温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

トカラ列島 中之島を逍遥 (その1)

2012年08月24日 | 鹿児島県
※今回の記事はトカラ列島・中之島を散策した旅行記です。記事中の一部に温泉が登場しますが、いつものような温泉に関するレポートではありませんので、あしからず。



トカラの島で最も大きく、中心的な役割を果たしている中之島を、フェリーの甲板の上から撮影。


 
2009年の皆既日食の際には多くの観光客が訪れたらしく、着岸中のフェリーから港を見下ろすと、その際に貼りつけられたステッカーが目に飛び込んできました。独特のフォントのおかげでよく目立っていますが、強い風雨に晒されているためか、一部が剥がれかかっています。


●東区から西区の海岸沿い
 
中之島で宿泊したのは「大喜旅館」さん。旅館といっても民宿をひとまわり大きくしたような感じですが、食堂は広く、客室数も他島の民宿より多く設けられています。トイレや洗面台は共用で、お風呂は外湯を利用しますが、建物自体は最近改修されたらしく、地デジテレビとエアコンが完備されたお部屋はとっても綺麗でした。


 
宿の前にはたくさんのネコがたむろしていました。海岸の集落にはネコが良く似合います。都会と違って、この島のネコ達は逞しく、某日の朝に宿から外出しようとしたところ、勝手口の前には食いちぎられて半身になった鼠の死体が転がっていました。



宿の隣は郵便局。かつてはここに十島村の役場があったそうです(現在は鹿児島市内へ移転しており、島に役場の本庁は無い)。


 
郵便局からフェリー埠頭方面へ進むと、八幡神社と称する神社の鳥居が立っており、その傍には足湯と思しきお湯の槽があって、湯面からはうっすらと湯気が上っていました。


 
またその傍らには温泉の熱を使った温泉蒸しの跡が残っていましたが、案内看板は山の斜面に倒されており、また蒸し器に温泉熱は行き届いておらず、この温泉蒸しが使われている形跡はありませんでした。


 
こちらはコミュニティーセンター(役場の出張所)。ここでフェリーの切符を購入するので、旅行者は必ず訪問する施設です。



出張所の敷地内には「汽船も亦道路なり」という碑文が刻まれた石碑が立っています。人口や貨物量が少ないトカラの島々は、民間の船舶会社が定期航路を開設しようとしなかったため、以前から公営による定期航路が求められ、当時の村長である長文園彰など関係者の尽力の結果、念願かなって昭和8年4月に「としま丸」が就航しました。絶海の孤島にとって航路は必要不可欠の交通インフラですが、だからこそ行政が懸命に守っていかねばならないという熱意がこの碑文から伝わってくるようであり、その当時の事情は現代でも全く変わっていません。



さらにフェリーの港の方へ進むと、山側にアイボリー色の外壁の頑丈そうな建物が建っていました。これは西区住民生活センターです。


 
西区住民生活センターの傍には、島唯一のお店である「永田商店」があり(営業時間は限定的)、自販機も設置されています。


 
また西区住民生活センターの斜前の防波堤沿いには、集落の共同浴場である「西区温泉」が、道路や防波堤に囲まれて埋もれるように存在しています(委細はこちらの記事を参照)。


 
海沿いの道にはバナナがたくさん生えており、花を咲かせるとともに青い実をたくさん実らせていました。


 
建設会社の事務所と並んで建つ小さな小屋が「天泊温泉」


 
漁港を過ぎ、海沿いの道をどんどん進むと、そのどん詰まりには発電所、そしてセメントプラントがありました。


●西区

セメントプラントからコミュニティーセンターまで一旦戻り、そこから坂を上って西区の集落へ。
細い路地に沿って古い平屋の民家が密集しており、南国らしい石垣やバナナの緑が、島ならではの独特な光景を形成していました。


 
西区の集落には、気根がカーテンのように美しく垂れ下がっているガジュマルの大樹が、あちこちで見られました。


 
大樹から何本も伸びている枝々は集落の家屋の上を覆っており、家々を厳しい日光から守っているかのようです。


 
ガジュマルの写真を撮っていると、この民家のおばあちゃんが私に話しかけてきました。数年前にご主人を亡くし、ずっと一人暮らしで話し相手が欲しかったみたいです。もう還暦を迎える娘さんなど親戚縁者は本州各地へ移って暮らしており、先日はその娘さんや親類に招待されて東北・関東・中部を旅していたそうですが、昔は本当に苦労したし、いまでも不便なところはあるけれども、やっぱりこの島が一番良い、とお婆ちゃんはしみじみと語っていました。


●東区
 
次に一旦宿の方へ戻り、更に海岸沿いを南下してゆくと、以前に取り上げた「東区温泉」の前を通過。



「東区温泉」の斜め前には自販機もあるので、湯上りの水分補給にも支障ありません。


 
温泉を通り過ぎて道なりに進み、緩い坂を上がりながらちょっと海岸から離れると、中之島小中学校があります。


 
芝に覆われた広い校庭。体育館の背後には御岳が聳えています。


 
学校から山手の方へ上がると、トカラや沖縄ではおなじみのミズイモの水田が道沿いに点在していました。小さな島ながら意外と水資源は豊富みたいです。


次回に続く…

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トカラ列島 中之島 天泊温泉 | トップ | トカラ列島 中之島を逍遥 ... »

コメントを投稿