温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

板留温泉 民宿はせ川

2014年12月02日 | 青森県
 
青森県で営業している温泉宿の多くは日帰り入浴を受け付けており、私のような旅人でも宿泊せず気軽に汗を流すことができますが、温泉地全体としてそのハードルが高いのが黒石温泉郷のひとつに含まれる板留温泉であり、事前に連絡しないと入浴できなかったり、日帰り入浴自体を受け入れなかったりする場面に遭遇しやすいんだとか。そんな中、拙ブログでは以前に「丹羽旅館」で日帰り入浴しておりますが、今回はその2軒隣に並んでいる「民宿はせ川」でも日帰り入浴させていただきました。事前に調べておいた情報によれば、こちらのお宿は「丹羽旅館」と並んで日帰り入浴しやすいそうなので、ダメで元々でアポ無し訪問をし、玄関で声をかけて入浴をお願いしますと、奥のお座敷から爺様が出てきて、快く対応してくださいました。


 
玄関や帳場があるホールから左手へ伸びる廊下を進んだ右手に男女別の浴室が隣同士に並んでおり、今回は奥側の女湯へ案内されました。両浴室はシンメトリな構造となっているのですが、閑散期には片方の浴槽を空っぽにしてしまうらしく、それゆえ私は男であっても女湯を使うことになったわけです。
小規模の民宿らしく、脱衣室はかなりコンパクトで、棚に籠が置かれるばかりの、至ってシンプルなレイアウトです。複数人で同時に着替えるとかなり窮屈に感じるかもしれません。私が入室しようとすると、お宿の方が室内に備え付けられていた空気洗浄機を運転させました。あくまで私の邪推ですが、密閉空間なので室内の空気感を気にするお客さんがいらっしゃることが予想され、お宿ではその点を配慮なさってるのでしょう。



浴室も小ぶりで、一般家庭の内風呂を一回り大きくさせた程度の広さであり、浴槽がひとつにシャワーが1基設けられているだけですが、曲線を描く浴槽縁が、旅人を泊めるお宿としての非日常感を演出してるようでした。室内に足を踏み入れた瞬間、ふわっと甘い石膏の匂いが香ってきました。


 
洗い場に取り付けられているカランを開けると、シャワーからはとっても熱い温泉のお湯が出てきました。


 
浴槽は2~3人サイズで、台形を軽く潰したような形状をしているのですが、室内の他の部位(床や壁など)がタイル貼りであるのに対し、お風呂の主役であるこの浴槽だけは人研ぎ仕上げとなっており、昭和の香りを漂わせつつ存在感を主張していました。

入室前にお宿の方から「熱かったら(水で)うめて下さい」とのアナウンスを受けたのですが、そんなに熱いのかしらと、入浴前に念のため湯船を温度計で計ったところ、45.0℃という数値が表示されました。熱いお風呂が苦手な方でしたら躊躇してしまう温度ですが、各地の熱い温泉を巡るうちに高温のお風呂にも慣れてしまった私は、この程度でしたら加水なしでも入れますので、この時はそのままの状態で湯浴みさせていただくことに。後述するようにお湯の投入口では50℃以上あるのですが、加水せず投入量の調整と自然冷却だけで、このように入浴可能な温度にまで下がってくれるのですから、混じりっけ無い状態でお湯に浸かりたい私としては、この上なく有り難いコンディションであります。


 

浴槽のお湯は上画像の水栓より投入されています。水栓の口には硫酸塩の白い析出がこびりついていました。温泉の成分をビジュアル的に伝えてくれるこうした析出に出会えると、一介の温泉好きとしては嬉しいものです。この吐出口での温度は52.5℃というかなりの熱さ。なおこの湯口と同じ配管がシャワーにも分岐されていますので、シャワから出てくるお湯もほぼ同じ熱さです。
お湯は無色澄明、芒硝味と甘みを伴う石膏味が伝わってくる他、表現の難しい多様な味や香りも含まれているように感じられました。湯船に体を沈めると、ピリッとくる心地良い熱さと、抜群な鮮度感が気持よく、それとともに全身を優しく包んでくれるようなトロミもあり、滋味深くて奥行きのあるお湯を堪能することができました。

なお分析表によれば、知覚に関して「微硫化水素臭」と表記されているのですが、データとして総硫黄はゼロですし、私もこのお湯からは硫黄感を確認することはできませんでした。もしかしたら源泉の湧出時点では、硫黄感があるのかもしれませんね。
見た目こそ無色透明でアッサリしていそうなお湯ですが、そこに秘めたるパワーは強力で、お風呂から上がった後は、まるで体内に熱源が埋め込まれたかのように、長時間に亘って汗の噴き出しが止まりませんでした。ひっそりとした渋い佇まいで、実力派のお湯と向き合える、いぶし銀のお風呂でした。


板留3号源泉(代替泉)
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 60.6℃ pH7.39 438L/min(動力揚湯) 溶存物質1.861g/kg 成分総計1.871g/kg
Na+:238.1mg(42.58mval%), Ca++:265.4mg(54.42mval%),
Cl-:176.5mg(20.39mval%), Br-:0.4mg, SO4--:873.6mg(74.49mval%), HCO3-:71.1mg(4.79mval%),
H2SiO3:102.4mg,

弘南鉄道黒石駅より弘南バスの大川原行もしくは温川行で「板留」下車すぐ
青森県黒石市板留宮下21  地図
0172-54-8223

日帰り入浴受付時間不明
300円
シャンプー類あり

私の好み:★★★

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2 コメント

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Unknown (プンタ)
2014-12-03 19:11:59
津軽の温泉を行き尽くした~行き詰った!?
頃に訪問するタイプの温泉だと認識してます(笑

ここは二人でも狭く感じたので、次は一人でのんびりと利用したいです。(^^)
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プンタさん (K-I)
2014-12-04 14:37:13
>津軽の温泉を行き尽くした~行き詰った!?頃に訪問するタイプ
あれれ? 私がこちらへ訪れた動機は、お見通しでしたか? まだ行き尽くしてはいませんけど、そろそろ行き詰まりそうなので、最近は玉砕を恐れて敬遠していた箇所にも行くようにしています。でも個人的には、このお湯はかなり気に入りましたよ♪
  
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