数日前(2017年4月6日付)の記事で取り上げました十和田湖温泉郷から八甲田の山を越えて、津軽地方へとやってまいりました。まずは黒石市落合温泉にある小さなお宿「南風館」を訪ね、日帰り入浴をお願いしました。こちらのお宿はお寿司屋さん「美鈴」に併設されており、建物の外観だけですと、宿というよりお寿司屋さんとしての存在感が目立っているようです。
店内に入っても、やはりそこはお寿司屋さんそのもの。中央と右手に客席が、左手にカウンターが配置されており、訪問時(お昼過ぎ)には実際にランチを召し上がっているお客さんがいらっしゃいました。でも私はお寿司ではなく、宿のお風呂に入ることが目的。仲居さんにその旨を伝えると、快く対応してくださり、カウンターの中にいる大将からも威勢よく「いらっしゃいませ」と声をかけられながら、店内を通り抜けて奥のドアを開けました。ドア向こうの左側には座敷部屋の襖が並んでおり、法事と思しき団体さんがお食事なさっていました。一方、右側には「ゆ」と染め抜かれた暖簾が掛かっており、ここに至ってようやくここに温泉浴場があることが確認できました。
必要最低限の備品が揃っているコンパクトな脱衣室を抜けて浴室へ。お風呂は内湯のみで、その内湯もタイル張りという至って実用的なものですが、ドアを開けた途端に温泉由来の芒硝臭がフワっと香り、その匂いが本物の温泉であるという矜持を主張しているようでした。
浴槽上の窓から外を眺めると、裏庭越しに浅瀬石川の流れ、そして対岸に軒を連ねる板留温泉の宿を一望することができました。
浴室手前側の左右両方に洗い場が配置されており、シャワー付きカランが計3基取り付けられています。
浴槽は1.5m×2.5mの四角形。浴槽内には淡い水色タイルが、縁取りには黒い御影石が用いられており、その濃淡のコントラストが、槽内に張られているお湯の清らかさを際立たせていました。石組みの湯口からチョロチョロと注がれているお湯は、無色透明で綺麗に澄んでいますが、湯中をよく見ると白くて細かな浮遊物がチラホラ舞っています。先述のようにお湯からは芒硝の香りがほのかに漂っているほか、味覚に関しても僅かに芒硝感が得られます。とはいえ、匂い・味ともにかなり繊細ですから、お湯のコンディションによっては無味無臭と感じる時あるかと思います。
湯船のお湯は全量が黒御影の浴槽縁の上を溢れ出ており、循環している様子は見られないので、放流式の湯使いと判断して間違いないでしょう。館内表示によれば源泉温度が高いため加水しているとのことですが、私の訪問時、湯口から吐出されるお湯は50℃近いアツアツでありながら、流量が絞られていましたので、加水せず投入量の調整によって湯温を調整することもあるのかと思われます。この時はお湯の絞り加減が絶妙だったので、湯船は41〜2℃という素晴らしい湯加減が保たれていました。湯中ではスルスベとキシキシの両浴感が拮抗し、それでいてシットリとした感覚に包まれます。特にわかりやすい個性や主張があるようなお湯ではないのですが、にもかかわらず、一度お湯に浸かると気持ち良さに後ろ髪を引かれて湯船に出られなくなる、浴感が素晴らしいお湯でした。
平山温泉1号泉・2号泉混合泉
単純温泉 51.5℃ pH7.1 利用量測定不能(掘削動力揚湯) 溶存物質0.446g/kg 成分総計0.460g/kg
Na+:88.3mg(67.01mval%), Ca++:35.8mg(31.24mval%),
Cl-:48.9mg(24.78mval%), SO4--:92.6mg(34.65mval%), HCO3-:137.5mg(40.39mval%),
H2SiO3:35.7mg, CO2:13.9mg,
(平成24年10月29日)
加水あり(温度が高いため)
弘南鉄道・黒石駅より弘南バスの大川原行か温湯行で「津軽伝承工芸館前」か「落合温泉入口」下車
青森県黒石市大字袋字富田63-23 地図
0172-54-2528
ホームページ
日帰り入浴時間不明(ネット上には12:00〜15:00という情報あり)
500円
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
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