温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯川温泉 ゆかし潟周辺の源泉めぐり その1

2014年06月12日 | 和歌山県
 
那智勝浦町にある汽水湖の「ゆかし潟」は、湖周辺の一帯が温泉湧出地帯となっており、前回まで連続して取り上げてきた湯川温泉はその代表でありますが、この他にも拙ブログでは以前に「ゆりの山温泉」「四季の郷温泉」を取り上げているほど、あちこちで温泉が湧いております。しかしながら、多くの源泉は40℃を辛うじて上回るか、あるいはそれ以下となっており、入浴に適するかどうかのボーダーライン上をフラフラしているような状態でして、ある程度の温度が確保できる源泉ならば浴用として活用されますが、ぬるい源泉は生活用(洗濯用)に使われたり、使われずに捨てられています。そこで今回は、温泉ガイドブック等では扱われることがない、ささやかな温泉たちを2回連続で見てまいります。


●さごん湯

勝浦から串本方面に向かって国道42号を走っていたとき、湯川温泉エリアの路肩で「さごん湯」と書かれた小さな立て札を発見したのですが、しかしその周囲に湯小屋らしきものが見当たらない。何だこれは!?


 
そこで、ゆかし潟の湖畔にある駐車場に車を止め、国道を勝浦方面へ歩いて、その立て札へ戻ると、国道の下に隠れるようにして建てられている小屋を見つけました。小さいながらも屋根に湯気抜きを戴いているので、この建物は湯小屋であることがわかります。路肩の直下にあるので、国道を走る車からは見つけにくく、湯小屋も全体がトタン張りという粗末な造りですが、小屋へ下るステップには足元照明が設けられており、しかも入口のドア右には立派な扁額が掲げられていました。



ドアは南京錠でしっかり施錠されていたため、内部の状況はわかりませんが、小屋の規模や、屋根も壁もトタン張りである構造から、その様子は推して知るべしです。けだし温泉ファンならアドレナリンを垂れ流しちゃいそうな、素朴でプリミティブなお風呂なのでしょうね。
この湯小屋で注目すべきは、小屋の壁下からお湯が川をなして大量に流れていることです。小屋に外部から川が流れているようなことはありませんから、間違いなくこの小屋の中を源にして、その湯の川が流れ出ているわけです。扁額には「源泉かけ流し」と書かれているのですが、その様子から察するに、かけ流しなんて言葉が生ぬるいほど怒涛の如き湯量が浴槽に注がれているのでしょう。
どうしてもこのお風呂に入りたくなり、屋根の上には勝浦港の前にあるビジネスホテルの看板が立っていたので、そのホテルに電話で問い合わせたところ、「さごんの湯」は宿泊客専用であり、入浴のみの利用は受け付けていないとのことでした。この日は既に別の宿にお世話になっていたので、残念ながらこのお風呂に入ることができず、泣く泣くここを立ち去りました。もし興味がある方は、画像に写っている名前のビジネスホテル「ブルーハーバー」に宿泊なさってみてください。


●某所 橋の袂の露天風呂

ゆかし潟の湖畔からちょっと離れた場所にある、以前拙ブログでも取り上げたことのある某入浴施設の近所へとやってまいりました。
湖畔から続いている狭い谷あいには田んぼが細長く伸びており、その中を一筋の細い川が流れています。また川に沿って一本の道路が走っており、道路から対岸の耕作地に渡るため、田んぼの畦道に向かって橋が架けられています。これだけでは、日本全国の田舎で当たり前のように見られる光景なのですが…


 
橋をわたって対岸に立つとと、その橋の袂にはこんなものがあるんですね。
塩ビのパイプから水がドバドバと落とされ、一旦コンクリの小さな槽に溜まってから、擁壁を伝って川へと溢れ出ているのですが…


 
単なる水なら私が取り上げるはずはありません。その塩ビのパイプに温度計を突っ込んでみたら、温泉法で規定されている温度を軽くクリアできる、36.2℃という数値が表示されました。いわずもがな、ゆかし潟の湖畔に自然湧出する温泉の一つであり、無色透明のお湯からはこのエリアの温泉に共通して見られる茹でタマゴのような味と匂いが感じられました。ただ、周辺の他源泉よりタマゴ感はちょっと弱いように思われます。
お湯が溜められている槽は、深さが10センチくらいしかないため、入浴するには適しません。地元の方の洗濯用(あるいは農機具の洗浄用等)に使われているのでしょうか。でも槽の傍らには黒いホースの先っちょが伸びていますね。



コンクリで護岸された川岸の上を歩いて、その黒いホースが伸びる方へ向かってゆくと…


 
先の方でトタンで囲われたバラックがあり、内部にはバスタブが設置されていました。私有物でしょうから中には入らず、入口からちょこっと覗くだけに留めておきましたが、私が見た時のバスタブは空っぽでして、しばらく使われているような形跡が見受けられませんでした。実際に使用する時には、先程の塩ビの湯口に黒いホースをつないで、ここまでお湯を引っ張るのでしょうね。

その2へ続く

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