温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

千歳森温泉 紅葉の湯

2017年03月30日 | 青森県
 
長らくインドネシア・ジャワ島の温泉を連続して取り上げてまいりましたが、今回から日本の温泉に戻ります。まずは青森県十和田市の市街地にある「紅葉の湯」から。この施設はかつて「三本木ラドン温泉」という名称で営業していましたが、平成27年4月に現在の姿へとリニューアルしました。現代的なファサードを後から取って付けたことが明らかな外観を見ますと、旧来の建物をリノベーションしたことが一目瞭然です。私が訪問したのは昨年(2016年)7月の週末。しかも夕方という時間帯ゆえか、広い駐車場を埋め尽くすほど多くの車が停まっており、地元の方から根強い人気を集めていることがよくわかりました。

玄関から館内に入り、券売機で料金を支払って、美人なスタッフさんが立っているカウンターへその券を差し出します。リニューアルオープンからまだ間もないので、フローリングのロビーは明るく綺麗でしたが、入浴券は旧施設名が記されたままになっていました。

浴場内は混雑のため画像がございません。今回記事では文章のみで紹介させていただきます。なお内湯の様子を知りたい方は、公式サイトの「施設案内」をご覧ください。
脱衣室から浴場へ入ると、まず右手に上がり湯が設けられており、その先に多数のカランを擁する洗い場が広がっています。洗い場は、脱衣室側の壁に沿ってホース付きシャワーが付帯するカランが11基、そして浴室中央に固定式シャワーを付帯するカランが計28基設けられ、その28基は2つの島に分かれて配置されています。なお洗い場に設置されているカランは、青森県の銭湯では非常によく見られる、昔ながらの押しバネ式(いわゆる宝式)で、しかもピッカピカの新品。リニューアルしたばかりの施設だというのに、古典的なスタイルのカランにこだわるところは、いかにも青森県らしいところです。またカランから出てくるお湯が温泉であるという点も、これまた青森県の温泉銭湯ではよく見られますね。

洗い場の奥には、左からサウナ・水風呂(3人サイズ)・寝湯が並び、同じく洗い場の右手には(手前側から)低温風呂・中温風呂・高温風呂・電気風呂がL字形に配置されています。お湯が張られている浴槽には温泉が用いられており、各浴槽とも縁の上からお湯が溢れ出て、浴槽下のグレーチングへと排水されていました。循環しているような形跡は見られなかったので、いずれの浴槽においても放流式の湯使いが実施されているものと思われます。
数ある浴槽の中で最も大きいのは中温風呂。キャパは14〜5人ほどあり、湯加減は42℃ほどで、一部では泡風呂装置が稼働し、大きさ・湯加減・泡風呂という三拍子が揃っているためか、最も人気を集めていました。なお低温風呂は加水によって38℃前後となっていましたが、私の訪問時はお湯がかなり鈍っていました。混雑時だったため、いつも以上にお湯がくたびれていたのでしょうか。一方、高温風呂は44℃近い熱さがあり、おそらく非加水の源泉がそのまま投入されているものと推測されます。浴槽の大きさは(目測で)3m×2mの四角形で、そこそこの容量を有しているのですが、暑い夏に熱い風呂へ入ろうとする人は少ないためか、このとき、私以外の利用客はいませんでした。でも、後述する露天風呂を含め、お湯の良さ、とりわけ鮮度感はこの高温風呂が最も優れていました。



続いて露天風呂ゾーンへ。380円という銭湯料金で露天風呂にも入れちゃうんですから有難い。しかも東京や大阪の銭湯にあるような、猫の額のような空間を高い塀で囲った「無理矢理作りました」感が強いものではなく、広くて日本庭園風の誂えになっているのですから、大変結構ではありませんか。このお庭の一角には、施設名にもあるモミジが植わっていますので、秋になれば紅く染まって和の趣きをより一層高めてくれることでしょう。この露天風呂ゾーンには露天主浴槽のほか、「茶碗風呂」と称する所謂つぼ湯が2つ設けられています。



浴室の窓に面して据えられている露天主浴槽は、(目測で)1.8m×3.6mの長方形ですが、御影石の縁の角が取れて大きなRを描いており、小判を半分に割ったような形状になっていました。こちらも放流式の湯使いで、お湯の投入量も多く、体感で41〜2℃という適温に調整されていました。



2つある「茶碗風呂」に注がれているのももちろん温泉。ただ、供給量が然程多くないため、お客さんが入って一旦お湯があふれると、湯嵩の回復に時間がかかっていました。色つけされた模様を見る限り、茶碗というより小鉢や蕎麦猪口と表現した方がしっくりきますね。

さて肝心のお湯に関してですが、見た目は無色透明で湯の花などの浮遊物は見られません。「茶碗風呂」に限っては、お湯は仄かな褐色を帯びているように見えたのですが、これはおそらく器の側面の色が影響しているのでしょう。お湯を口に含んでみますと、ごく僅かにモール泉のような風味が得られ、ほんのりとしたビターテイストも舌に伝わってきましたが、実質的には無味無臭と言っても差し支えないほど味・匂いともにアッサリとしたものでした。
こちらの温泉では、湧出温度46℃の源泉を加水によって冷ましているためか、上述のように加水されていない(と思われる)高温風呂のお湯が最もコンディションが良く、露天主浴槽がそれに次いで良い状態でした。特にこの2浴槽に関しては、湯中で薄い泡つきが見られ、味や匂いなどの知覚的特徴も、弱いながらはっきりと現れていました。一方、どの浴槽においても湯中ではアルカリ性泉らしいツルスベ浴感が肌に伝わって来るのですが、面白いのは湯中よりも湯上がり後の方がツルスベが強く感じられること。お湯が肌に何らかの力を与えているのでしょうか。特にここのお湯は炭酸イオンやメタケイ酸が比較的多いので、それらが影響しているのかもしれません。
廉価なのに源泉かけ流しの温泉と広い露天風呂に入れるという、実にコストパフォーマンスに優れた温泉銭湯でした。


アルカリ性単純温泉 46.7℃ pH8.76 溶存物質0.536g/kg 成分総計0.536g/kg
Na+:130.0mg(97.41mval%),
Cl-:134.4mg(68.04mval%), Br-:0.3mg, HCO3-:35.7mg(10.59mval%), CO3--:26.7mg(15.98mval%),
H2SiO3:189.5mg,
(平成21年10月20日)

青森県十和田市三本木字千歳森391-4  地図
0176-24-1141
ホームページ

6:00〜22:00
380円
ロッカー(100円リターン式)・ドライヤー(有料10円/3分)あり、石鹸など番台で販売あり(備え付けなし)

私の好み:★★
コメント (3)
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