温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯檜曽温泉 林屋旅館

2010年12月29日 | 群馬県

湯檜曽では珍しく掛け流しのお湯が堪能できると聞いたので、谷川岳登山の帰路、汗を流すべく立ち寄りました。大正12年に開業し、与謝野鉄幹・晶子夫妻も投宿した老舗なんだそうです。清水街道に面した小規模な建物で、注意していないと見逃しそう。

 
主張の少ない地味な外観とは裏腹に、中へ入るとなかなか立派な玄関ではありませんか。さすがは老舗、風格を感じさせてくれます。訪問時は愛想の良い老夫婦が対応してくださり、日帰り入浴を乞うと、玄関の左前方にある浴室へと案内されました。


当宿の浴室は、大浴場と小浴場の2つがあって、大浴場は主に男湯として使用されているようです。今回入ったのも大浴場。脱衣所は広くないものの、とても清潔で綺麗に手入れされています。

 
浴室内は湯檜曽川に面した明るいタイル貼りで、とくに目を惹くのがアーチ形の天井。戦前に流行ったモダンなデザインの典型のような、モザイク模様のタイルが貼られています。個人的な印象ですが、ブダペストのゲッレールトを髣髴とさせてくれます。また壁面に描かれたスキージャンプのタイル絵も秀逸です。


カラン(混合栓)は6基設けられ、うち4基がシャワー付き。L字形の浴槽は長い歴史の中で何回かに亘って補修を繰り返してきたのでしょう、底のタイルがモザイク状だったり、市松模様だったりと、いろんなタイルが混在しています。しかし川に近い部分だけ、深さが数センチ浅くなっており、底のタイルがライトグリーンに統一され、窓の外から入ってくる日の光が底のタイルに反射して、とっても綺麗に映えていました。


窓を開けると、すぐ目の前を湯檜曽川が流れており、対岸には黒いホースが渡されていました。引湯用かと思われます。源泉が対岸にあるのでしょう。


自家源泉を含む3つの源泉を混合したお湯は、季節に依るのかもしれませんが、ちょっと熱め。無色無味で綺麗に澄み切っており、薄っすら芒硝っぽさが感じられますが、身を沈めると滑らかに全体を包んでくれる、弱スベスベ感でクセの少ないとても優しいお湯です。竹筒を被せられた湯口からドバドバ源泉が投入され、浴槽の縁から見事なまでにオーバーフロー。

基本的には宿泊者に入浴してもらうためのお湯なので、突然訪問してもお湯が溜まっていないこともあるようです。私の訪問時(午後3時頃)も、宿の方が「あれ? もうお湯溜まってるかなぁ?」とお湯の張り具合を確認しに行ったほどなので、確実に入浴したい場合は事前に問い合わせるのが吉でしょう。料金がちょっと高めで露天風呂が無いなど、ちょっと気になる点はあるものの、循環湯の多い湯檜曽にあっては珍しく加水加温循環消毒が一切無いので、お湯の鮮度や清らかさを重視する温泉ファンにとっては実にありがたい宿だと思います。


 
(右画像はクリックで拡大)
なお林屋旅館の並びに建つ湯檜曽会館には、地元民専用の共同浴場があります。どんなお風呂なのか入ってみたいなぁ。

 
また更に土合側には足湯も設けられています(要寸志)。ただ、この道を皆さんはその存在に気づかず通り過ぎてしまうことが多いようで、この時も観光シーズンだというのに人影なし。もったいないなぁ。




林屋の湯
単純温泉 41.4℃ pH7.9 蒸発残留物0.35g/kg 成分総計0.36g/kg

音松の湯・薬師の湯 混合泉
アルカリ性単純温泉 47.2℃ pH8.2 蒸発残留物0.380g/kg 成分総計0.38g/kg

JR上越線・湯檜曽駅より徒歩5分(630m)
群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽124  地図
国道の反対側の土合寄りに駐車場あり

0278-72-3508
ホームページ
日帰り入浴10:00~16:00?
800円

私の好み:★★★

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