温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

高湯温泉 のんびり館

2013年02月16日 | 福島県
 
前回に引き続いて福島の高湯温泉です。今回は「日帰り入浴できます」の看板に導かれて「のんびり館」にて立ち寄り入浴してまいりました。同じ名前の温泉旅館は信夫・沼尻など県内にいくつかありますが、いずれもこちらの姉妹館なんだとか。



お土産物がたくさん陳列されているフロントにて入浴料を支払います。カウンターにはお食事メニューがデスクマットに収められており、ちょうどお昼時でお腹が空いていたので、こちらのお宿ご自慢の行者ニンニク料理のうち、熱いスープを飲めば体の芯まで温まりそうなラーメンを注文しました(その代金もここで前払い)。


 
お食事は大広間でいただきます。食事をしなくても入浴利用者はこの大広間を休憩室として利用できるそうです。上画像がその行者ニンニクラーメン。


 
腹を満たしたところで主目的の入浴へ。案内に従って階下の浴室へおりてゆきます。階段上には高湯オリジナルのマークが掲げられていました。


●内湯
 
浴室があるフロアは、階段を下りてすぐ右手は露天風呂用出入口、左斜め前が内湯、更に左奥へ廊下を進むと家族風呂というようなレイアウトになっていますが、まずは内湯から利用して見ることにしました。暖簾を潜ったらすぐ脱衣室で、しかもかなり狭く、左右に分かれて幅1メートルほどの棚が設けられているばかりです。


 
浴室の戸を開けると目の前にデデンと広い浴槽が青白い濁り湯を湛えていました。こちらのお風呂は洗い場こそ狭いものの、その代わり浴槽にスペースを割いているんですね。ちなみに洗い場はシャワー付き混合水栓が計3基取り付けられています。


 
湯口から落とされる硫黄のお湯は湯船を濁らせながら満たし、その縁から間断なくたっぷりオーバーフローしていました。



こちらのお湯は高湯の他の施設よりも、味や匂い、そして濁り方が強いように私の目には映ったのですが、そういう性質なのか或いはコンディションにより異なるのかは、真実の程はよくわかりません。ただ分析表によれば、溶存物質こそ1162mgと他源泉と大差ないものの、遊離炭酸ガスが506.3mg, 遊離硫化水素が113.6mgと、いずれも高湯の他の源泉よりずば抜けて高い数値を示しており、これが知覚面にもはっきり現れていたかもしれません。なお硫化水素中毒を防ぐために、窓には「締切厳禁」の注意書きが貼られ、尚且つ開けっぱなしの窓の下にはルーバーも設置されていました。徹底して換気に気を遣っていますね(ま、環境省告示によりこの手の温泉では所定の換気が義務付けられているので当然といえば当然ですけど…)。


●露天風呂
 
続いて露天へレッツゴー。専用の出入口にてビニールの雪駄に履き替えます。えっ!? 雪駄なの?



そうです。雪駄でこの雪の中を歩いて露天へ向かうのであります。ゴールまではわずか数十メートルですが、結構な勾配のある下りステップになっており、雪で滑りやすいのはもちろん、裸足のまま雪駄を履いていますから雪がもろに触れて冷たいことこの上ない。しかも通路は全く雪掻きされていなかったので、ズボズボと雪の中に足を潜らせながら前進しなくてはならず、露天へ着くまでは寒修行をしているかのようでした。


 
足元の冷たさに耐えながら離れの露天風呂へ到着。あぁ、せめて足だけでも一刻も早くお湯に浸かりたい…。暖簾をくぐると脱衣棚越しにすぐ白濁した湯船が目に入ってきました。脱衣スペースは棚と籠があるだけで至って簡素。この日は風が強かったため雪が内部までおもいっきり吹き込んで来てしまい、棚においていた荷物はあっという間に雪まみれになっちゃいました。


 
屋根掛けされているものの、川に向かってオープンになっているので開放感はまずまず。特に洗い場のような設備はないので、桶で湯船から直接お湯を汲んで掛け湯します。
高湯には「安達屋」や「玉子湯」など風情溢れる本格的な旅館が軒を連ねているため、内湯露天ともにそれらのお風呂と比較しちゃうとどうしてもこちらは格が下がってしまいますが、それはあくまで相対的な問題であって、たとえばこれが名も無き僻地の一軒宿だったら評価は大きく異なってくるでしょう。私個人としてはこのお風呂でも充分に温泉風情を感じることができましたよ。


 
湯口から流れ落ちる硫黄の湯によってその流路は薄い黄色に染まっています。加温や加水については不明ですが、れっきとした放流式の湯使いであることに間違いはなく、しっかりオーバーフローしていました。


 
やっぱり「のんびり館」のお湯って濃いのかなぁ…。その認識を強くしたのが、湯口直下に分厚く沈殿している湯の華の存在でした。お湯を動かすとただでさえ濃く白濁しているお湯が更に強く混濁し、浴槽の底に手を潜らせるとたっぷりと沈殿を掬い取ることができるのです。寒いゆえに溶解度が下がって沈殿が発生しやすくなるのはわかりますが、それにしたって同地の他施設ではここまで大量に沈殿していないでしょう。尤も沈殿の多さについては他の理由も考えられますけど…。
とにもかくにも、ちょっとぬるくて長湯仕様になっていたこの露天風呂で、純白な雪景色を眺めながら、まるで牛乳のような濃い白濁湯に浸かって、思う存分雪見風呂を楽しませていただきました。


●家族風呂
 
家族風呂に関しては見学のみさせていただきました。1回につき50分で1050円とのこと。もちろん浴槽には白濁のお湯が引かれていました。家族やカップルにはもってこいですね。

日帰り入浴に関して時間制限こそ無いものの他の有名旅館と同じ700円という料金設定には戸惑いを覚えざるを得ませんが、これは同業他社とのお付き合いというものでしょうか(あくまで個人的推測ですよ)。それはともかく、同地の他旅館で立ち寄り入浴すると1時間という時間制限に縛られる、かといって「あったか湯」はいつも混雑している、どうしたら良いのかしら…なんてお困りの場合は、この「のんびり館」という選択もアリなのではないかと思います。


滝の湯
酸性-含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩温泉(硫化水素型) 51.0℃ pH2.8 溶存物質1162mg/kg 成分総計1782mg/kg
H+:1.6mg, Na+:65.3mg, Mg++:26.6mg, Ca++:95.2mg, Al+++:29.0mg,
Cl-:53.8mg, HS-:0.0mg, SO4--:640.5mg, HSO4-:34.2mg,
H2SiO3:181.2mg, CO2:506.3mg, H2S:113.6mg,

福島駅西口から福島交通の路線バス高湯温泉行で「玉子湯」下車徒歩3分
福島県福島市町庭坂高湯14-1
024-592-1126
ホームページ

日帰り入浴10:00~16:00
700円
貴重品用ロッカー・シャンプー類あり、ドライヤーはフロント貸出

私の好み:★★

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