温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

虎杖浜温泉 山海荘

2012年04月01日 | 北海道

前回に引き続き、今回も虎杖浜温泉の竹浦地区にある浴場を訪問した際のレポートです。前回取り上げた「若湯温泉」は道路沿いに大きな看板が目立っているので、どなたでも迷うことなく辿りつけますが、今回の「山海荘」は同じ道路沿いに小さな料金表の掲示と名前の札が立つばかりで、とっても控えめなアピールしかしていませんので、気を付けていないとうっかり見逃してしまうかもしれません。もっとも、看板の裏手に広がる敷地内には広い駐車場スペースが確保されているので、ここが単なる民家ではないことは容易に想像できますが…。


 
建物には施設名が掲示されておらず、駐車場の片隅に立つポールにちょこんと「山海荘」と記されたサインがくくりつけられているだけです。あまりに自己主張が低調なので、ちゃんと営業しているのだろうかという不安が頭をよぎりました。でも駐車場には車が皆無。おそらく先客ゼロの状態なのでしょう。営業しているのならばお風呂を独占できるぞ! そんな期待に胸を膨らませながら、玄関を訪いました。


 
玄関から帳場の前へと上がると、そこは昭和40年代から時が止まっているかのような鄙びた雰囲気が漂っていました。床に敷かれた目にも鮮やかなコバルトブルーのカーペットがとっても印象的です。ガラス張りの帳場からは日本髪を結った割烹着姿のお婆さんが現れ、入浴をお願いして料金を支払うと、お婆さんは10枚集めると1回分の入浴が無料となるサービス券を手渡してくれました。帳場ではシャンプーやナイロンのあかすりタオルなどを販売していましたが、いずれも他ではなかなかお目にかかれないような懐かしい品揃えです。一体何年前にこれらを仕入れたのでしょう。


 
こちらでは男女別の内湯と家族風呂(個室風呂)を利用できますが、今回は他にお客さんがいないこともあり、個室でなくとも独占状態を楽しめそうな内湯を選びました。
脱衣室は棚があるだけのシンプルな造りですが、訪問時は偶々だったのか、換気状態が宜しくなく、室内にはカビの臭いと湿気が籠ってジメジメしていました。


 
浴室のつくりもシンプルでタイル貼りの浴槽がふたつあるばかりですが、浴槽の縁が曲線を描く意匠に設計者の小粋なセンスが感じられます。窓に面しており、外の光がしっかり室内へ降り注ぐので、昼間ならば照明を点灯させる必要なないでしょう。なお洗い場には古典的な押しバネ式のカランが2組設けられていました。


 
床も浴槽も古い円形のタイル貼り。浴槽は大小に分かれており、右側の小さな方は2人サイズでやや熱めの湯加減、左側は3~4人サイズで一般的な41~2℃の湯加減になっています。源泉は両浴槽の側面の底部近くにあけられた穴から供給されており、たまにポコポコと泡を上げていました。また、小さな浴槽が洗い場の床と接している部分の縁は湯面より若干高くなっているため、ここからお湯がオーバーフローすることはなく、小浴槽のお湯はすべて大きな浴槽へと流れ込み、大きな浴槽のお湯と一緒に洗い場へと溢れ出るようになっていました。お湯は無色透明無味無臭、癖の無い優しいお湯で、しっとりと肌に馴染む柔らかいフィーリングが心地よく、これといった特徴はないにもかかわらず、このお湯の感触が気に入ってしまいました。鄙びた施設で優しいお湯に出会えると、私は思わずニンマリしてしまうのですが、ここはその好例。入浴中は終始頬の筋肉が緩みっぱなしでした。鄙び好きの御仁にはおすすめ。


単純温泉 48.3℃ pH8.4 湧出量不明(自噴・540mボーリング) 溶存物質690.1155mg 成分総計691.9855mg 
Na+:158mg(76.26mval%), Al+++:13.6mg(16.79mval%),
Cl-:188mg(58.93mval%), HCO3-:158mg(28.80mval%),
遊離H2S:1.87mg
(昭和44年12月24日)

北海道白老郡白老町竹浦151  地図
0144-87-2257

8:00~19:00
200円(家族風呂600円)
備品類なし(販売あり)

私の好み:★★




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