温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯免温泉 湯免観光ホテル 公衆浴場うさぎの湯

2017年06月19日 | 山口県
 
山口県の仙崎や長門市から東萩へ至る路線バスに乗ると、途中で湯免温泉を通過します。昨年(2016年)初秋の某日、そのバスに乗っていた私は湯免で途中下車して、ちょっと立ち寄り入浴してみました。湯免温泉で日帰り入浴できる施設は、「湯免ふれあいセンター」と「湯免観光ホテル」の付属施設である「公衆浴場うさぎの湯」の2つなのですが、私が訪れた日は前者が定休日であったため、後者を訪れることにしました。いや、前者の営業日であっても私は後者を選択していたはずなのですが、その理由は後ほど。
ロータリー状になっている湯免のバス停の目の前に「湯免観光ホテル」が威風堂々と建っているのですが…


 
目指す公衆浴場はその右側に隣接しており、ちゃんと看板が立っていますので、それが指し示すほうへ進むとすぐに到着です。幅の広い観光ホテルとは対照的な、公衆浴場の建物は鄙びた質素な佇まいに、思わず「本当にここで良いのか」と躊躇ってしまいました。


 
まるで勝手口のような玄関を入ると右手に番台があるので、そこで湯銭を直接支払います。由来書きによれば、湯免という名前は、弘法大師が当地で温泉が湧き出ているという夢を見て、そのお告げを受けた人々が探してみたら本当に出で湯が見つかった、そこで夢(ゆめ)の温泉が転じて湯免温泉となったんだとか。


 
番台から廊下を先に進むと、本館からの通路と合流し、間もなく小さなホールに行き当たります。ホールには男女各浴場の暖簾がかかっている他、いくつかの腰掛けや飲料の自販機が設置されており、湯上がりにちょっと休憩できるようになっていました。またこの公衆浴場には男女別のお風呂の他に貸切の露天風呂(1,620円/50分)もあり、その暖簾も掛かっていました。なお今回私は男湯のみの利用です。


 
浴室は公衆浴場らしくタイル張りで実用的ですが、2方向に窓ガラスが採用されているためにとても明るく、また浴槽を部屋に対して斜めに設えているため、客が温泉に求めたくなる非日常的な雰囲気がしっかりと演出されていました。特に私が訪問した時には、窓が全開になっていたため、まるで露天風呂のような開放感も楽しむことができました。でも浴場名になっている「うさぎ」の要素はどこにも見られず、なぜ「うさぎの湯」なのか、その理由はわからず仕舞いでした。
公衆浴場には洗い場が欠かせませんよね。室内にはシャワー付きカランが4基並んでおり、一つ一つの間隔がゆとりを持って取り付けられているため、隣のお客さんとの干渉を気にせず利用することができるかと思います。その代わり備え付けられているのは石鹸しかないため、シャンプーなどは持参するか、番台で購入する必要があります。


 
浴槽は2.5m四方の正方形で10人強サイズ。黒御影石で縁取られ、底面にはグレー濃淡のモザイク模様があしらわれています。浴槽は上述のように壁に対して斜めに設置されており、その姿はまるで(トランプの)ダイヤのエースのようです。
公式サイトや屋外に立つ幟などでは、こちらのお湯が掛け流しであることを謳っています。館内表示によれば加温されているものの、循環などを行わない放流式の湯使いを採用しているらしく、実際に御影石の湯口より浴槽へ注がれたお湯は、黒御影の縁の上から溢れ出ていました。浴槽底面には目皿が埋め込まれていましたが、その穴からお湯の吸引が行われているかは不明(手を当ててみましたが、吸われているような力は感じられませんでした)。浴槽内の構造や見た目の状況から推測するに、掛け流しであることに間違いないでしょう。なお当記事の冒頭で、私はたとえ「湯免ふれあいセンター」が営業日であっても、この「うさぎの湯」を選んだはずと申し上げましたが、その理由は、こちらのお風呂が掛け流しであることがわかっていたからです(ふれあいセンターは循環消毒あり)。

お湯は無色透明、湯中では白い湯の花らしいものがチラホラと浮遊しています。湯口のお湯を口に含んでみてもほぼ無味無臭なのですが、よく味わうとアルカリ性泉らしい微収斂が頬の粘膜に伝わりました。湯船に体を沈めると全身にトロミを伴うツルスベ浴感が得られます。
なお湯加減は体感で41℃ほど。程よい湯加減とヌルツルスベの滑らかな浴感が相まって、ウサギというよりカメのようなゆったりとしたペースで、いつまでも長湯したくなりました。内湯のみの地味なお風呂ですが、なかなか良いお湯なので、当地を訪れたら一浴の価値ありです。


 
「湯免観光ホテル」の斜め前には「湯免住吉社」と題された看板が立っていました。その名前からもわかるように、住吉神社の分祀であるようです。看板の説明によれば、住吉社は大正6年創建という比較的新しい神社であり、温泉泉源の守護神として祀られたんだとか。つまりこの場所が湯免温泉の源泉なのですね。


 
住吉社の脇には巨大な貯湯タンクが設置されていました。源泉で湧いたお湯をこのタンクでストックし、それから「湯免観光ホテル」や「うさぎの湯」、そして「ふれあいセンター」へ分けられているのですね。


湯免温泉配湯施設2・3・4・5号混合泉
アルカリ性単純温泉 29.4℃ pH9.06 溶存物質0.233g/kg 成分総計0.233g/kg
Na+:60.42mg/kg,
F-:8.50mg, Cl-:37.76mg, CO3--:25.53mg, HS-:1.36mg, OH-:0.2mg,
H2SiO3:63.67mg,
(平成17年2月2日)
加温あり(源泉温度が低いので入浴に適した温度に保つため)

仙崎駅や長門市駅から萩バスセンターや東萩駅を結ぶ防長バスで「湯免温泉」下車すぐ
山口県長門市三隅中272  地図
0837-43-2000
ホームページ(湯免観光ホテル)

平日11:00〜20:00(受付終了19:30)、土日祝日10:00〜20:00(受付終了19:30)
350円(観光ホテルの宿泊客は無料で利用可)
ロッカー(100円有料)・石鹸・ドライヤーあり、タオルやシャンプー類など販売あり

私の好み:★★

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 川棚温泉 ぴーすふる青竜泉 | トップ | 湯田温泉 亀乃湯および温泉舎 »

コメントを投稿