末なことには目もくれずに、5年後10年後やその先を考えて制作していそうな濃いドラマを、時々がっと持ってくる。そういうスタッフがいるのだろうか。良いことだと思う。BBCやiTVのドラマを見ているみたいな感興を得られる。

 じりじりした苦難と緊張の続くシーンを包む音楽もふさわしく出来ていて、近藤等則のタイトルBGMとか最初の「隠蔽捜査のテーマ」も有名であるが、ここは「疾駆」で。「所要の措置をとってくれ」と竜崎署長に命じられた大森北署の面々が、だだっと街へ駆け出して行って、あちこちで職務質問とか張り込みとか始める時の音楽である。これ聴きながら夜中に原稿入力したりしてると、時々悲壮感と武者震いな気分が乗ってくる。(20160714) 

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