※2014年12月末を以て閉館しました。
養老牛温泉には3つの旅館がお客さんを迎えていますが、その中でも今回は「旅館藤や」へ立ち寄り、日帰り入浴してまいりました。
帳場にて日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。玄関や帳場のまわりは(失礼な表現ですが)ごくありふれた和風旅館の佇まいでして、どちらかと言えば少々精彩に欠けているようにも見えるのですが、長い廊下の最奥にある浴場へと歩いていると…
途中の客室棟(新館)は木のぬくもりと高い天井が印象的な現代建築で、階段部分の吹き抜けや大きなガラス窓が開放感をもたらし、天井からぶら下がっている木材を使った洒落た照明が、温かく柔和な印象を醸しだしていました。訪問時は既に日没後でしたが、日中ですと大きな窓に森の緑が映えるのでしょうね。
更に奥へ進んで浴室の暖簾を潜ります。廊下の壁に掛かっている老人の写真は、養老牛温泉を発見した西村武重という人物なんだそうでして、氏が大正5年に当地へ入山して温泉を見つけたんだとか。尤も、それ以前からアイヌの人々が湯浴み場として養老牛の湯を活用していたようです。
清掃がよく行き届いている脱衣室は、棚や籠が大きくて無料のロッカーもあり、ドライヤーも備え付けられていますので、使い勝手は良好です。
ほぼ全面タイル貼りの浴室もきちんと整理整頓がされており、気持ちよく利用できました。男湯の場合は室内の左側に洗い場は配置され、シャワー付き混合水栓が5基並んでいます。隣のシャワーとの間隔が広く確保されているので、隣のお客さんとの干渉を気にせず使うことができますね。なおシャワーから出てくるお湯は真湯でした。
洗い場の手前には立って使うシャワーも1つ設けられています。
浴室には縦長の台形を二分割したような造りの浴槽があり、双方に跨る湯口からそれぞれに対して温泉が注がれていますが、両者には若干の差異が見られます。
画像左(上)は窓側(露天風呂側)の浴槽でして、キャパは11~2人サイズ、湯加減は私の体感で43℃前後。一方、画像右(下)は手前(脱衣室)側の浴槽であり、半分にはジャグジーの装置が設置され、残り半分は浅い造りになっています。湯加減は40~41℃くらいで、この時はジャグジー装置は稼働しておらず、実質的にはやや熱めの窓側浴槽に対するぬる湯槽としての役割を果たしていました。
双方の浴槽に温泉を注ぎ込んでいる湯口の蓋をあけてみますと、それぞれには温泉の配管の他、加水用の配管も引き込まれており、やや熱めの窓側槽では加水を絞り、ぬるめの手前側槽では加水量を増やした上で、この湯口のボックス内でお湯と水をミックスさせてから、各浴槽へ投入していました。源泉の温度がかなり熱いので、加水無しでは入浴に適さないわけですが、脱衣室に掲示されているプレートでは「高温により適温に下げるため、加水を行っている例はありますが、外気温や熱交換により露天風呂や冬期などは源泉に近い状態であり、天然温泉を保つため必要最低限に止めています。また、湯量も豊富ですべて完全放流式となっています」と説明されており、実際に窓側槽の湯口では、加水量をかなり減らしており、湯口から浴槽へ落とされる時点でもかなり熱い状態が保たれていました。
露天風呂は岩風呂で渓流の岸に設けられており、画像をご覧のように私が訪れた時には漆黒の闇に包まれていましたが、森や渓流を吹き抜ける風を受けつつ、せせらぎを耳にしながら、爽快な環境下で湯浴みすることができました。日中でしたら養老牛の森を眺めながら、より一層の開放感を味わうこともできるんでしょうね。なお露天風呂の湯口では激熱のお湯が落とされていましたが、その量はかなり少なく、それゆえ湯加減はかなりぬるめでした。内湯は加水によって温度調整されていましたが、こちらは投入量の絞り込みと自然冷却によって温度を下げているんですね。
お湯の見た目は無色透明で、ほぼ無味無臭ですが、感覚を研ぎ澄ますと、若干石膏っぽい味や匂い、そして僅かに芒硝のような味が感じられました。湯船に浸かると、しっとりとした柔らかさとともに、硫酸塩泉的な少々引っかかりのある浴感が肌に伝わります。湯上がりはさっぱりとした爽快感が得られるとともに、湯冷めしにくいパワフルな温まりもしっかり体に残りました。ちなみにこちらの宿で使われている「表1号」という源泉名の「表」とは、3軒の旅館が位置するいわゆる現在の養老牛温泉エリアのことを示しており、前回取り上げた「からまつの湯」などパウシベツ川の川沿いに湧出する源泉群が「裏」に当たるんだそうです。
宿の方の対応が温かく、お風呂の環境もお手入れも良好で、心地よい湯浴みが楽しめました。敷地内には宿泊客専用の露天風呂もあるんだそうですから、次回は是非宿泊で再訪してみたいものです。
表1号
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 80.0℃ pH6.9 45L/min(自然湧出) 成分総計1.634g/kg
Na+:347.1mg, Ca++:113.4mg,
Cl-:426.0mg, SO4--:385.7mg, HCO3-:132.4mg,
H2SiO3:113.2mg, HBO2:51.48mg, CO2:24.20mg,
(昭和48年7月)
北海道標津郡中標津町養老牛温泉 地図
0153-78-2341
ホームページ
※2014年12月末を以て閉館しました。
日帰り入浴12:00~20:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
養老牛温泉には3つの旅館がお客さんを迎えていますが、その中でも今回は「旅館藤や」へ立ち寄り、日帰り入浴してまいりました。
帳場にて日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。玄関や帳場のまわりは(失礼な表現ですが)ごくありふれた和風旅館の佇まいでして、どちらかと言えば少々精彩に欠けているようにも見えるのですが、長い廊下の最奥にある浴場へと歩いていると…
途中の客室棟(新館)は木のぬくもりと高い天井が印象的な現代建築で、階段部分の吹き抜けや大きなガラス窓が開放感をもたらし、天井からぶら下がっている木材を使った洒落た照明が、温かく柔和な印象を醸しだしていました。訪問時は既に日没後でしたが、日中ですと大きな窓に森の緑が映えるのでしょうね。
更に奥へ進んで浴室の暖簾を潜ります。廊下の壁に掛かっている老人の写真は、養老牛温泉を発見した西村武重という人物なんだそうでして、氏が大正5年に当地へ入山して温泉を見つけたんだとか。尤も、それ以前からアイヌの人々が湯浴み場として養老牛の湯を活用していたようです。
清掃がよく行き届いている脱衣室は、棚や籠が大きくて無料のロッカーもあり、ドライヤーも備え付けられていますので、使い勝手は良好です。
ほぼ全面タイル貼りの浴室もきちんと整理整頓がされており、気持ちよく利用できました。男湯の場合は室内の左側に洗い場は配置され、シャワー付き混合水栓が5基並んでいます。隣のシャワーとの間隔が広く確保されているので、隣のお客さんとの干渉を気にせず使うことができますね。なおシャワーから出てくるお湯は真湯でした。
洗い場の手前には立って使うシャワーも1つ設けられています。
浴室には縦長の台形を二分割したような造りの浴槽があり、双方に跨る湯口からそれぞれに対して温泉が注がれていますが、両者には若干の差異が見られます。
画像左(上)は窓側(露天風呂側)の浴槽でして、キャパは11~2人サイズ、湯加減は私の体感で43℃前後。一方、画像右(下)は手前(脱衣室)側の浴槽であり、半分にはジャグジーの装置が設置され、残り半分は浅い造りになっています。湯加減は40~41℃くらいで、この時はジャグジー装置は稼働しておらず、実質的にはやや熱めの窓側浴槽に対するぬる湯槽としての役割を果たしていました。
双方の浴槽に温泉を注ぎ込んでいる湯口の蓋をあけてみますと、それぞれには温泉の配管の他、加水用の配管も引き込まれており、やや熱めの窓側槽では加水を絞り、ぬるめの手前側槽では加水量を増やした上で、この湯口のボックス内でお湯と水をミックスさせてから、各浴槽へ投入していました。源泉の温度がかなり熱いので、加水無しでは入浴に適さないわけですが、脱衣室に掲示されているプレートでは「高温により適温に下げるため、加水を行っている例はありますが、外気温や熱交換により露天風呂や冬期などは源泉に近い状態であり、天然温泉を保つため必要最低限に止めています。また、湯量も豊富ですべて完全放流式となっています」と説明されており、実際に窓側槽の湯口では、加水量をかなり減らしており、湯口から浴槽へ落とされる時点でもかなり熱い状態が保たれていました。
露天風呂は岩風呂で渓流の岸に設けられており、画像をご覧のように私が訪れた時には漆黒の闇に包まれていましたが、森や渓流を吹き抜ける風を受けつつ、せせらぎを耳にしながら、爽快な環境下で湯浴みすることができました。日中でしたら養老牛の森を眺めながら、より一層の開放感を味わうこともできるんでしょうね。なお露天風呂の湯口では激熱のお湯が落とされていましたが、その量はかなり少なく、それゆえ湯加減はかなりぬるめでした。内湯は加水によって温度調整されていましたが、こちらは投入量の絞り込みと自然冷却によって温度を下げているんですね。
お湯の見た目は無色透明で、ほぼ無味無臭ですが、感覚を研ぎ澄ますと、若干石膏っぽい味や匂い、そして僅かに芒硝のような味が感じられました。湯船に浸かると、しっとりとした柔らかさとともに、硫酸塩泉的な少々引っかかりのある浴感が肌に伝わります。湯上がりはさっぱりとした爽快感が得られるとともに、湯冷めしにくいパワフルな温まりもしっかり体に残りました。ちなみにこちらの宿で使われている「表1号」という源泉名の「表」とは、3軒の旅館が位置するいわゆる現在の養老牛温泉エリアのことを示しており、前回取り上げた「からまつの湯」などパウシベツ川の川沿いに湧出する源泉群が「裏」に当たるんだそうです。
宿の方の対応が温かく、お風呂の環境もお手入れも良好で、心地よい湯浴みが楽しめました。敷地内には宿泊客専用の露天風呂もあるんだそうですから、次回は是非宿泊で再訪してみたいものです。
表1号
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 80.0℃ pH6.9 45L/min(自然湧出) 成分総計1.634g/kg
Na+:347.1mg, Ca++:113.4mg,
Cl-:426.0mg, SO4--:385.7mg, HCO3-:132.4mg,
H2SiO3:113.2mg, HBO2:51.48mg, CO2:24.20mg,
(昭和48年7月)
北海道標津郡中標津町養老牛温泉 地図
0153-78-2341
ホームページ
※2014年12月末を以て閉館しました。
日帰り入浴12:00~20:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
初コメント失礼します。
サカイと申します。
ブログを読ませて頂きましたが、
観光ガイド雑誌では伝えきれないような温泉宿の情報を、レポーターのように丁寧に紹介しておられ、非常に素晴らしいブログだと思いました。
個別にご相談させて頂きたいことがあるのですが、
サカイ(futa.sakai@dena.jp)までメッセージを送って頂くことは可能でしょうか?
手短にご説明させて頂くと、
地元ブロガー・現地の宿に精通したブロガーの方々の発信力を結集し、ガイドブックに代わる新しい観光メディアを創ろうとしており、K-1様のご助力を賜りたく、ご連絡させていただきました。
お手数おかけしてしまい恐縮ですが、何卒よろしくお願い致します。
「東萩野温泉」を検索しましたら、貴ブログに行き当たりました。
不都合がございましたらお許しください。
自分らは4年前くらいから神奈川県に住んでいますが、
その前は根室管内に居住しておりました。
「藤や」は単独で止まったことはありませんが、
忘年会等で2~3回ほど利用したことがありました。
深夜外湯に使っていたら、お湯が湧き出るような
「ごっほごっほ」の音がして、しばらくすると
ばさばさっとでかい鳥が飛んでいきました。
なんか、いいものを見せていただいた気がしました。
閉館の情報、ここで知りました。
閉館は致し方がないにしても、ちょっと残念です。
・・・すんません「大一」のエピソードかもみならいかのん
家でふろ沸かすのが大変な時は、
金ある場合はマルエーとかウイングインとか、
ないときはガソリン代の無駄は考えずに、
からまつ、川北、開陽とかに行ってました。
(基本的に風呂は1~2日おきでした)
「藤や」なつかしいです。
・・・「花山荘」もよかっただ~よはじめっち
温泉好きなんで、じっくり読んでみたいと思うのす。
・・・「いたずらくがき」は控えようべしすかゆたか
あたいはむずかしいことはよくわかんけども、
露天風呂から魚つってる人がいたのだ。
「やるな!」なのだ。
・・・宴会にはヤマメじゃなくてカスベがでてきてたのだつるみん
>マルエーとかウイングインとか、
>からまつ、川北、開陽
私は生まれも育ちも今の生活も東京圏なので、そんな温泉に恵まれている環境が羨ましいです。お金云々の部分を読んでいたら、以前、氷点下に冷え込んだ真冬の夜、私が一人でからまつの湯に入っていたら、カップルが入ってきて、その場でシャンプーしはじめたことを思い出しました。お金を浮かすためなのでしょうけど、髪が凍らないのか、風邪をひかないのかと心配になったのですが、寒さに強い道産子ならばその程度のことはヘッチャラなのかもしれませんね♪