温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

姫城温泉 地鶏の里 永楽荘

2012年01月13日 | 鹿児島県

霧島市の隼人付近を彷徨していた某日、ちょうどお昼の時間となり、腹の虫も騒ぎ始めたので、どこか私好みの店は無いかとレンタカーのハンドルを握りながらキョロキョロしていたら、路傍に「地鶏の里 永楽荘」と書かれた看板を発見。肉の中では鶏が最も好きな私は、その「地鶏」という食欲をそそる二文字に導かれて、矢印が示す方へとどんどん進んでいきました。が、矢印の先は住宅地の細い路地が続くばかりで、食事ができそうな店があるようには思えない。道に迷ったのかと不安になっていると、路地の辻々には小さいながらもちゃんと看板が立っているので、道は間違っていないようなのですが、こんな場所にある店って本当に大丈夫なのか、不安と期待が自分の中で交錯しはじめました。あまりに入り組んだ複雑なルートであるため、どのような道を辿ったか説明することはできません。ただひたすらに看板を探して先へ進むという、オリエンテーリングにも似た感覚で走ってゆくと、やがて住宅街が途切れて山の中に入り、まもなく目の前にダークチーク調の外壁の建物が目に入ってきました。建物には「永楽荘」と書かれた看板が出ています。ほほぉ、比較的新しくて綺麗な建物じゃありませんか。


 
こちらは食事のみならず温泉入浴もできるのが有難いところ。一見温泉とは関係ないような施設にすら温泉浴場が併設されていることが多い九州って、東日本人の私からすると、この上なく恵まれた環境だなぁと羨望してしまいます。温泉があるのに入らないわけにはいきませんから、まずは入浴をお願いすることにしました。こちらの温泉は、家族風呂と貸切露天風呂の二種類が用意されているそうですが、まぁ私一人で露天風呂を貸切るのは虚しいので、おとなしく普通の家族風呂を利用させていただくことにしました。1人で貸し切っても追加料金不要の300円でOKなんですから有難いじゃありませんか。なお家族風呂のエリアの手前には宿泊用客室もあって、泊まることもできるんだそうです。



貸切の家族風呂は計5室。空いている浴室を任意で選んで利用できます。どの部屋も同じ造り・レイアウトですが、バスタブの色が異なっています。浴室と並んで設置されている共同の洗面台にはドライヤーが用意されている他、シャンプー類も置かれているので、使う人は各自でそこから浴室へ持っていきます。



今回利用したのは2号室。脱衣室はこんな感じ。2~3人がキャパの限度でしょうか。



浴室内は一般的の民家にみられるようなごくごく普通の構造でして、温泉風情からは程遠いものですが、明るい室内はとてもよく綺麗に清掃され手入れも行き届いており、どなたも気持ち良く利用できるでしょう。私個人としては、台湾の温泉地に多く存在する個人池(貸切風呂)を思い出しました。まずは空っぽのバスタブにお湯を張ります。カランからは勢いよくお湯が迸り、ものの数分で入浴に十分な嵩までお湯が溜まりました。なお洗い場にはシャワー付き混合栓が1基設置されています。



お湯を張るとこんな感じ。この画像だけを見て温泉だと説明したところで、多くの方はその説明に懐疑を抱いてしまうことでしょう。実際に利用している私ですら、同じような心境なのですから。そこで…



お湯をノンストップで浴槽へ落とし、ザブザブ溢れ出させました。沸かし湯ならこんなことできますまい。もしできたとしても300円では済まないでしょう。お湯は無色透明無味無臭(重曹っぽい知覚を僅かに有する)。泉質名としては重曹泉ですが、pH=7.7というほぼ中性の値を有し、かつメタケイ酸も多いわけではないためか、ツルスベ感はそれほどハッキリしておらず、癖の無い浴感はあたかも薄い単純泉のようでした。もっとも体への当たりは優しく、お湯そのものも柔らかいので、お肌が弱く敏感な方でも、支障なく入浴できるのではないかと思います。また実質的には掛け流しですから、自分が好きなようにお湯を出し、思う存分源泉を楽しむことができました。



お風呂でさっぱりしたところで、こちらのお店ご自慢の地鶏をいただきましょう。食事処は温泉や客室とは別棟で、2階へと上がります。奥まったわかりにくい立地にも関わらず、お昼時だからか多くのお客さんで店内は賑わっていました。



テーブルには焼肉のコンロが設けられています。あれ?ここって焼肉屋さんなの? あまり事情を把握しないまま、メニューの一番最初に書かれていた「地鶏定食」(1600円)を注文しました。定食だから、調理されたものがお盆に載せられて提供されるのかと思いきや、まず鶏のさしみ、次にたたき、そして焼き肉用の鶏肉やお野菜が次々と目の前に置かれてゆくではありませんか。この画像では伝わりにくいのですが、そのボリュームたるや半端じゃありません。男性でも小食な人なら間違いなく喰いきれないでしょう。まさか昼間から焼肉をするとは想像だにしませんでしたが、はさみで肉を小さく切りながらコンロに載せ、焼きあがる間にたたきやさしみをつまんで、胃袋へギューギュー肉やご飯を押し込みながら、なんとか平らげることができました。たしかにすごい量なのですが、さすがに地鶏だけあって、柔らかいお肉には旨みや甘味が凝縮されており脂もあっさりしているため、満腹中枢が悲鳴を上げ始めても美味しさに助けられて食べられちゃうんですね。自分の頭上にも鶏冠が生えてくるんじゃないかと思うほど鶏肉で消化器官を埋め尽くし、至極満足しながらこのお店を後にしました。


姫城171号
ナトリウム-炭酸水素塩温泉 46.0℃ pH7.7 溶存物質1121mg/kg 成分総計1165mg/kg
Na:229.2mg(80.66mval%),
Cl:68.6mg(16.11mval%), HCO3:603.5mg(82.55mval%),
H2SiO3:158.7mg, 遊離CO2:44.4mg,

鹿児島県霧島市隼人町松永3766  地図
0995-42-3210

11:00~15:00、17:00~22:00
家族風呂300円/1人
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★

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