前回記事「岩間噴泉塔群(その2 純白な石灰華と野湯)」の続編です。
噴泉塔から登山道を登って岩間温泉元湯の登山道口へと戻ってまいりました。下りの往路は40分弱を要したのに、なぜか登りの復路は30分で踏破してしまいました。私の脚力ってどうなっているんでしょうか、自分でもよくわかりません。
登山道口の前には、新岩間温泉「山崎旅館」や白山一里野温泉の各施設へ温泉を供給している源泉があるので、ちょっとそちらへ寄り道してみましょう。引湯管はブルーシートでガッチリと覆われており、坂の上の方へと伸びていました。
ここが源泉なんですね。堅牢なコンクリートの躯体からは濛々と白い湯気が立ち上っており、近づくだけでもムンムンとした熱気が感じられます。何軒もの宿や入浴施設が、この源泉から湧出する温泉をアテにしてお客さんを集めているんですね。ガッチリとした施設であって当然です。
さて源泉から登山道口へ戻り、さらに下って、避難小屋の手前にある元湯の露天風呂で登山の汗を流しましょう。この露天風呂は脱衣所はおろか、仕切りも何もなくただ混浴の湯舟が一つあるだけで、橋を渡る登山者からは丸見えですが、私の訪問時は、噴泉塔へ向かう際に1組、戻ってきてからも別の1組、それぞれカップルが入浴中でしたので、山奥の開放的な環境が羞恥心を吹き飛ばしてくれるのかもしれませんね。尤も足湯だけで済ませる方も多いようです。
かなり大きな露天風呂ですね。谷の方へ視界も開けており、眺望もまずまずです。
画像には写っていませんが、お風呂の脇にはデッキブラシが置かれており、定期的な清掃が実施されているそうでして、山の中の露天とは思えないほど綺麗な状態が保たれていました。また有難いことに桶なども用意されています。
先程の源泉から引かれてきたアッツアツの温泉が、岩組みの下から突き出た塩ビ管から注がれているのですが、山奥にある常時無人の露天風呂ですから、湯加減の調整なんて行われているわけもなく、大抵の場合は入浴前に湯加減の調整を行う必要があります。私の利用時には、ちょっと前まで他の客が入浴していたので、極端に熱い状態ではなかったのですが、それでも47℃はあってかなり熱い湯加減でしたので…
バルブ付きのホースから沢水を投入してジャンジャン加水したところ、あっという間に42度まで下がりました。これで心おきなく湯浴みできますね。
ということで入浴です。極楽この上ありません、最高です。お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、微かに砂消しゴム的な硫黄的味覚や臭覚を帯びていたように感じられました。浴感としてはアッサリ&サッパリとしたもので、癖の無い爽快なお湯でした。
山の紅葉に抱かれながら、気持ち良さのために時間を忘れてのんびり入浴していたら、いつの間にか1時間以上も入り続けてしまい、気づけば時計の針は夕方4時を過ぎていました。秋の日は釣瓶落としといいますから、早めにここを出発しないと真っ暗になっちゃいますから、本当はもう少し入っていたかったのですが、後ろ髪をひかれる思いでこの露天風呂を後にしました。
前々回の記事でも取り上げましたが、元湯の避難小屋&トイレはかなり立派な造りです。その小屋の基礎部分に立てかけてある自転車を取り戻して、出発地点へと戻ることにしましょう。
自転車で砂利の林道を疾走。下り一辺倒なので楽チンです。
途中で山の紅葉を眺めながら…
出発地点であるゲート(駐車場)に到着です。さすが自転車は早い。徒歩なら40分から1時間弱は要するところを、わずか15分で走破してしまいました。
さて日暮れ前に無事戻れましたので、明るいうちにもう一軒露天風呂へ行きましょう。
次回はこのゲート(駐車場)目の前にある新岩間温泉「山崎旅館」で宿泊したときのレポートです。
温泉分析表なし
石川県白山市尾添 地図
利用に関する時間制限は特にありませんが、なにも無い山奥ですから日中の利用が良いでしょう。
無料
私の好み:★★★
(余談)
実はこの露天風呂に入る前、ちょっとした事件に遭遇してしたため、帰る時間が遅くなってしまいました。その事件とは登山者の転落事故です。私が噴泉塔から元湯へと戻ってきたとき、下の方から血相を変えて高齢の登山者の一団が上がってくるではありませんか。一団は私を見るや否や「遭難者がいるから助けてほしい」と声をかけてきました。さっき私が通り過ぎてきた登山道で高齢の登山者が転落してしまったんだそうです。私も急遽来た道を引き返して捜索に加わったところ、登山道口から数百メートル進んだ、道が小さな沢を越す地点で、沢の下方20メートル付近に横たわるお爺さんを発見。偶然にも元湯付近で工事関係者がいたため、その関係者にまず連絡し、更には新岩間温泉の山崎旅館のスタッフが現場へ駆けつけ、石川県の消防にレスキューを要請。たまたまこの日は晴天で無風状態だったためか、要請から30分程度で救助隊のヘリがやってきて、レスキュー隊の手によってそのお爺さんは無事にヘリコプターへ収容され、病院へと搬送されて行きました。画像はヘリにお爺さんが収容されている様子、そしてその事故を報じる翌日の「北國新聞」の記事です。この事故で76歳のお爺さんは両脚を骨折してしまったものの、命には別条がなく、最悪の事態は回避することができたのですが、その要因としては、たまたま紅葉の季節だったので他に登山者がいて発見がしやすかったこと、付近で工事していたため連絡が取りやすかったこと、快晴で無風状態だったためにヘリが山肌ギリギリまで接近しながらホバリングできたこと、そして何よりも重要なのが、尖った石がゴロゴロしている沢へ20メートルも転落したにもかかわらずヘルメットを被っていたので頭へのダメージが大幅に軽減できたことが挙げられます。大したことの無い登山道における転落事故ですが、ヘルメットの有無がお爺さんの運命を大きく左右したわけです。ヘルメットってとっても大切なんですね。
今回の露天風呂は、お爺さんの無事を確認した後での入浴だったため、「無事に意識のある状態でレスキューに助けてもらった」という安心安堵の心情が、余計に湯あみの爽快さを高めてくれたのでした。
噴泉塔から登山道を登って岩間温泉元湯の登山道口へと戻ってまいりました。下りの往路は40分弱を要したのに、なぜか登りの復路は30分で踏破してしまいました。私の脚力ってどうなっているんでしょうか、自分でもよくわかりません。
登山道口の前には、新岩間温泉「山崎旅館」や白山一里野温泉の各施設へ温泉を供給している源泉があるので、ちょっとそちらへ寄り道してみましょう。引湯管はブルーシートでガッチリと覆われており、坂の上の方へと伸びていました。
ここが源泉なんですね。堅牢なコンクリートの躯体からは濛々と白い湯気が立ち上っており、近づくだけでもムンムンとした熱気が感じられます。何軒もの宿や入浴施設が、この源泉から湧出する温泉をアテにしてお客さんを集めているんですね。ガッチリとした施設であって当然です。
さて源泉から登山道口へ戻り、さらに下って、避難小屋の手前にある元湯の露天風呂で登山の汗を流しましょう。この露天風呂は脱衣所はおろか、仕切りも何もなくただ混浴の湯舟が一つあるだけで、橋を渡る登山者からは丸見えですが、私の訪問時は、噴泉塔へ向かう際に1組、戻ってきてからも別の1組、それぞれカップルが入浴中でしたので、山奥の開放的な環境が羞恥心を吹き飛ばしてくれるのかもしれませんね。尤も足湯だけで済ませる方も多いようです。
かなり大きな露天風呂ですね。谷の方へ視界も開けており、眺望もまずまずです。
画像には写っていませんが、お風呂の脇にはデッキブラシが置かれており、定期的な清掃が実施されているそうでして、山の中の露天とは思えないほど綺麗な状態が保たれていました。また有難いことに桶なども用意されています。
先程の源泉から引かれてきたアッツアツの温泉が、岩組みの下から突き出た塩ビ管から注がれているのですが、山奥にある常時無人の露天風呂ですから、湯加減の調整なんて行われているわけもなく、大抵の場合は入浴前に湯加減の調整を行う必要があります。私の利用時には、ちょっと前まで他の客が入浴していたので、極端に熱い状態ではなかったのですが、それでも47℃はあってかなり熱い湯加減でしたので…
バルブ付きのホースから沢水を投入してジャンジャン加水したところ、あっという間に42度まで下がりました。これで心おきなく湯浴みできますね。
ということで入浴です。極楽この上ありません、最高です。お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、微かに砂消しゴム的な硫黄的味覚や臭覚を帯びていたように感じられました。浴感としてはアッサリ&サッパリとしたもので、癖の無い爽快なお湯でした。
山の紅葉に抱かれながら、気持ち良さのために時間を忘れてのんびり入浴していたら、いつの間にか1時間以上も入り続けてしまい、気づけば時計の針は夕方4時を過ぎていました。秋の日は釣瓶落としといいますから、早めにここを出発しないと真っ暗になっちゃいますから、本当はもう少し入っていたかったのですが、後ろ髪をひかれる思いでこの露天風呂を後にしました。
前々回の記事でも取り上げましたが、元湯の避難小屋&トイレはかなり立派な造りです。その小屋の基礎部分に立てかけてある自転車を取り戻して、出発地点へと戻ることにしましょう。
自転車で砂利の林道を疾走。下り一辺倒なので楽チンです。
途中で山の紅葉を眺めながら…
出発地点であるゲート(駐車場)に到着です。さすが自転車は早い。徒歩なら40分から1時間弱は要するところを、わずか15分で走破してしまいました。
さて日暮れ前に無事戻れましたので、明るいうちにもう一軒露天風呂へ行きましょう。
次回はこのゲート(駐車場)目の前にある新岩間温泉「山崎旅館」で宿泊したときのレポートです。
温泉分析表なし
石川県白山市尾添 地図
利用に関する時間制限は特にありませんが、なにも無い山奥ですから日中の利用が良いでしょう。
無料
私の好み:★★★
(余談)
実はこの露天風呂に入る前、ちょっとした事件に遭遇してしたため、帰る時間が遅くなってしまいました。その事件とは登山者の転落事故です。私が噴泉塔から元湯へと戻ってきたとき、下の方から血相を変えて高齢の登山者の一団が上がってくるではありませんか。一団は私を見るや否や「遭難者がいるから助けてほしい」と声をかけてきました。さっき私が通り過ぎてきた登山道で高齢の登山者が転落してしまったんだそうです。私も急遽来た道を引き返して捜索に加わったところ、登山道口から数百メートル進んだ、道が小さな沢を越す地点で、沢の下方20メートル付近に横たわるお爺さんを発見。偶然にも元湯付近で工事関係者がいたため、その関係者にまず連絡し、更には新岩間温泉の山崎旅館のスタッフが現場へ駆けつけ、石川県の消防にレスキューを要請。たまたまこの日は晴天で無風状態だったためか、要請から30分程度で救助隊のヘリがやってきて、レスキュー隊の手によってそのお爺さんは無事にヘリコプターへ収容され、病院へと搬送されて行きました。画像はヘリにお爺さんが収容されている様子、そしてその事故を報じる翌日の「北國新聞」の記事です。この事故で76歳のお爺さんは両脚を骨折してしまったものの、命には別条がなく、最悪の事態は回避することができたのですが、その要因としては、たまたま紅葉の季節だったので他に登山者がいて発見がしやすかったこと、付近で工事していたため連絡が取りやすかったこと、快晴で無風状態だったためにヘリが山肌ギリギリまで接近しながらホバリングできたこと、そして何よりも重要なのが、尖った石がゴロゴロしている沢へ20メートルも転落したにもかかわらずヘルメットを被っていたので頭へのダメージが大幅に軽減できたことが挙げられます。大したことの無い登山道における転落事故ですが、ヘルメットの有無がお爺さんの運命を大きく左右したわけです。ヘルメットってとっても大切なんですね。
今回の露天風呂は、お爺さんの無事を確認した後での入浴だったため、「無事に意識のある状態でレスキューに助けてもらった」という安心安堵の心情が、余計に湯あみの爽快さを高めてくれたのでした。
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