温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

玉川温泉 2013年9月再訪

2013年12月01日 | 山梨県

甲府盆地の温泉は「モール」「ぬるめ」「アワアワ」という私好みの要素を兼ね備えているところが多いのですが、その中でも私のハートを掴んで離さないのが、旧竜王町(現甲斐市)南部にあるこぢんまりした民営の公衆浴場「玉川温泉」です。拙ブログでは以前に取り上げておりまして(その前回記事はこちら)、その後も何度か訪れております。
住宅地の縁辺の、舗装されたあぜ道の先にあるわかりにくいロケーションなのですが、見つけにくさを克服したいのか、いつの間にやら田んぼの中には「滝のように流れるかけながし」と書かれた案内看板が立てられていました。この「滝のように流れる」という表現は、まさに言い得て妙、玉川温泉の特徴を一言で良く言い表しています。


 
訪問した日はちょうど周囲の田んぼで稲刈りが終わったばかり。田んぼの彼方に聳える南アルプスの稜線は雲の中に隠れていました。今日も愛想の良いおばちゃんに料金を支払い、館内へお邪魔します。


 
浴室の様子は前回記事と変わりありませんので、詳細な説明は省きますが、室内には大小の浴槽がひとつずつ据えられ、洗い場にはシャワー付き混合水栓が4基設置されています。シャワーから出てくるお湯は源泉です。この2枚の画像に写っている設備が玉川温泉の全てであります。温泉らしい風情の無い、実用本位且つこぢんまりとしたお風呂ですね。


 
主浴槽は7~8人サイズで、縁は石材、槽内はタイル貼りです。コップの置かれた湯口からは、田んぼの中の看板に記されていたように「滝のように」ドバドバと大量の源泉が注がれており、滝壺に当たる湯口直下では盛んに泡立っていて、投入量の多さゆえに浴槽内では流れが発生しています。いつ見てもこの様は圧巻です。



手前側の小さな浴槽は主槽の半分ほどの大きさで、2本のジェットバスがけたたましく稼働しています。単なるジェットバスなのですが、夥しい気泡によってお湯がシルキーホワイトに濁っており、この湯船から上がるときには、気泡がプチプチと弾ける感覚が肌に感じられました。
こちらでは湯口ではなく槽内にてお湯が供給されています。浴槽の小ささが影響しているのか、投入されているお湯は主浴槽と同じなのですが、湯加減は主浴槽より若干高めだったように思われました。なお、館内表示によれば小浴槽では一部循環されているとのことですが、これはあくまでジェットバスのため循環させているということだろうと思われ、実際にステップ(切り欠け)からは大量のお湯が惜しげも無く溢れ出ていました。


 
玉川温泉最大の特徴は、浴室の床を流れる川の如き怒涛のオーバーフローであります。上の2枚の画像では、両浴槽からお湯が溢れ出る様子を双方向から撮ってみたのですが、いずれも洗い場の床タイルが波打っている様子が見て取れます。浴室全体が湯の川状態となって、看板に書かれているように「滝のように流れ」ており、その様子は、泉質こそ違いますが、青森県の古遠部温泉を彷彿とさせます。東北人なら本能的にトドになってしまいそうですが、甲州にはそのような入浴文化が無く、そもそも床のスペースが広くないため、この浴場で床に横になっている人を私は見かけたことがありません。
大小両浴槽からお湯がジャブジャブ溢れ出ており、一見すると小浴槽の方がオーバーフロー量が多いように見えますが、これはお湯が溢れ出る小浴槽の切り欠け(ステップ)の幅が主浴槽の半分だからであって、実際のオーバーフロー量は双方ともほぼ同等かと思われます。



更に床へ接近させて撮ってみました。床が川と化している様子がよくお分かりいただけるかと思います。
お湯は淡い山吹色の透明で、きめ細かく夥しい量の気泡によって軽く白濁しています。コップで飲泉してみると、はっきりとした金気味と金気臭、重曹味、そしてモール臭が感じられます。重曹のツルスベ感と気泡のフワフワ感というダブル効果によって非常になめらかで軽やかな浴感が楽しめ、しかも大量投入の完全かけ流しですからお湯の鮮度感は抜群、湯上がりの爽快感も極上です。甲府盆地の温泉銭湯はどこも甲乙つけがたいほど高レベルな施設ばかりですが、源泉投入量やお湯の鮮度においてはこの玉川温泉が随一ではないでしょうか。
ただ、界隈の同業他浴場と比べると明らかに小規模であり、設備面も心細く、駐車場の台数も少なく、それでいて料金は界隈の他浴場と同値でありますから、いつ訪れてもお客さんの姿が少ないことが、玉川温泉ファンの一人としては気がかりであります。番台のおばちゃんはとても温かい人柄ですし、お湯は文句のつけようがない絶品ですから、今後とも機会を見つけて利用を繰り返し、この素晴らしき温泉を支えていけたら、と思っています。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 40.5℃ pH8.1 119L/min(動力揚湯) 溶存物質1182mg/kg 成分総計1216mg/kg
Na+:272.2mg(78.88mval%), Mg++:20.5mg(11.26mval%), Ca++:23.6mg(7.86mval%),
Cl-:275.2mg(49.55mval%), Br-:0.8mg, HCO3-:480.4mg(50.26mval%),
H2SiO3:93.5mg, CO2:33.4mg,
(平成24年10月30日)

JR中央本線・竜王駅より甲斐市民バス「敷島営業所~山梨大学医学部附属病院線」(月~金運行)で「玉川団地西」バス停下車、徒歩4~5分(400m)
山梨県甲斐市玉川1038  地図
055-276-5151

9:00~21:00 月曜定休
500円
ロッカーあり

私の好み:★★★

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5 コメント

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Unknown (ぱと)
2013-12-02 01:25:17
今週末、名古屋に車の買い付けに行った帰り、山梨廻りで帰る予定なので今年最後の温泉を楽しもうと考えてます!身体が治るまで来年は予定が滅茶苦茶です(涙)
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Unknown (あんちゃん)
2013-12-02 22:18:22
 こんばんは。ここのところ仕事が多忙で疲弊気味です。温泉へ行く余裕もありません。
 玉川温泉へは2度行きました。私も大好きな温泉施設です。2度目に行ったときは、この家の子なのか、小学生ぐらいの子が受付で「いらっしゃいませ」と言っていました。またそのうちに行きたいです。
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Unknown (K-I)
2013-12-02 23:58:38
ぱとさん、こんばんは。
お体の具合はいかがですか。名古屋へお出かけとのことですが、くれぐれもお気をつけてください。山梨のぬるい温泉にゆっくり浸かって、リラックスなさってくださいね。体調が万全になるまでは、思うままに湯めぐりできないのがツライですね。温泉巡りは体力勝負ですから…。

あんちゃんさん、こんばんは。
師走に入ってこちらも忙しくなってまいりました。忙しくても見返りが少ないのが悲しいところです…。余程効率の悪い仕事なのかと、反省してみるのですが…。
私もどこかの温泉で、子供が店番している場面に出くわしたことがあります。とってもほのぼのしてしまいますよね。甲府盆地の温泉銭湯の中でも玉川温泉はアットホームな雰囲気があって、私も好きです。
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Unknown (ぱと)
2013-12-10 03:07:29
名古屋の帰り道に、今年最後の締めで玉川温泉に寄って来ました!日曜日だった事も有り、お客さんが途切れる事は無かった感じでした、入浴後に奥様と暫く談笑しましたが、施設の老朽化と後継者が居なく自分達も高齢に成って来たので施設の閉鎖を考えてると…、お湯も素晴らしいですが、奥様も素敵な方ですね!1日でも長く営業して頂きたい施設だと再度実感致しました!
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Unknown (K-I)
2013-12-11 00:17:36
ぱとさん、こんばんは。名古屋へのお出かけ、お疲れ様でした。週末の玉川温泉はお客さんで賑わっていたようで、私もホッとしました。
老朽化と後継者不足は、全国の多くの温泉が抱える深刻な問題ですよね。玉川温泉はお湯も人も良いので、ぱとさんがおっしゃるように是非永く営業を続けていただきたいものですが、最近一旦閉じていますから、私としてもこの先どうなるのか心配です。
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