温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

キュタフヤ県シマーヴ市 エイナル温泉 キュチュク・ハマム

2015年02月16日 | トルコ
 
エイナル温泉にある大小の各公衆浴場は、男女が曜日によって交互に入れ替わるシステムとなっており、私が訪問した日は大きな方の公衆浴場は女湯だったので、男湯になっている小さな方の浴場「キュチュク・ハマム(Küçük Hamam)」を利用することにしました。入口に掲示されている"ERKEKLERE"と記されたプレートが、男湯であることを示しています。
この「キュチュク・ハマム」における曜日分けは、女湯が火・木・金・日、男湯が月・水・土となっています。



まずは下足場で靴を脱ぎ、館内用のスリッパに履き替えて、目の前の番台で料金を支払い、貴重品を預けます。窓口の料金表によれば、男性の湯銭は3.5リラなのですが、女性は2.5リラであり、同じ浴場にもかかわらず料金に男女差が設定されていることは意外でした。大きな浴場が女性に割り当てられる曜日は少ないので、その代わりに料金面で優遇してバランスをとっているのかもしれません。


 
浴室前の休憩スペース兼荷物置き場には、横臥できるほどの幅があるクッション付きベンチがコの字形に2区画並んでおり、その上に壁には服をかけるフックがたくさん並んでいます。ベンチでは湯上がりのお客さんが横になって、ゆっくり寛いでいらっしゃいました。床は大理石敷きで、豊富な温泉資源を活かして床暖房が設けられており、ベンチの上もホカホカなのですが、熱量が若干過多なのか、暖かい室温を超えて、やや蒸し暑い状態でした。この室内では飲料を扱うスタンドもあり、湯上がりに冷たいソフトドリンクや紅茶などをいただくことができます(もちろん別料金)。


 
大理石で造られた浴室はいくつかの小部屋に分かれており、まずはじめに足を踏み入れるのが左(上)画像の洗い場ゾーンです。壁際にはお湯が出る水栓、そして丸く繰り抜かれた洗面器代わりの鉢という組み合わせが6つほどあり、三助さんによる垢すり(別料金)もこの部屋で行われるようでした。この部屋の奥にはシャワールームも備わっています。


 

洗い場は別にもう一部屋あり、使い勝手が良いのか、お客さんの利用はこちらの方に偏っていました。壁に沿って水栓&湯鉢の組み合わせが7つ並んでいます。総大理石のなめらかな質感と独特の光沢は、長い歴史を有するトルコ温泉文化の風格を体現しているようでした。
その洗い場で掛け湯をしようと水栓から出てくるお湯を桶に汲んだのですが、お湯に触れた指先から強い刺激を受けたので、温度計を差してみたら何と65.0℃という高温だったのでした。何も知らずにこのお湯をいきなり掛け湯していたら、火傷を負うところでした。危ない危ない…。もちろんこのお湯は温泉です。


 
洗い場の向かい側にある低いゲートを潜った先に、入浴槽がお湯を湛えていました。なかなか美しいじゃないですか。浴槽は正八角形で、一辺の長さが約1.8m、槽内には2段のステップが設けられ、最も深いところでは135cmです。


 
レセプション隣にある大きな浴場"Büyük Hamam"がメインならば、この"Küçük Hamam"は次位的な位置づけであり、全てにおいて"Büyük Hamam"より小さく地味に造られていて、トルコのハマムでよく見られるドーム天井も無いのですが、その代わり天井がカーブを描いており、ドームを思わせる円弧の船底天井となっています。上述のように洗い場は別室に設けられているので、この浴槽のプールサイドは、スペースに余裕がありません。


 
壁から突き出た2本の配管が湯だまりの枡上で合流し、一旦枡の中にお湯を落としてから浴槽へ注いでいます。おそらく2本の配管は温泉と冷水と思われ、湯口の段階で加水することによって温度を調整しているようです。温泉側の配管は非常に熱く、表面は細かなトゲトゲが現れている白い析出でビッシリ覆われていました。


 
壁や床と同様に、八角形の浴槽も総大理石。ステップへ腰を下ろした時に肌へ伝わる滑らかな感触がなんとも言えません。絶え間なく浴槽へ注がれるお湯は、浴槽縁から溢れ出て、縁と隣り合っているグレーチングへ落とされていました。お風呂の湯加減は日本人好みの40.9℃でして、数値だけ見ますと若干ぬるめではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この大理石の浴室には熱気と湯気がこもっており、まるでサウナのような蒸し風呂状態ですので、この湯加減であっても体には十分に熱く感じられ、意外にも長湯できませんでした。


 
浴槽の部屋から更に奥へ進むと、上画像のような小部屋があり、小さな二つの槽にアツアツの温泉が注がれ、その放射熱によって室内は高温多湿の蒸し風呂となっています。画像では伝わらないのですが、熱の篭もり方が強力で、室内の空気だけでなく、壁や床の大理石も熱くなっているため、私はここに5分といられませんでした。

お湯は無色透明でほぼ無味無臭。癖が無くあっさりとしています。しかし、個性が無さそうでありながら、うちに秘めたるパワフルな温まりがあり、湯上がりは汗が止まらず、額や首に大量発汗していた私を見た番台のおじさんは、このまま外に出たら風邪をひいちゃうと心配になって、わざわざタオルを貸してくださいました。お湯のフィーリングから推測するに、蒸気造成泉である可能性もありますが、見た目や味・匂いから想像もできない力強さは、さすが本物の温泉だと感心させられます。地味な外観でありながら内部は立派な造りの浴場、そして癖がなくアッサリとしていながら強力な温まりのあるお湯という、意外性に富んだエイナル温泉なのでした。


GPS座標:N39.126948, E28.996602,


男湯:月・水・土曜、女湯:火・木・金・日曜日、
7:15~23:15
男性3.5リラ、女性2.5リラ

私の好み:★★+0.5

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« キュタフヤ県シマーヴ市 エ... | トップ | バルケシル県 ヒサララン温... »

コメントを投稿