こんどの3月議会での一番の大成果は、「京都府と市町村の税務共同化に関する意見書」であると、私は思っています。
税務共同化というのは、府副知事(総務省出身)が、総務省へ帰ったときに自慢するため、超拙速に市町村に押し付けようとしているものです。
今市民税や固定資産税などは、市町村が責任をもって課税・徴収しています。
税務共同化では、府と市町村が「広域連合」をつくって、府税も市税もいっしょくたに課税・徴収するというのです。
この案が超拙速に昨年末示され、読むと重大な問題がいっぱい見られたので、今議会で質問をしました。
①個人情報、誰が責任持つの?
市民の個人情報、とくに課税情報というのは収入や勤務先、資産など、非常にデリケートです。 これを長岡京市は、役所内だけにあるシステムで厳重に管理してきました。
ところが、税務共同化になると、府内全域を同じシステムにしますから、今30人が扱っているシステムを、690人が扱う。それも府内至る所で。
そしてそれを扱う主体は、「広域連合」。府でもなく市でもない存在です。
もし個人情報漏れたり、システムダウンがあったら、誰が責任を負うのか。市長は「広域連合の問題ですわ。知りまへんわ」ではすみません。
②市民サービスが著しく低下
税務共同化の案では、「職員が3割削減できる」としています。 この中身を見ると、市町村の窓口には今合計532人職員がいるが、これを200人にするといいます。37%くらいになるわけです。
長岡京市では課税・収納課あわせて29人ですが、これがたった11人になる計算。
・・今年度、市民税の納税通知が届いて最初の5日間で870人の市民がつめかけました。市民税の申告は、毎年3千人くらいこられます。証明の発行は1万6千件です。
11人の職員で、対応できるわけありません。
税というのは、国民の義務である一方、常にその適正さや目的の妥当性、執行ぶりを国民に問われ、納得をいただく必要のあるものです。 例えば電気代のように「なんぼ使ったからなんぼ払って」というものではない。
京都府は、電気代と同じように考えているのではないか。市町村の税務、市民対応の細かさをナメているとしか言いようがありません。
③滞納即差し押さえの恐怖
税務共同化のデザイン案では、徴収も広域連合で行い、府税事務所ごとに統合しておこなうとなっています。
しかし長岡京市でも、税を分割納付されている市民が約950人おられます。こんどの市民税増税で、増えたそうです。
これらの人は、市役所との相談のなかで、分納を決めてがんばってもらってます。
税務共同化になれば、「分納できませんか?」と言ったら、「府税事務所に行ってください」にされるのでしょうか。
また、市役所が徴収することには、大きな意味があります。
市役所の職員である以上、その市民の生活に直接責任を負う存在だからです。
滞納している人の生活が大変なら、福祉部門とかとの連携も取らなければなりません。
また、市の他の料金との調整もあります。例えば「こんだけしか払えません」となれば、「じゃあ先に国保払ってもらいますわ。保険証なくなったらあかんし」ということもあります。
これが広域連合の仕事になると、広域連合職員は税金を取るだけが仕事ですから、取ったあと市民がどうなろうと関知しない立場です。
府は「徴収率を上げる」と言っていますが、いま分割納付などでがんばって納めてもらってるのを、府税のようにバシバシ差し押さえに切りかえていくと考えられます。
・・・こんな問題点がいっぱいあるのです。
市議会が全会一致で「拙速な対応をするな」という意見書を府にあげたことは、ホントにうれしいです。
これで市長も、知事に断りやすくなるでしょう。「市議会の意思なので・・」と。
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さて、私の先日の記事に対して、大畑京子氏から問いがありました。
「議員の議決権の長期不行使に対する苦言が市民から出たら、それは受けとめなくてはならないのではありませんかしら?」
その通りです。
市民の気持ちは、支持者かどうかに関わらず、受け止めなければならない。そう思っています。
ただ、私がその市民に直接言われたなら、「なるほど~」と相づちを打ったあとで、私は私の意見と、特別職報酬審議会の答申の内容をその方に言ったでしょう。
あと、「政党は私的集団だから、議員の政党活動は私的活動ではないか?」について。
そうかもしれません。「公的」と言ったら、国民の税金から政党助成金を受け取っている各政党と同様ですから。
ただし、私の議会活動は、政党活動によってその水準を支えられています。
つまり「私的活動」をいっぱいしている不良議員ではありますが、議会での発言の水準(数だけではなく内容も)は、政党活動をしていない「市民派議員」と比べて遜色ないものであるつもりです。
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