温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

小野川温泉 高砂屋旅館

2012年07月25日 | 山形県

前回記事に引き続き小野川温泉の旅館を「夢ぐり手形」で立ち寄り入浴します。今回は共同浴場「尼湯」の左側に位置する老舗旅館「高砂屋旅館」です。間口こそそれほど広くありませんが、建物の横幅いっぱいに広がる唐破風がをはじめとする重厚感のある外観は一見の価値があり、その威風堂々たる佇まいを目にして、小市民の私は思わず緊張してしまいました。


 
玄関内部の三和土には釜がふたつ並んだ竈、そして飲泉や足湯など温泉を手軽に楽しめる設備のほか…



杵や朱塗りの立派な箪笥など伝統工芸の数々も展示されていました。



玄関から上がったところには掘りごたつのあるお座敷も設けられています。帳場はこの座敷の右側奥にあるのですが、上り框が結構高くて、どこから上がってよいものか一瞬戸惑ってしまいました。
このように玄関周りの限られたスペースにはいろんなものが配置されているのですが、まったく雑然とした印象が感じられず、むしろ全てがうまく整然と組み合わされて、あたかも昔話の挿絵を見ているかのような、伝統美を体現するひとつの小世界を作り上げているかのようでした。


 
帳場まわりもラグジュアリ感を醸し出すモダン和風なデザインで統一されており、段違いで小さな枡状の棚が開いているこの飾り置きなんてとってもおしゃれ。しかもその傍にはタッチパネル式の観光ガイドも設置されており、伝統美を意識しながらも先端技術を取り入れようとする宿側の積極姿勢が窺えます。


 
帳場から階段を上がって2階へ向かいます。いかにも温泉旅館らしく、館内はかぎ状にクネクネ曲がった廊下が伸びており、案内が無いと迷ってしまいそうになります。
上画像の案内板が立っている右側には貸切風呂(小町の湯)がありますが、今回は利用しておりません。


 
脱衣所はごく普通ですが、手入れが良く行き届いており清潔で気持ち良く使えました。




(上画像クリックで拡大)
室内では湯使いに関する細かな表示や、各浴槽に関する諸々の情報が開示されており、お宿のお湯に対する矜持が伝わってきます。加温加水循環消毒一切ないとのこと。


 
岩の組み方や木材の配置などがワイルドな感じの浴室からは男性的な印象を受けます。
自然石貼りの浴槽は木板で二分されており、手前側はちょうど良い湯加減で3~4人サイズ。一方奥側はそれより若干狭く、湯口のお湯が直接流れ込むために湯加減がやや熱いのですが、かき混ぜて湯もみすれば手前側と大して変わらない温度になりました。なお両者を仕切る板は底まで達していないため、お湯は板の下方を通って奥側から手前側へと流れ、縁からしっかりオーバーフローしてゆきます。



お湯が落とされる岩には硫黄の白い湯の花が付着し、お湯の流れに身を任せてユラユラと揺れていました。また湯口直下の奥側の湯船には白い湯の花がたくさん舞っていました。こちらのお宿のお湯は協組4号源泉の単独使用で、外観としては他の施設でよく使われている4号と5号の混合泉よりも若干白く濁っているように見え、小野川らしい硫黄臭や美味しいタマゴスープ味が際立って感じられます。小野川のお湯は混合泉よりも4号単独の方が個性がはっきり伝わってきますね。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が浴室の左右に分かれて計5基設置されています。水栓金具は硫化して真っ黒です。



内湯のガラス窓の向こうに側に広がる日本庭園の中には露天風呂が据えられています。源泉が岩の上を舐めががら浴槽へと流れてきます。利用時は外気に冷やされてややぬるめの湯加減でした。小さな庭園ですが奥行があるため意外と広く感じられます。この日はちょうど頭上にお月様が浮かんでいたので、月見風呂が楽しめました。


協組4号
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 80.3℃ pH6.9 高砂屋への供給量48.6L/min 蒸発残留物5659mg/kg 溶存物質5768mg/kg
Na+:1412mg, Ca++:547.2mg,
Cl-:3199mg, HS-:1.7mg,
H2SiO3:241.7㎎, 遊離H2S:2.5mg,

JR米沢駅から山交バスの小野川温泉行で小野川温泉下車、徒歩2~3分
山形県米沢市小野川町2427  地図
0238-32-2224
ホームページ

手形での入浴時間7:00~21:00
現金での立ち寄り入浴は要問い合わせ
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★

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