つい先日、箱根の玄関口としての役割を担う箱根登山鉄道の箱根湯本駅がリニューアルされましたが、その駅のちょうど真裏に、寂れた温泉地の古びたストリップ小屋を髣髴とさせる、色が飛んでくすんだ原色の電飾看板が目印の温泉施設があります。
箱根湯本駅の真上という絶好の場所に位置しているのですが、上述のような外観といい、駅裏という立地といい、古色蒼然とした安直な名前といい、いろんな意味であまり期待は持てそうにありません。
実際に入ってみても、お世辞にも褒められたもんじゃない古めかしい建物からは、あちらこちらからギシギシと今にも壊れそうな心細い軋みが狂想曲のように音を立て、浴室へ至るまでに通る廊下の壁紙や床の様子からはこの施設の老朽劣化を十分すぎるほど窺い知れるのですが、お湯の質はそんな外観や内装からもたらされるイメージを大きく覆すものでびっくりします。
入るのを躊躇いたくなる入口
浴槽は大と小のふたつあるのですが、私の訪問時には小はアクリルの蓋が被せられて閉鎖中で、大のみの入浴となりました。駅前の民間入浴施設にもかかわらず、お湯は消毒されることなく掛け流しでちゃんとオーバーフローしており、こうした湯使いは評価するに値します。岩でできた浴槽の底に近いところから供給されるお湯は無色透明で、手で掬うと湯面からは微かに石膏の匂いが、口に含むと薄っすらと石膏の味が感じられます。お湯の波や湯面から突き出した指先がキラキラと青白く反射する、硫酸塩泉によく見られる特徴もちゃんと出ています。また石膏泉ならではのスベスベ感とキシキシ感が共存とした浴感もしっかり得られ、湯上りも温もりがよく持続し、お肌も表面サラサラ内部シットリで実に爽快です。薄いものの石膏の特徴がよく出ているという点で、群馬県北部の水上温泉や湯宿温泉に近い泉質といえるでしょう。
ここは硫酸塩泉の良さが理解できる人のみお湯を楽しむことができるお風呂だと思います。単なる無色透明のお湯にしか感じられない人にとっては、立地に胡坐をかいたボロいお風呂としか映らないかもしれません。温泉を楽しむには場数も大切なのですね。
閉鎖中の小浴槽
ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(湯本第83・98号混合)
54.7℃ pH8.64 成分総計1.010g/kg
箱根登山鉄道・箱根湯本駅 徒歩2分程
神奈川県足柄下郡箱根町湯本777 地図
0460-85-6121
ホームページ
(HTML習いたてのようなページです)
10:00~22:00 無休
750円
ドライヤーあり
私の好み:★★
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