惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

修行

2016-12-01 21:45:21 | 日記

 夕方、マーティン・デニーの音楽を聴きながら『まわり舞台の上で 荒木一郎』(文遊社)を読むという、自分でも不思議な体験をしてしまいました。頭も、耳も、心も、力が抜けて、それでいてずいぶん高いところへ飛びあがっているような、変な感覚。

 この本に次のような部分があります。ごく最初のあたり――

 ……モダン・ジャズ、好きじゃなかったのね。さっぱりわからなかった。(中略)それでね、毎日とにかくラジオでモダン・ジャズを聴くの。気持ち悪くなっちゃうの、ほんとに。もう、今でも覚えてる、ミルト・ジャクソンのヴァイブの音が気持ち悪くて、窓開けてハーハーってやったこともある。そのぐらい、嫌で。それでも聴いてた。とにかく聴こうと思ったの、もう好きになるまで聴くしかない、と。

 なんでしょうね、これ。
 意地というか、見栄というか、ムキになって、モダン・ジャズに齧りついている。
 いってみれば、修行。
 趣味なのに、修行として必死に取り組む。

 嫌いな理由がわかっていれば、こんなことはしないと思います。嫌いなのは、自分が対象を理解していないからだ。理解できるまで、とことん付き合ってみよう。そんな心意気でモダン・ジャズに取り組んでいる。

 こうやって教養を身につけた時代があったのでした。自分でも、少し思い当たるフシがあるなあ。