温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ミニレポート 住宅地に噴出した温泉のその後(8月下旬)

2011年08月30日 | 福島県
東日本大震災の直後、突如として住宅地から温泉が大量噴出した、いわき市南部の某所(泉駅の南西付近)。
この椿事は当初マスコミにも取り上げられ、溢流したお湯や硫黄臭により近隣住民が被害を受けていることが報道されました。


温泉が噴き出した構造物はかつて常磐炭田の通気口として使われていたものなんだそうですが、常磐炭田といえば掘削中に湧出する高熱かつ大量の温泉に散々悩まされてきたことは衆知の事実ですから、地震によって地下構造にズレが生じ、これに伴ってかつてのように坑道や通気口へ被圧された温泉が侵入して、たまたま近くにあったこの通気口から噴き上がってしまったことは、素人の私でもその原理を大まかに理解することができます(常磐ハワイアンセンターは炭鉱の邪魔者であった温泉を見事に活用した施設として有名)。とはいえ、溢れるお湯は流路を変えられても湯気や臭気からは逃げようがありませんので、温泉により被害に遭われた方は誠にお気の毒です。噴出当時は専門家曰く、しばらくは湧出が止まらないだろう、とのことでしたが、震災から間もなく半年が経とうとする時期を迎え、この現場がどうなっているのか確認したく、8月下旬某日にたまたま所用でいわき市を訪問する機会があったので、ついでにちょっと立ち寄ってみました。


現場はいまでも常磐興産の私有地なので、立入が禁止されています。そこで柵の外から観察することに。
敷地入口にはご丁寧にも立入禁止の札が2枚も提げられていました。


これが問題の通気口の現状。噴出直後のニュースでは立坑から思いっきりお湯が溢れ、湯気が濛々と立っていましたが、現在ではその勢いも弱まり、少なくとも構造物上部からの溢流は見られませんでした。また、噴出がひどい時には辺り一帯に硫黄の悪臭が漂っていたそうですが、この時は全く匂いは感じられず、臭気被害も最悪時に比べればかなり軽減されているように思われました。しかしながら構造物には簡易的な排水パイプが設置され、上部には土嚢らしきものが積まれたままでして、噴出は完全に止まったわけではないようです。


その証拠に、通気口の脇ではこんな感じで白い湯気が上がっていました。敷地の傍には川が流れているのですが、噴出しつづけるお湯をパイプで川まで引き、川へお湯を捨てるところでこの湯気が上がっているようです。
温泉水の様子をもっと確認したかったのですが、現場を含め周囲は私有地であり、また藪が繁ってとても近づける状況ではなかったため、これ以上の探索は断念することにしました。所用の都合で今回は僅か数分で現場を立ち去ってしまいましたが、現場を見た限りでは、どうやら異常事態は徐々に収束に向かっているようです。温泉は必ずしも人に癒しをもたらすものでは無いんですね。








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