北海道知内町には「展望台の湯」や「営林の湯」といった野湯の存在が知られていますが、両者に関してはここ数年ネット上で新しい情報が出ていないようですので、2012年11月中旬、このうち比較的発見しやすそうな「展望台の湯」を探索してみることにしました。
ここからスタート。2本の白いポールが目印。念のために熊除けの鈴を鳴らしながら歩くことに。
早くも藪に行く手を遮られてしまいます。数年前までここを車で走れたことが信じられません。草は枯れているのでまだ藪こぎしやすいのですが、笹はしっかり茂っており、これが夏だったら前進不可能だったかもしれません。
たまに視界がひらけて道路の跡が明瞭な箇所もあるのですが…
こんな風に倒木が前方に立ち塞がっていることもしばしば。倒れている枝が疎になっている部分から先へすり抜けました。ひたすら藪こぎするばかりです。なお今回は上下セパレートのレインコートを着ていたので、枝の先などで痛い思いをすることなく、また衣類に枯れ草や種などが付着することも無く、藪へ体当りするような感じで前進しました。
私の背丈ほどに茂ったクマザサが覆い尽くす林道はほぼ自然に帰りつつあります。上画像において進行方向は正面なのですが、画像を見ただけでは見当つきませんよね。でも路盤の跡には木が全く生えておらず、緩やかなカーブを描いていたり、あるいは車一台分の幅がフラットになっていたりしますし、笹以外の植物がほとんど枯れた時期でしたから、初見の私でも比較的容易には廃道跡をトレースできましたが、藪が青々している時期でしたらまず無理だったでしょう。藪を抜けたらクマさんと出会い頭…なんてことも考えられますし。
左手下方の木立の向こうに知内温泉旅館の建物が見えます。
やがて歩きやすくなり…
スタートから約10分で、ちょっとした広場に行き当たりました。この道が自動車でも通行可能だった頃には、ここが駐車場だったはずです。いまでも路肩にはガードケーブルが残っており、かつてはれっきとした道路であったことがわかります。しかしながら、ここまでの道同様にこの広場も枯れたばかりの草で覆われていますから、ほんの1~2ヶ月前までは広場の存在が確認できないほどの藪が茂っていたものと想像されます。
広場が尽きる辺りで道の跡は二手に分かれています。ここは左へ進みます。国土地理院の地図を見る限り、この道は温泉旅館の西側を高巻いているだけのようですから、もし右へ進んだとしても、道の跡さえ見失しなければおそらく温泉旅館の南側に出られそうですが、無理に進むのはやめておいた方がいいでしょうね。
分岐後は沢へ向かって坂を下るのですが、私の背丈以上に高く伸びている笹藪が行く手を遮り、この藪を漕いでいるときには「本当にこの方角で合っているのか」という不安に襲われました。
笹を踏んでスリップしないように注意しながら慎重に藪こぎしてゆくと、あれ? 笹薮の先に何やら人工物が見えるぞ!
おお! 遂に「展望台の湯」発見です! しっかりお湯が溜まっているではありませんか。
でも周囲は落ち葉で埋め尽くされており、その地面はドロドロの泥濘と化していました。こんなこともあろうかと足元は防水靴を履いてきましたが、場所によっては足首くらいまで潜っちゃいそうなほどぬかるんでいましたので、付近に落ちていた木の枝で地面を突きながら、足を運ぶ場所を選んで周辺を探索しました。
数々のバケツやポリタンクが放置されています。事前の調査によれば、湯船が熱い時はこれで沢の水を組んで加水するようですが、中には腐った雨水や泥が溜まっており、とてもじゃないけど使いたくありません。
お風呂の傍には沢が谷を刻んでいます。この沢を下ってゆけば、おそらく温泉旅館にたどり着くのでしょう。
落ち葉に覆われてわかりにくいのですが、一帯は温泉析出により谷に向かってトラバーチンのドームが形成されています。脆いので下手に踏み込むと足元が崩れちゃいそう…。このトラバーチンの表面にはドームを形成する温泉が落ち葉に滲んでおり、裸足でこの上を歩くと、場所によってはかなり熱く感じられました。
落ち葉に囲まれて浴槽の原型がわからないお風呂。落ち葉から滲み出ているのか、湯面には脂が浮いていました。
パイプから源泉がチョロチョロと注がれています。湯船は43.5℃と入浴に適した温度なのですが、おそらく相当長い間、誰も入っていないまま放置されていたのでしょうから、底に何が沈んでいるかわからず不気味ですし、周囲はドロドロでどんな雑菌が繁殖しているかとっても不安ですから、入浴するかどうか、湯船を目の前にして躊躇してしまいました。でも湯加減は良いし、ここまで来て入らないのは勿体無いし…
というわけで、「えいっ!」と掛け声をかけながら全裸になって入浴しちゃいました。底に堆積している落ち葉によって湯船は浅く見えたのですが、実際に体を沈めてみると湯船はかなり深く、足が底へズブズブ潜っていったので、その刹那は気味悪くてたまりませんでした。でも温度計の数字通りに加水しなくても問題なく入れる湯加減であり、またお湯自体は長い間の放置にもかかわらず生臭さや泥臭さもなく、むしろお湯からは鮮度感すら伝わってきました。お湯だけ捉えればかなり気持ち良いのですが、落ち葉や泥濘の不気味さ不衛生さを加味すれば、プラスマイナスゼロといったところでしょうか。
今回は天気に恵まれ、また道のトレースで迷うこともなかったので、スタート地点からちょうど12分で「展望台の湯」に辿りつけたのですが、大した時間を要さなかったにもかかわらず、慣れない藪こぎのお陰で相当長い距離を歩いてきたような疲労感があり、再び行きたいかと言えば返答には戸惑うところです。
なお、比較的アクセスしやすい「展望台の湯」がこの有り様でしたから、この界隈にあるもう一つの野湯「営林の湯」の探索は諦めました。両者ともこのままひっそりと自然に帰ってゆくかもしれません。
野湯につき温泉分析表なし
北海道上磯郡知内町湯の里
(今回は地図による場所の特定を控えさせていただきます)
野湯につき無料
時間制限等ありませんが訪問の際は自己責任で。
ここからスタート。2本の白いポールが目印。念のために熊除けの鈴を鳴らしながら歩くことに。
早くも藪に行く手を遮られてしまいます。数年前までここを車で走れたことが信じられません。草は枯れているのでまだ藪こぎしやすいのですが、笹はしっかり茂っており、これが夏だったら前進不可能だったかもしれません。
たまに視界がひらけて道路の跡が明瞭な箇所もあるのですが…
こんな風に倒木が前方に立ち塞がっていることもしばしば。倒れている枝が疎になっている部分から先へすり抜けました。ひたすら藪こぎするばかりです。なお今回は上下セパレートのレインコートを着ていたので、枝の先などで痛い思いをすることなく、また衣類に枯れ草や種などが付着することも無く、藪へ体当りするような感じで前進しました。
私の背丈ほどに茂ったクマザサが覆い尽くす林道はほぼ自然に帰りつつあります。上画像において進行方向は正面なのですが、画像を見ただけでは見当つきませんよね。でも路盤の跡には木が全く生えておらず、緩やかなカーブを描いていたり、あるいは車一台分の幅がフラットになっていたりしますし、笹以外の植物がほとんど枯れた時期でしたから、初見の私でも比較的容易には廃道跡をトレースできましたが、藪が青々している時期でしたらまず無理だったでしょう。藪を抜けたらクマさんと出会い頭…なんてことも考えられますし。
左手下方の木立の向こうに知内温泉旅館の建物が見えます。
やがて歩きやすくなり…
スタートから約10分で、ちょっとした広場に行き当たりました。この道が自動車でも通行可能だった頃には、ここが駐車場だったはずです。いまでも路肩にはガードケーブルが残っており、かつてはれっきとした道路であったことがわかります。しかしながら、ここまでの道同様にこの広場も枯れたばかりの草で覆われていますから、ほんの1~2ヶ月前までは広場の存在が確認できないほどの藪が茂っていたものと想像されます。
広場が尽きる辺りで道の跡は二手に分かれています。ここは左へ進みます。国土地理院の地図を見る限り、この道は温泉旅館の西側を高巻いているだけのようですから、もし右へ進んだとしても、道の跡さえ見失しなければおそらく温泉旅館の南側に出られそうですが、無理に進むのはやめておいた方がいいでしょうね。
分岐後は沢へ向かって坂を下るのですが、私の背丈以上に高く伸びている笹藪が行く手を遮り、この藪を漕いでいるときには「本当にこの方角で合っているのか」という不安に襲われました。
笹を踏んでスリップしないように注意しながら慎重に藪こぎしてゆくと、あれ? 笹薮の先に何やら人工物が見えるぞ!
おお! 遂に「展望台の湯」発見です! しっかりお湯が溜まっているではありませんか。
でも周囲は落ち葉で埋め尽くされており、その地面はドロドロの泥濘と化していました。こんなこともあろうかと足元は防水靴を履いてきましたが、場所によっては足首くらいまで潜っちゃいそうなほどぬかるんでいましたので、付近に落ちていた木の枝で地面を突きながら、足を運ぶ場所を選んで周辺を探索しました。
数々のバケツやポリタンクが放置されています。事前の調査によれば、湯船が熱い時はこれで沢の水を組んで加水するようですが、中には腐った雨水や泥が溜まっており、とてもじゃないけど使いたくありません。
お風呂の傍には沢が谷を刻んでいます。この沢を下ってゆけば、おそらく温泉旅館にたどり着くのでしょう。
落ち葉に覆われてわかりにくいのですが、一帯は温泉析出により谷に向かってトラバーチンのドームが形成されています。脆いので下手に踏み込むと足元が崩れちゃいそう…。このトラバーチンの表面にはドームを形成する温泉が落ち葉に滲んでおり、裸足でこの上を歩くと、場所によってはかなり熱く感じられました。
落ち葉に囲まれて浴槽の原型がわからないお風呂。落ち葉から滲み出ているのか、湯面には脂が浮いていました。
パイプから源泉がチョロチョロと注がれています。湯船は43.5℃と入浴に適した温度なのですが、おそらく相当長い間、誰も入っていないまま放置されていたのでしょうから、底に何が沈んでいるかわからず不気味ですし、周囲はドロドロでどんな雑菌が繁殖しているかとっても不安ですから、入浴するかどうか、湯船を目の前にして躊躇してしまいました。でも湯加減は良いし、ここまで来て入らないのは勿体無いし…
というわけで、「えいっ!」と掛け声をかけながら全裸になって入浴しちゃいました。底に堆積している落ち葉によって湯船は浅く見えたのですが、実際に体を沈めてみると湯船はかなり深く、足が底へズブズブ潜っていったので、その刹那は気味悪くてたまりませんでした。でも温度計の数字通りに加水しなくても問題なく入れる湯加減であり、またお湯自体は長い間の放置にもかかわらず生臭さや泥臭さもなく、むしろお湯からは鮮度感すら伝わってきました。お湯だけ捉えればかなり気持ち良いのですが、落ち葉や泥濘の不気味さ不衛生さを加味すれば、プラスマイナスゼロといったところでしょうか。
今回は天気に恵まれ、また道のトレースで迷うこともなかったので、スタート地点からちょうど12分で「展望台の湯」に辿りつけたのですが、大した時間を要さなかったにもかかわらず、慣れない藪こぎのお陰で相当長い距離を歩いてきたような疲労感があり、再び行きたいかと言えば返答には戸惑うところです。
なお、比較的アクセスしやすい「展望台の湯」がこの有り様でしたから、この界隈にあるもう一つの野湯「営林の湯」の探索は諦めました。両者ともこのままひっそりと自然に帰ってゆくかもしれません。
野湯につき温泉分析表なし
北海道上磯郡知内町湯の里
(今回は地図による場所の特定を控えさせていただきます)
野湯につき無料
時間制限等ありませんが訪問の際は自己責任で。
道は荒れ放題で藪をかき分けかき分け、やっとのことで辿り着くと今度は湯船周囲は苔に覆われており、入浴するかどうか私も躊躇しましたが、思い切ってお湯につかってみました。確かに不気味さはありましたが、湯温は最適で緑の中の入浴はとても気持ちの良いものでした。
大変お疲れ様でした。道も藪もひどい状態ですよね。今時期よりも暑くなって藪が本格的に茂ると、もうしばらくは到達困難かもしれませんね。しかも湯船のまわりはコケに覆われているんですか。想像するだけでも気持ち悪そうです…。でも意を決して入ったお湯が適温で良かったですね。事前の情報ですとかなり熱いとのことでしたが、私が行った時もベストな温度でした。
スノーシュー履いて、膝上まで埋れ、
約一時間かかり、、、
ってか、入浴するつもりでしたが、
展望台の湯の間近が、2m位の雪の崖で、
スコップもザイルも無かったら、
降りたら、登れそうに無く、
上から眺めてました。
パイプが抜かれたって噂聞いてたんですが、
源泉部分のパイプが破損してるんですね。
破損したパイプからお湯が地面を這って、
湯船に流れてるんですね。
上から眺めてたから、見間違い?
また、落ち葉一つ見当たらずで、
冬場でも来てる人がいるのかな?
あの距離を1時間も費やしたにもかかわらず、入浴叶いませんんでしたか…。まだまだ厚い雪が行く手を阻んでいるんですね。春が待ち遠しい…。源泉のパイプが外れちゃったんですか? 私の訪問時には、パイプから湯船にお湯が注がれていたのですが、あの周りではお湯が漏れていて、湿地のようにグジュグジュにぬかるんでいました。「落ち葉一つ見当たらない」とのことですが、北海道の温泉ファンには野湯が好きな方が多いようですから、バンビさんが仰るようにわざわざここへ来ている人がいるのかもしれませんね。いずれにせよ、まだ湯船としての形は保たれているようで、ちょっと安心しました。
今度また行きたいですね。
その時は綺麗にして、もっと入りやすくしたいです。
2016年に行かれたのですね。お疲れ様でした。私が訪れた時と変わっていなかったとのことで、ほっとしました。それから2年経った今でも同じ姿であればいいですね。ただ、あそこはちょっと衛生的に及び腰になってしまうので、もうちょっと綺麗な状態になると(できると)いいですね。
書き込み有難うございます。