温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯西川温泉 民宿やま久

2012年06月16日 | 栃木県

湯西川の集落から2km西へ奥まった場所にある民宿「やま久」で立ち寄り入浴をお願いしていきました。外観だけではここに温泉があるとは気づきにくいのですが、ホームページを拝見すると100%源泉掛け流しの温泉が入浴でき、日帰り入浴も受け付けている旨がアナウンスされています。
湯西川の温泉街を抜けてゆくと道は俄然細くなって周囲は鬱蒼とした山となり、こんなところに人家なんてあるのかと不安になりかけたころ、突然視界が開けて数軒の人家が建つ小さな集落へと行き当たります。小さな集落にもかかわらず民宿が2軒並んでおり、今回お邪魔した「やま久」は手前側(温泉街側)です。駐車場に車を停めると、黒いワンコが警戒してもの凄い勢いで吠えたててきました。



ワンコの咆吼から逃げるべく足早に玄関の戸をあけ、立ち寄り入浴をお願いすると、居間からご主人が現れて、快く受け入れてくださいました。玄関ホールのテーブル上には熊の毛皮が載せられており、タヌキと思しき獣の毛皮もありました。また「いろりの宿」と称するようにその右側の部屋には囲炉裏が据えられていました。



浴室は囲炉裏から左にすすんだ突き当りの右側。一室しかないので貸切での利用となります。



湯船がひとつあるだけの至ってシンプルな造りで、個人宅のお風呂をお借りしたような感覚です。けだしこちらのお宿のご家族もお使いなのではないでしょうか。洗い場にはシャワー付き混合栓が1基あるほか、浴槽加水用の水道蛇口が1つ設置されています。後述する湯口より源泉が加水されることなく注がれており、浴槽手前側の切り欠けからしっかりオーバーフローしています。完全掛け流しです。


 
浴槽は鉄平石貼りの2人サイズ。浴槽の隅には岩組みの湯口がそば立っていますが、実際には岩にお湯は落とされず、SUSのフレキ管から注がれています。管の口は真白い成分が析出していました。源泉のままですとかなり熱いのですが、懸命に湯揉み(攪拌)したところ、加水せずに入浴することができました。

お湯は無色透明ですが、かなり薄い茶色っぽい膜を細かく粉砕したような湯の華が沢山湯中で浮遊しています。口にすると微かなタマゴ臭と味を覚え、加えてアルカリ性泉でよくみられる微収斂も口腔内で感じられました。なお源泉はこのお宿より50メートル南方の川沿いに存在しているそうです。同じ湯西川でも、さすがに温泉街から2kmも離れていますから温泉街のお湯とは異なる質ですが、フッ素イオンの数値が高いことは共通しており、温泉街の集中管理源泉より倍近い20.2mgという数値が分析表に記載されていました。北に聳える帝釈山脈を越えた会津の旧舘岩村宮里には戦前に蛍石(フローライト・フッ化カルシウム)を産出したその名も「蛍鉱山」が存在していたので、素人推理ですが、もしかしたらそのの鉱脈が県境を跨いでこちらの方にも及んでいて、それが影響しているのかもしれませんね。

新鮮でキリリと冴えわたる熱めのお湯は実に気持ち良く、ツルツルスベスベとした浴感と相まって、非常に爽快な入浴が楽しめました。


高手観音の湯
アルカリ性単純温泉 63.1℃ pH9.0 174.5L/min(動力揚湯) 溶存物質0.344g/kg 成分総計0.344g/kg
Na+:89.7mg(94.89mval%),
F-:20.2mg(26.13mval%), HCO3-:153.9mg(61.91mval%),
H2SiO3:57.8mg,

栃木県日光市湯西川高手1616‐2  地図
0288-98-0902
ホームページ

立ち寄り入浴時間不明
500円
備品類なし(シャンプー類は一応あるが、宿泊者もしくは宿のご家族用ではないかと思われる)

私の好み:★★

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