仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

オリヲン座からの招待状

2017年03月16日 | ムービー
『オリヲン座からの招待状』(2007年/三枝健起監督)を見た。
物語は、「別居中の三好祐次(田口トモロヲ)と良枝(樋口可南子)。良枝の所へ故郷京都の小さな映画館オリオン座から謝恩最終興行の招待券が2枚届いた。幼馴染の2人が子供の頃にいつも遊びに行っていた近所の映画館だが、57年間の営業に終止符を打つという。一緒に行こうと誘う良枝に祐次の返事はつれなかった・・・」という内容。
豊田松蔵(宇崎竜童)とトヨ(宮沢りえ)が2人で営んでいたオリヲン座は昭和25年に開館したのだというが、テレビのない時代には大盛況だったのだろう。
昭和32年に仙波留吉(加瀬亮)が住み込みで働くようになった時も、オリヲン座は満席だった。
入口に「入場料/大人70円、小人35円」と書かれていて、売店には柿の種・ピーナッツ・煎餅・あんパン10円、ラスク20円、かりんとう35円などと書かれていたが、柿の種などは小さなスコップでガラスの瓶からすくって手製の紙コップに入れるという何ともほほえましい販売方法だったようだ。
日本の映画館入場料は『戦後値段史年表 週刊朝日編』(1995年/朝日文庫)には、昭和26年が80円と書かれていたものの、昭和32年は150円となっていた。
オリヲン座は封切館ではなかったので、昭和32年でも入場料が安かったということなのだろうか。
(^_^)
昭和32年にかけていた『君の名は』と『二十四の瞳』の2本立てや、昭和35年の『幕末太陽傳』では満席でにぎわっていたオリヲン座も昭和36年にはテレビが普及し始めたこともあって客がまばらになっていた。
閉館する頃の豊田トヨ(中原ひとみ)と仙波留吉(原田芳雄)はすっかり老人になっていて、施設もすっかり古ぼけ、たばこの自動販売機は故障中、売店にもほとんど何も置かれていなかった。
何とも切ない様子が映し出されていたが、家族経営の映画館というのは今はもう日本のどこにもないのだろう。
歴史の1ページという話だ。

仁左衛門賞 / 2015年

2015年12月14日 | 映画サークル
年末の恒例となっている【仁左衛門賞】は、今年でナント11回目。
この賞は、"ましけ映画サークル"の例会で1年間に取り上げた映画の中から一番面白かったと思われる作品に対して贈られる賞で、あくまでも仁左衛門の独断で決定する賞である。
(^_^)
さて、2015(平成27)年の例会で取り上げられた映画作品は、
【1月/忠○企画】『ファントム・オブ・パラダイス(原題Phantom of the Paradise)』(1974年/ブライアン・デ・パルマ監督/アメリカ)
【2月/仁左衛門企画】『塀の中のジュリアス・シーザー(原題Cesare deve morire)』(2012年/パオロ・タヴィアーニ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督/イタリア)
【3月/小○企画】『LIFE!(原題The Secret Life of Walter Mitty)』(2013年/ベン・スティラー監督/アメリカ)
【4月/中止】
【5月/中止】
【6月/中止】
【7月/忠○企画】『バーン・アフター・リーディング(原題Burn After Reading)』(2008年/イーサン・コーエン&ジョエル・コーエン監督/アメリカ)
【8月/長○企画】『アイデン&ティティ』(2003年/田口トモロヲ監督)
【9月/仁左衛門企画】『宇宙人ポール(原題Paul)』(2011年/グレッグ・モットーラ監督/イギリス・アメリカ)
【10月/小○企画】『ルーシー(原題LUCY)』(2014年/リュック・ベッソン監督/フランス)
【11月/守○企画】『THE GREY 凍える太陽(原題The Grey)』(2012年/ジョー・カーナハン監督/アメリカ)
【12月/忠○企画】『プライマー』(2005年/シェーン・カルース監督/アメリカ)
といった9作品。
この中から第1次選考を行うと、『ファントム・オブ・パラダイス』、『塀の中のジュリアス・シーザー』、『宇宙人ポール』、『THE GREY 凍える太陽』といった4作品が候補作品か。
そして、その候補作品の中から栄えある【ましけ映画サークル・仁左衛門賞/2015年】に選ばれたのは、【9月/仁左衛門企画】『宇宙人ポール(原題Paul)』(2011年/グレッグ・モットーラ監督/イギリス・アメリカ)。
おめでとう!!グレッグ・モットーラ監督!!
2015年の仁左衛門賞・灰色のモアイ像はあなたに進呈しよう!!
全編にパロディーを散りばめながらもオリジナリティーあふれる作品作りが素晴らしい!!
この作品以降は映画製作から遠ざかっているようであるが、再び楽しい作品を世に送り出していただきたいものである。
(^_^)
と、2015(平成27)年の仁左衛門賞は2年連続で仁左衛門企画の受賞に決定したのだが、過去の仁左衛門賞については、
第1回【2005年】『デイ・アフター・トゥモロー(原題The Day After Tomorrow)』(2004年/ローランド・エメリッヒ監督/アメリカ)=守○企画(初)、
第2回【2006年】『ショーシャンクの空に(原題The Shawshank Redemption)』(1994年/フランク・ダラボン監督/アメリカ)=守○企画(2回目)、
第3回【2007年】『トム・ヤム・クン!(原題Tom-Yum-Goong)』(2005年/プラッチャヤ・ピンゲーオ監督/タイ)=小○企画(初)、
第4回【2008年】『地獄のモーテル(原題Motel Hell)』(1980年/ケヴィン・コナー監督/アメリカ)=忠○企画(初)、
第5回【2009年】『アイアンマン(原題Iron Man)』(2008年/ジョン・ファヴロー監督/アメリカ)=長○見企画(初)、
第6回【2010年】『画家と庭師とカンパーニュ(原題Dialogue avec mon jardinier)』(2007年/ジャン・ベッケル監督/フランス)=小○企画(2回目)、
第7回【2011年】『クモ男の復讐(原題『EARTH VS. THE SPIDER)』(2001年/スコット・ジール監督/アメリカ)=忠○企画(2回目)、
第8回【2012年】『リミット(原題Buried)』(2010年/ロドリゴ・コルテス監督/スペイン)=忠○企画(3回目)、
第9回【2013年】『ロンドンゾンビ紀行(原題Cockneys vs Zombies)』(2012年/マティアス・ハーネー監督/イギリス)=忠○企画(4回目)、
第10回【2014年】『スモール・アパートメント/ワケアリ物件の隣人たち(原題Small Apartments)』(2012年/ジョナス・アカーランド監督/アメリカ)=仁左衛門企画(初)
となっている。
未だ日本映画の受賞が一作品もないのが残念であるのだが、長編作品というのはどうにも例会では取り上げにくい。
長時間楽しめる作品も良いのだが、100分前後でサクッと楽しめる日本映画の増加に期待したいところである。
さぁ、来たる2016(平成28)年も、素晴らしいエンターテインメント作品を"ましけ映画サークル"例会で楽しもう。
(^_^)

アイデン&ティティ

2015年08月20日 | 映画サークル
ましけ映画サークル8月例会は、長○企画『アイデン&ティティ』(2003年/田口トモロヲ監督)だった。
物語は、「バンドブームのさなか。4人組ロックバンド"SPEED WAY"のリーダー・中島(峯田和伸)は、自作のメジャーデビュー曲♪悪魔とドライブ♪をヒットさせたものの、次の曲をなかなか作れずにいた。バンドのメンバー、ボーカルのジョニー(中村獅童)、ベースのトシ(大森南朋)、ドラムの豆蔵(マギー)との関係も上手く行かなくなってきたある夜、"ロックの神様"と崇拝する"ディラン"が現れた。中島以外の誰にも見えないそのディランは事あるごとに現れ、中島はロックと一番遠い存在になっていくように思えていた自分を嫌悪し始める。学生時代からの彼女(麻生久美子)に励まされながら、ようやく新曲を完成させたものの、バンドブームはすでに終わっていて・・・」という内容。
これは、自身もバンド"大島渚"のメンバーとしてテレビ番組『三宅裕司のいかすバンド天国』(1989年~1990年)に出場したことがある、みうらじゅん氏の同名まんが作品が原作。
アメリカの歌手ボブ・ディラン(1941年~)には相当な思い入れがあるらしいことが分かる作品だが、みうらじゅん氏については、いつも『笑う洋楽展』(NHK BS)と『グレイト余性映画ショーin日活ロマンポルノ/民俗学入門』(衛星劇場)を見ているし、『勝手に観光協会』(たまにHBC)もチェックすることがあるほどの仁左衛門ではあるものの、ボブ・ディランについてはよく分からないので、作品中一切顔が映らない神様ディランについて、「これは誰が演じているんだろう?」なんてことにも興味が湧かなかったのだった。
(^_^;)
主演の峯田和伸はどこかで見たことがあるなぁと思っていたのだが、後の主演作『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(2010年/三浦大輔監督)を先に見ていたようだった。
地味な役柄がぴったりとハマる感じのナカナカ個性的な人のようだ。

少年メリケンサック

2014年07月10日 | 映画サークル
ましけ映画サークル6月例会(2014年6月10日)は、昨年から何となく参加していた長○氏の初企画『少年メリケンサック』(2009年/宮藤官九郎監督)だった。
物語は、「栗田かんな(宮崎あおい)は、臨時社員ながら新人バンド発掘担当として某レコード会社で働いていた。ある日、インターネットの動画サイトで"少年メリケンサック"という4人組パンクバンドを発見し、早速契約せよという時田英世(ユースケ・サンタマリア)社長の肝いりで、意気揚々と出掛けたのだが、連絡された場所にいたのは昼間から焼酎を浴びるように飲んでくだを巻く作並秋夫(佐藤浩市)という落ちぶれた五十がらみの男だった。かんなが見つけた動画はなんと25年前の解散ライブのものだったのだ。しかし、すでに立ち上げたオフィシャルサイトは大人気になってしまっていて・・・」という内容。
インターネット上の情報というのは、日付が入っていなければいつの物なのかマッタク分からないということもありがちで、「実は25年前だった」というのも実際にありそうな話で面白い。
それなりのビデオカメラさえ持っていれば、今は誰でもハイビジョン撮影が出来る世の中だから、もしかしたら100年後のリアル社会で2014年に撮影された映像がマッタク違和感無しに見られているかもしれないなぁ等と思いながら見ていた。
(^_^)
パンクロックという音楽が理解出来ずにいたかんなが、バンドのツアーに帯同しているうちに同棲中の恋人・マサル(勝地涼)が歌う曲をいつの間にかつまらなく感じていって、自分自身がすっかりパンクのような思考になっていくのも面白い。
人の趣味嗜好というものはどんどん変わって行くものなのだ。
(^。^)
バンドの他のメンバー、作並春夫(秋夫の弟/木村祐一)、清水(ジミー/田口トモロヲ)、岡本(ヤング/三宅弘城)も解散ライブのビデオとはすっかり変わり果てた姿になっていたが、25年の時間とはそういうものなのだろう。
移動中の車内の様子が一番面白いのは、パーソナルエリアを確保できない空間に居続けると本音がどんどんと飛び出してくるという人間の本質を、監督・脚本がしっかり押さえているからなのかもしれない。
なかなか面白かった。


大停電の夜に

2009年11月22日 | ムービー
『大停電の夜に』(2005年/源孝志監督)を見た。
物語は、「その日限りでの閉店を決めていたジャズバーのマスター・木戸晋一(豊川悦司)は、かつての恋人・佐伯静江(原田知世)の来店を期待していた。静江は夫・遼太郎(田口トモロヲ)と久々の外食に出かける予定だったが、彼は会社の部下・草野美寿々(井川遥)との不倫関係にあり、この日もホテルに呼び出されていた。そんな12月24日の夜、首都圏一帯が停電になり、都市機能の殆どが失われてしまう。唯一明りを灯していたのは、ジャズバーの向かいで叶のぞみ(田畑智子)がキャンドルを販売しているショップだけだった」という内容。
その他にも、宇津井健(国東義一役)、淡島千景(国東小夜子役)、吉川晃司(大鳥銀次役)等、総勢12人の俳優・女優が出演していて、メインストーリーとサブストーリーがいろいろ絡み合う展開になる。
しかし、いろいろ絡み合いはするものの、さほど複雑な話ではないので、結構先が読めてしまうのが残念だ。
また、上映の際には"感動のロードショー"という宣伝がされていた筈だが、「果たしてこれが感動か?」と幾分疑問に思ったのだった。
ただ、「本気で好きになったら格好なんか良くしてられません」という台詞には、まったくその通りだと感じる。
格好つけるなんて、そのうちにきっと後悔するだろう。
それにしても、宇津井健と淡島千景の演技は本当に素晴らしい。
格が違うと感じる。
原田知世に台詞を与えてはいけないとも思う。
(^o^)