温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鬼怒川温泉 仁王尊プラザ その2 露天「舟の湯」

2014年08月18日 | 栃木県
前回記事「鬼怒川温泉 仁王尊プラザ その1 内湯・露天「岩の湯」」の続編です。

●露天「舟の湯」

その1で取り上げた「内湯」や「露天・岩の湯」とはちょっと離れた場所にある、お宿の名物露天「舟の湯」。
仁王様の立像前に木造の簡素な脱衣小屋が建てられていますので、まずは男女それぞれの入口へ。


 
既に多くの温泉ファンによって語られていますので、今更私が申し上げるまでもないのですが、「舟の湯」という名前の通り、和船が一艘まるまる湯船になっている非常にユニークなお風呂であります。しかもその頭上にぶら下がっている紅白の提灯が、これまた何とも言えないB級感を醸しだしています。金網越しには鬼怒川の渓谷が見下ろせ、なかなかの景観です。なおこのお風呂にはシャワーなどの設備が無いので、桶で湯船からお湯を汲んでかけ湯することになります。


 
棚に籠があるだけの簡素な脱衣エリアは入浴ゾーンと一体化しており、スノコの上で着替えていると入浴中のお客さんから丸見えですから、その光景はちょっとマヌケかも。脱衣エリアの壁には舟の時刻表が掲示されているのですが、「裸のまんま舟に乗ろうぜ」というわけではなく、目下を流れる鬼怒川ライン下りの舟の通過時刻であり、その時刻になると舟のお客さんが峡谷上にあるこちらのお風呂へ向かって手を振ってくるんだそうです。きっと船頭さんが「みなさま左手を見上げてください。あそこには舟をまるごと湯船にした露天風呂があるんですよ。ほら、入浴客の姿が見えますでしょ。みなさんで手を振って声をかけましょう」なんてアナウンスし、川舟と湯船でコール・アンド・レスポンスが繰り広げられるのでしょうね。今回の訪問時は私以外に入浴客がおらず、しかも丁度舟の通過時間がやってきたので、私一人で目一杯手を振ってやろうと意気込んで待機していたのですが、シーズンオフだったのか、時間になっても舟はやってこず、気合は空振りに終わってしまいました。


 
高瀬舟のような古典的な構造をした木造舟の中は意外と広く、湯船として10人以上は余裕で入れそうな容量があります。本物の川舟らしく舳の側面には215という番号も振ってあるのですが、舷側はFRPの板で補強されており、これによって漏水などを防いで湯船としての機能を高めているのでしょう。湯船にお湯を注ぐ投入口は2つあり、谷側から立ち上がっているパイプよりトポトポと無色澄明なお湯が落とされて、湯船いっぱいに張られたお湯は、中央の最も低い箇所からドバドバ溢れ出ていました。


 
入浴している目線で一枚撮ってみました。佇まいこそ裏路地の立ち飲み酒場みたいなB級感が漂っているお風呂ですが、実際に湯船に浸かってみると、清々しい環境の中、渓谷の風がそよぎ、綺麗に澄み切ったお湯が優しく体を包んでくれて、独特な雰囲気の中にいることを忘れてしまうほど実に爽快です。他の浴槽同様に完全掛け流しですが、何も手を加えていないにもかかわらず、湯船の温度は41~2℃という絶妙な湯加減となっていました。

お湯は無色透明で清らかに澄んでいますが、湯船でお湯が淀みやすい箇所では、ロウソクの蝋を水に垂らした時にできるような膜みたいなものが薄っすらと浮かんでいました(この手の浮遊物は、アルカリ性泉ではしばしば見られます)。お湯を手に掬って顔に近づけると芳しいタマゴ臭が香り、湯口のお湯を口に含むと明瞭なタマゴ味とアルカリ性泉的な微収斂、トロミ、そして清涼感のあるほろ苦みが感じられました。入浴中の肌には気泡がしっかりと付着し、さすがにアルカリ性に傾いているお湯だけあって、ヌルヌルを伴うツルスベ浴感が強く得られます。



「舟の湯」から川を見下ろすと、下の方にウッドデッキに囲われた開放的な浴槽を発見!


 
湯上がりに「舟の湯」から見下ろせた「舞台の湯」へ向かおうとしたのですが、訪問時(5月頃)は残念ながら通路にテープが張られており、ここから先へ行くことができませんでした。お宿のホームページによれば、春から秋(11月中旬)まで開放されるんだそうでして、混浴なのですが、利用に際しては水着か湯あみ着が必要とのこと。

湯上がりは肌がサッパリ&スベスベし、爽快感があるのに潤いも持続するという魔法のような感覚が続きました。正に美人の湯です。久しぶりに再訪して、改めてこちらのお湯の良さを実感しました。


鬼怒川仁王尊の湯
アルカリ性単純温泉 40.0℃ pH9.7 381L/min(動力揚湯) 溶存物質0.281g/kg 成分総計0.281g/kg
Na+:80.2mg(94.22mval%), Ca++:3.9mg(5.26mval%),
F-:12.0mg, Cl-:31.0mg(21.23mval%), HS-:0.1mg, SO4--:56.4mg(28.46mval%), CO3--:31.8mg(25.73mval%), OH-:0.8mg,
H2SiO3:48.2mg,
加水循環消毒なし
露天風呂は加温する場合あり(外気温に左右されるため)

東武日光線・小佐越駅より徒歩10分、JR今市駅および東武下今市駅~鬼怒川温泉駅間の日光交通バスで「自由ヶ丘」バス停下車徒歩7分
栃木県日光市鬼怒川温泉大原371-1  地図
0288-76-2721
ホームページ

日帰り入浴9:00~21:00(受付20:00まで)
700円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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