温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

天然温泉三陸

2013年12月22日 | 青森県
 
青森県の三沢エリアには温泉銭湯があちこちに点在していますが、今回訪れたのは三沢漁港裏手の国道338号線沿いにある「天然温泉三陸」です。左右に長い建物の左半分はドライブインを名乗る食堂となっており、玄関を挟んだ右半分が今回利用した温泉浴場です。三陸という固有名詞を聞くと、いわゆる石巻以北八戸以南の三陸海岸を思い浮かべますので、この施設名を知ったときにはちょっと小首を傾げてしまったのですが、よく調べてみますと、広義の三陸には下北半島の尻屋崎以南を指すことがあるらしく、となればこの三沢市も広義の三陸に含まれるわけでして、こちらの施設が三陸を名乗っても何らおかしいことはないわけですね。おかげさまで私の脳みその皺が一本増えました。


 
館内は随所に木材を多用しており、床に敷かれた暖色のカーペットと相俟って、とても温かみのある雰囲気です。テレビを見ていた受付のおじちゃんに料金を支払い、浴室へと向かいます。受付から先へ進んだところには休憩用の小上がりが設けられていました。



ウッディーな脱衣室はゆとりのある空間が確保されており、天井では扇風機がグルグル回っていました。また浴室との仕切りにはガラス窓が嵌められており、相互間を見通せるようになっています。外観からは鄙びた古い銭湯の姿を想像していたのですが、思いのほか綺麗できちんとした環境が保たれており、良い意味で期待を裏切られました。


 
浴室も広々しており、後述する滝のような源泉投入により、室内にはその飛沫の音が轟いていました。洗い場は壁に沿って配置されており、源泉のお湯が出るシャワー付き混合水栓が計20基取り付けられています。浴槽は大小に二分割されており、大きな浴槽は私の体感で43℃ほどの湯加減となっていて、20人近く同時に入れそうな容量を有し、一方小さな浴槽はその半分にも満たない6~7人サイズといったところで、大きな方からお湯を受けていており、42℃ほどの温度となっていました。


 
女湯との仕切りには岩が積み上げられており、その上から大きな浴槽へ向かってお湯が滝のように落とされています。その右側には打たせ湯が2本設けられており、ちょっぴり熱めの温泉が配管から垂直に落とされていました。


 
滝のように落ちる温泉の量は多く、大小双方の浴槽から床へ溢れ出ているのですが、特に供給を直接受ける大きな浴槽からのオーバーフローが多く、絶え間なくベージュ色の床タイルを洗い流していました。館内表示によれば温度調整のために加水されているそうですが、槽内には吸引口など見られないので、加水した上で放流式の湯使いを採用しているものと思われます。

お湯は無色透明でほぼ無臭ですが、わずかに磯のような香りを放っており、口に含むと甘塩味と薄い出汁味が感じられました。なおカランから吐出されるお湯ではこれらの味の他に金気も感じられたのですが、これって源泉由来なのかあるいは配管の問題なのか判然としません(ま、おそらく後者でしょうけど)。味や匂いは控えめでしたが、ツルツルスベスベの気持ち良い浴感がはっきりと肌に伝わり、また流石にれっきとした食塩泉らしく、わずか数分の全身浴で体が逆上せはじめ、やがて体力が奪われてヘロヘロになり、湯上り後もジンジン火照り続けて汗もなかなか引きませんでした(このため脱衣室の扇風機がクールダウンにとても役立ちました)。地味な佇まいとは裏腹に、湯量豊富で実力派のパワフルなお湯が楽しめました。


浜通り源泉(再分析)
ナトリウム-塩化物温泉 45.8℃ pH7.84 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質3.390g/kg 成分総計3.394g/kg
Na+:1159mg(93.80mval%),
Cl-:1699mg(90.13mval%), Br-:5.2mg, I-:0.2mg, SO4--:148.6mg, HCO3-:120.2mg,
H2SiO3:156.4mg,
加水あり(温度調整のため)

三沢駅より三沢市コミュニティバス「みーばす」の大津前平線(60番か63番)に乗って「三川目小学校前」下車すぐ
青森県三沢市三川目3-912-1  地図
0176-54-2857

8:00~22:00 第1・3・5木曜定休
250円
ロッカー・ドライヤー(有料10円/2分)あり

私の好み:★★

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 熊ノ沢温泉 (および スー... | トップ | 三沢温泉保養センター »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (プンタ)
2013-12-24 06:56:38
昨年初訪問したんですが、先客1名に関わらず写真が撮れませんでした。
理由はその方が浴槽と浴槽の仕切り部の縁でトドられていたから。(^^;
トド寝文化が根付いている青森ではトド寝方法も十人十色です(笑
本当にアクロバティックなトドでした~。
(↑チラシの裏に書いてろって話でした。すいません。)

本題に戻しますと、湯触りは素晴らしいけど、塩泉+換気の悪さも相まってあまり長湯出来るタイプではない印象です。
それと震災時は、至近距離まで津波が押し寄せたみたいです。
返信する
Unknown (K-I)
2013-12-24 17:35:24
青森県の温泉浴場におけるトド発生率は、他県を大きく引き離していますよね。というか、青森県独特の文化なんでしょうね。ぬる湯文化の甲州でもたまに見られますが、コンスタントに見られるのは、やっぱり青森県ですね。津軽と南部の区別とは無関係である点も興味深いです。
私もここでは長湯できませんでした。おっしゃるように食塩泉ですから、体が参っちゃうんですね。どちらかと言えば、湯船に浸かっている時間よりも、脱衣室で扇風機の風にあたっている時間の方が長かったかもしれません(笑)。
>津波
三沢漁港はあの日に壊滅的なダメージを受けたようですね。
http://www.47news.jp/localnews/video/2011/03/post_20110314020552.php
あれから2年半が経ち、ようやく震災前の操業体制にまで回復することが出来たようです。
http://www.47news.jp/localnews/aomori/2013/11/post_20131108124543.html
返信する

コメントを投稿