The Game is Afoot

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SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (3)

2017-02-22 |  ∟S4E1 : The Six Thatchers
『シャーロック』シーズン4:「六つのサッチャー」

以下ネタバレになりますのでご注意下さい。
あれこれ内容に触れながら 正典との繋がり、感想を書いていきたいと思います。

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・・・・・続きです。


221B に依頼人が訪れています。 その依頼人の外見から推理するシャーロック。

右手が大きい、日本人のガールフレンドと別れた(手の薄れかけたタトゥーから推理)この時のタ
トゥーは”Akako”(あかこ?)等々 → この辺は 正典”The Red- Headed League”「赤髪連盟」
の踏襲ですね。 それにしても ”あかこ”って(笑) ”あい子”とか”あき子”とか現実にある名前に
すると騒ぎになる(?)ので敢えてありそうもない名前にしたのか?← 好意的に解釈。

又依頼人キングスレイ氏が「頭が良い人だと思ったけど 説明して貰ったら簡単な事だったんで
すね」と言うとむっとするシャーロック →これはグラナダ版と同じでした。

そして、イラついたシャーロックが超早口でまくし立てる陰謀説。「・・・第三次世界大戦を引き起こ
そうとするモリアーティーの陰謀。 キングスレイ氏の妻がスウェーデン人で本名がGreta Bengsdotter
と言う一流のスパイで ある意味モリアーティーより凄腕だ・・・」 → このGreta Bengsdotterは何処
からの引用なのか分かりません。 ただ、この描写 はビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの
冒険」のイルゼを彷彿とさせますね。
因みに、Mr.Kingsley (キングスレイ)はマイケル・ケイン版シャーロック・ホームズ ”Without a Clue”
でワトソンを演じたBen Kingsleyからでしょうか?← 深読みしすぎ?


依頼人と話中、ジョンは風船を身代わりにしてハドソンさんと数独中でした(Sudokuとそのまま英語に
なっているんですね) それに気づいていなかったシャーロック。
(このシーン、個人的には意味不明に思えてしまう。 何を言いたかったんだろう?)

レストレードが又破壊されたサッチャー像の破片を持ってやって来ます。
前回とは別の像で少し血痕がある。

シャーロックは ”The game is on!” と呟き、顕微鏡で血痕を調べます。

ウェインズボロー議員の物とは別に、Mr. Mohamed HassanとDr. Barnicot のサッチャー像が破壊されて
いる事を聞いたジョンが、” idée fixe” (固定観念、強迫観念と言った意味)だと言いますが、これ
も正典「6つのナポレオン」でワトソンの云うセリフを踏襲しています。

その後、シャーロックは”トビーに”会いに行くと言います。
世界一のハッカーであるというクレイグの家を尋ねると 出てきたのは犬の”トビー”
(”トビー”は正典「4人の署名」でも活躍した犬ですので、ここも正典踏襲)

そしてそこにはロージーを抱いたメアリーが居たのですが、221Bを出る前にシャーロックがテクストを
送って呼び出していた。
何故?と思うのですが、シャーロックはメアリーは元殺し屋で優秀なスナイパーであるのでジョンより
役に立つのだと言うのですが・・・・(この展開も説得力を欠く様な気がしますね)
ジョンは拗ねて、「僕はどうしたら良い?」なんて聞くし、結局一緒に行くことになるのですが、
この時”It is too early for a divorce ?” (離婚するには早すぎるかな)なんてセリフがあり、これ
を含めあれやこれやを聞かされると この時点で既に別れていたマーティンとアマンダの事が重ねあ
わされてしまい何やら気が重くなる)

トビーに引っ張りまわされる何てことは無い1シーンの中で一か所気になったのが、明るい住宅街に
ピンクの花が咲いている木が写りだされているシーン。
これを見た時にグラナダ版の「6つのナポレオン」のシーンを思い出しました。
普段は割とダークなトーンである画面が多い中 珍しく明るい住宅街に同じくピンクの花が咲く木が
あったので記憶に残っていたのですが このシーンによく似ています(考え過ぎ?)

↑ 左がグラナダ版、右がBBC版 (分かりにくいですね・・・)


ジョンは通勤のバスの中で見知らぬ女性から秋波を送られていたのですが、後にこの女性から連絡先を
渡される事に。 で、この時のジョンの様子が(笑)思わず髪の毛に手をやり撫でつけ意識している。
正典でも「三大陸で女性遍歴が」と語られ、又BBC版でもメアリーの前に何人ものガールフレンドが
居たジョンは流石です(意味不明) 女性にはめっぽう弱いジョンの血が騒いじゃった。
この時のマーティンの表情が何とも言えないんですね。
散々迷った末に女性から渡された連絡先を書いたメモを捨てずに 結局テクストを送ってしまったジョン。
相手の女性は ”E”さん。
(よく見るとこの”E”さん、ジョンに最初に会った時既にメモを手にしている。
この出会いには何やら裏がありそうだし、”E”さんは今後の重要なポイントの伏線になっていますね)。

ロージーちゃんが生まれた時に額に小さな”666”があったと言うメアリーに、オーメンだエクソシストだ、
デーモンだアンティクリストだと違いに拘るジョン(どういう意味なんだろう)
この時も”E”さんからのテクストが入り、何度かやり取りをするジョン。たわいもない内容だけど・・・

スーパーハッカーであるクレイグの元を訪れたシャーロック。

クレイグが言う”Ostalgie” (”Ostalgie”とは東ドイツの存在した時代、および当時の事物への郷愁
の事←Wikipediaより)
サッチャーやスターリン、レーガンを例に出し、「サッチャーは今じゃナポレオンみたいだ」とさり気なく
”ナポレオン”を出していますね。


クレイグ君がハッキングして調べだしたのは サッチャー像を作ったのはトビリシのジョージアにある
「ゲルダー商会」という工場で サッチャー像は全部で6体あったとの事。
そして、売り先を探り出したクレイグ君によれば、
ウェインズボロー議員、 ハッサン、バーニコット医師、オリー・ハーカー(2個)、レディングのジャック・
サンドフォードである事が判明します。
(”ゲルダー商会”も正典「6つのナポレオン」踏襲)
正典で「ナポレオン像」を買ったのはモース・ハドソン、バーニコット医師(2個)、ホレス・ハーカー、
チズウィックのジョサイア・ブラウン、レディングのサンドフォード でした。

そんな中、ハーカーの家で初めての殺人事件が起こります。(これも正典通り)


残る一つの像を持つサンドフォード邸のプールでシャーロックは1人犯人を待ち受けます。

(余談ですが、このプールの壁画(?)が北斎の「神奈川沖浪裏」と言う津波(と言われる)図柄が描かれています。
このエピソード何かとジャパンテーストを感じられます、例えば日本人元ガールフレンド”あかこ”とか、”数独”
とか・・・)

数時間待つ待つうち サッチャー像を狙った犯人が現れます。
ここでシャーロックと格闘シーンが続きます。 長いです。







プールの中水中格闘を含め 何と”9分間”だそうです。って、私は実際時間を計っていませんが ネット上でチョット
話題になっていて、あるメディアがゲイティス御大にこのシーンを含めボンド化が顕著である事を指摘したインタビュー
で、「ボンドの決闘が9分で終わる筈はない・・」ってな事を言い返していたのですが、いえいえ、そういう問題では
無い様な気がするんですよ。
これ程長い決闘シーンはシャーロック史上初めてだし、必然性があるのだろうか?と疑問に思ったのです。
(余談ですが、「ボンド化」しているとあちこちで触れられていたのですが、ガーディアン紙で批判を浴びた際
ゲイティス御大がドイルを真似て詩で切り返していた時は喝采を浴びていたんですけどね。)




長い格闘の末サッチャー像で犯人を殴ったシャーロックは 破壊された像の中に当然入っているのは「ボルジア家の黒
真珠」であり 首謀者はモリアーティーだと思い込んでいたのですが、出てきたのは”A.G.R.A”のメモリースティック
でした。

これを見て混乱したシャーロックが「彼女はあれを破棄した筈だ」というのを聞いた男は、今はメアリーと名乗っている
その女は裏切り者であり ”Dead Woman Walking”だと言います。
(”Dead Woman(Man) Walking” とは、映画のタイトルでもありますが、元々の意味は「死にゆく人」、「間もなく
絶体絶命のピンチに陥る人」の様な意味を持っています)

(S4が放送される前に色々妄想、推測していた時点で 今回はどの様な形でメアリーを退場させるかが
関心事であり、そうであれば”A.G.R.A.” が何らかの形で復活するのではないかと思っていた所 予想通りの展開に
なりました。 ”Agra” は言うまでもなくインドの地名であり、メアリーの登場と共に正典「4人の署名」に描かれ
ていました。 )






・・・・・to be continued です。



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