温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

東山温泉 東山ハイマートホテル

2017年08月24日 | 福島県
 
会津若松の奥座敷である東山温泉には老舗旅館からリーズナブルなお宿まで様々なタイプのお宿が建ち並んでいますが、その中でも自家源泉を有する宿として温泉ファンから評価が高いのが「東山ハイマートホテル」です。今年(2017年)の冬、私は日帰り入浴で利用させていただきました。川沿いの細い道に面して建っているこちらのお宿は、カタカナの名称から受ける印象とはかけ離れた古い鉄筋の建物で、いかにも昭和の鄙びた温泉ホテルといった風情です。
お昼前に訪問したところ、館内の照明が消えていたので利用できるか不安でしたが、フロントの呼び出しボタンを押したら、お宿の方が出てきてくださり、日帰り入浴を快く受け入れてくれました。なお駐車場が狭いため、車の鍵はフロントに預けておきます。


 
館内には手書きの案内がたくさん貼り付けられており、鄙びた風情とあいまって、B級感を醸し出していました。フロントは2階にあるのですが、浴場は階下の1階ですので、その階段の踊り場に置かれた「無事帰る(カエル」の置物を横目に1階へと降ります。


 
階段で下った先の廊下に浴場の暖簾が掛かっていました。手前側は男湯「河鹿風呂」で、奥は女湯「子宝の湯」です。女湯の「子宝の湯」は他の宿にも引かれている組合源泉なのですが・・・



男湯「河鹿風呂」だけ、こちらのお宿の自家源泉が使われているんですね。この自家源泉に入るのがこちらのお宿を訪れた目的です。なお東山温泉で自家源泉を所有している宿は3軒しかないんだとか。
天井の低さが建物の古さを物語っている脱衣室を抜けて浴室へ。


 
湯気と芒硝臭が漂う浴室は、川を見下ろす位置に設けられており、そこそこ広い上、川に面した側は一面が窓ガラスになっているため、明るく開放的なロケーションで湯浴みを楽しむことができるかと思います。もっとも、内装に用いられている豆タイルからは昭和の匂いが香ばしく漂ってきますが、そんな古色蒼然とした雰囲気を払拭するほど明るいので、多少の古さは気になりません(あくまで私の個人的見解ですが)。


 
洗い場は窓側など壁に沿って配置されています。取り付けられている計8基のカランのうち、シャワー付きは3基だけでした。


 
浴槽は大小1つずつ、計2つ並んでいます。
大きな主浴槽は約2.5m四方で、縁には黒い御影石、内部は水色のタイルが採用されています。一般的な浴槽よりも造りが若干深く、私が底にお尻をつくと顎まで潜ってしまいましたが、その代わり入り応えがあるので、肩までしっかり湯に浸かれます。深い作りになっているにもかかわらず、浴槽内には固定されたステップがないのですが、その代わりコンクリブロックが沈められていました。ブロックという点がお宿のB級感をより強めているのですが、そんなところもご愛嬌。
浴槽の隅っこにはカエルの置物が鎮座する湯口の跡らしきものが残されているのですが、今ここからは何も出ていません。かつてはこの石の間からお湯が出ていたのかもしれません。


 
現在大きな浴槽にお湯を注いでいる壁に沿って積まれている上画像の石積み湯口です。壁には自家源泉であることをアピールするプレートが貼られていましたが、他の館内案内同様、これも手書きでした。この自家源泉の名前は「丸井荘源泉」と称するんだそうですが、丸井荘とはこちらのホテルの旧社名なんだとか。建物が相当草臥れてしまった今となっては、カタカナの名前よりも旧社名の方がマッチしているような気がします。


 
その湯口まわりに接近してみました。石の湯口のまわりにびっしりと分厚くこびりつく白い析出が、硫酸塩泉であることを主張していますね。お湯は無色透明で大変澄みきっており、眺めるだけでも心が清浄されそうです。上述したように室内には温泉由来の芒硝臭が漂っており、お湯を口に含むと芒硝感のほか、少々の石膏感も得られます。トロミのある湯中では、キシキシと引っかかる浴感がはっきりと肌に伝わり、しかも肌のシワ一本一本に温泉が染みこんでくるようなしっとり感も得られます。無色透明の硫酸塩泉が好きな方にはたまらない、実に素晴らしいお湯です。


 
主浴槽の右隣に並んでいる小浴槽は2人サイズ。大きな浴槽の湯口からお湯を分けており、投入量を減らすことによってぬるめの湯加減にしているらしいのですが、私の訪問時は大きな浴槽と大差ないように感じられました。



主浴槽や小浴槽でも使われなかった余ったお湯は、パイプから床へ捨てられており、その流路の床は大変熱くなっていました。東山温泉に湧く源泉の中でも12を争う熱さなんだとか。入室当初、私は熱いお湯が床に捨てられていることに気づかず、あまりの熱さにその場で飛び跳ねてしまいました。捨てるだけのお湯があるのなら、女湯にも供給できれば良いのですが、温泉というものはコンディションが一定しませんから、そう簡単にはいかないのかもしれませんね。

本文中でも申し上げましたが、建物がかなり草臥れているため、大手宿泊予約サイトで宿泊した方々の口コミを拝読しますと様々な評価がなされているようですが、少なくとも自家源泉のお湯に関しては大変素晴らしいので、立ち寄り入浴するだけでも利用価値は十分にあるかと思います。


丸井荘源泉
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 57.4℃ pH7.5 14.8L/min(自然湧出) 溶存物質1.856g/kg 成分総計1.856g/kg 
Na+:350.1mg(55.36mval%), Ca++:236.3mg(42.86mval%),
Cl-:375.4mg(38.41mval%), Br-:0.7mg, SO4--:778.2mg(58.76mval%), HCO3-:34.2mg,
H2SiO3:50.3mg,
(平成21年10月29日)

会津若松駅から会津バスの「まちなか周遊バス」で東山温泉駅(バスターミナル)下車、徒歩1分
福島県会津若松市東山町湯本滝ノ湯109  地図
0242-27-6155

日帰り入浴時間10:00〜17:00
600円
シャンプー類あり、他備品類見当たらず

私の好み:★★+0.5

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