仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

ジャージの二人

2017年08月22日 | ムービー
『ジャージの二人』(2008年/中村義洋監督)を見た。
物語は、「夏の暑い日。54歳になるグラビアカメラマンの父(鮎川誠)に誘われ、一緒に北軽井沢の別荘に滞在する32歳の息子(堺雅人)。携帯の電波も届かない山奥の山荘で、亡き祖母が集めた古着のジャージを着こみ、何もしない時間を満喫していた。父は時折テレビゲームの麻雀をし、会社を辞め無職になった息子は、小説を書こうとするが、原稿用紙には一文字も書けずにいたのだった」という内容。
綺麗に折りたたまれて段ボール箱に入っている鮮やかな色とりどりのジャージは、全部、胸の所に〇〇小との刺繍が入っている。
小学校の指定ジャージということなのだろうが、何故か大人サイズだ。
東京は34~35℃の気温だというのに、群馬県のそこは22~23℃で、テレビの天気予報で翌日の最高気温を知った2人は思わずガッツポーズをするという場面が面白い。
(^_^)
時折訪ねてくる隣の遠山さん(大楠道代)は2人を変わった人達と言うが、当の本人も随分と特徴がある人だ。
翌年の夏に遊びに来た妹の花ちゃん(田中あさみ)が「夏休み中、ビデオで映画を40本見る」という目標を掲げたものの、別荘にビデオデッキがないと知って、それを貸してくれるというとても優しい人だが、フレンドリーな割りには、2人を訪ねても絶対に家に入ろうとはせず、いつも庭先で用事を済ませ、すたすたと歩き去っていく。
何回「上がってお茶でもどうですか」と言っても、絶対それに対する返事をしないで別のことを話すことから、どうにも会話にならないのだが、不思議と用件は済んでしまうのも面白い。
(^。^)
ちょっとモヤモヤするのは、息子とその妻(水野美紀)の一連のエピソードだ。
岡田(ダンカン)には「アンテナ立つところ知ってますよ」と親切に教えてあげても、妻が「何やってるんだろう」と不思議そうに見ているのに、「さぁ何だろうね。何かのおまじないかなぁ」と言って知らないふりをするエピソードにはニヤリとしてしまった。
そりゃあ、当然。
世の男はその小さな反撃を応援することだろう。
同名の小説『ジャージの二人』(2003年/長嶋有著)が原作とのことで、そちらには『ジャージの一人』という後日譚があるらしく、少しばかりそれが気になるのだった。

クライマーズ・ハイ

2016年12月08日 | ムービー
『クライマーズ・ハイ』(2008年/原田眞人監督)を見た。
物語は、「1985(昭和60)年8月12日、羽田発伊丹行のジャンボジェット機が群馬県多野郡上野村の高天原山の尾根(御巣鷹の尾根)に墜落し、乗客乗員死者520人を出すという世界最大の航空機事故"日本航空123便墜落事故"が発生した。地元の地方紙"北関東新聞"の社長・白河頼三(山崎努)は、悠木和雅(堤真一)を事故の全権デスクに指名し、編集局挙げての紙面作りをさせる。県警キャップでありながら墜落現場での取材を希望した社会部・佐山達哉(堺雅人)は神沢周作(滝藤賢一)と共に事故翌日の凄惨な現場の様子を伝えるが、社会部部長・等々力庸平(遠藤憲一)の妨害により記事は握りつぶされてしまう。自身のかつての実績が霞んでしまう若手記者達の活躍を潰そうとする等々力と、全権・悠木の対立は日に日に深まっていき・・・」という内容。
自分の飼い犬の子供を部下にプレゼントすることで自身の派閥を作り上げ、拡大していったという白河社長の影響なのか、ほぼ誰もが社長の言いなりだ。
追村穣編集局次長(螢雪次朗)も酷いが、最も酷く描かれていたのは販売局長・伊東康男(皆川猿時)。
彼は部下の安西耿一郎(高嶋政宏)を使い、社長のスキャンダルを表ざたにされないよう握りつぶそうとするが、社長室での様子はまるで暴力団の事務所であるかのようだった。
また、白河社長と悠木には少なからず因縁があり、噂レベルではあるものの社内の殆どの人間がそれを知っていることから、彼ら2人の関係を良く思ってはいない。
等々力部長の若手潰しも相まって、北関東新聞社内部の人間関係は何とも酷い感じだった。
(^_^;)
事故関連記事は連日一面を賑わせるのだが、玉置千鶴子(尾野真千子)が嗅ぎ付けてきたスクープ記事は「チェック!!ダブルチェック!!」が信条である悠木を悩ませる。
緊迫感あふれる面白いエピソードの連続なのだが、一番印象に残ったのは、神沢が事故現場で見つけてしまった"スペードのエース"だっただろうか。
これは残念すぎた。

武士の献立

2016年07月09日 | ムービー
『武士の献立』(2013年/朝原雄三監督)を見た。
物語は、「江戸時代。加賀藩江戸屋敷において、5代藩主・前田吉徳(猪野学)の側室・お貞の方(夏川結衣)に仕えている女中・春(上戸彩)は、幼い頃に火事で両親も家も失った天涯孤独の身の上だった。ある時、屋敷での能見物の際に大槻伝蔵(緒形直人)による"鴨もどきの正体当て"という余興が行われ、包丁侍と呼ばれる台所御用役・舟木伝内(西田敏行)にすっかり気に入られてしまった。息子・安信(高良健吾)の嫁にと縁談を持ちかけられたが、商家に嫁いだものの"生意気で可愛げがない"と1年で離縁された過去を持つ春は、この申し出を固辞。しかし、後日再び顔を合わせた伝内に、"出来損ないを一人前の包丁侍に仕立ててほしい。舟木家を救ってほしい"と懇願され、金沢へと嫁ぐことになったのだが・・・」という内容。
長男の突然死により舟木家の跡継ぎになってしまった次男・安信は縁談に気乗りせず、江戸から金沢に15日かけ歩いてやって来た春を「別に俺が頼んだわけではない」と出迎えにも出ないし、仕事にも身が入らず、"和えの会"で親戚連中に出す汁物を作り直した春を「どういうつもりで吸い物を作り直したのだ!!」と責める。
新婚の嫁を「この古だぬきめ!!」とののしる安信は酷い奴だが、春も「つまらないお役目だと思っているから、つまらない料理しか作れないのではありませんか」と黙ってはいない。
春を出迎えた姑の満(余貴美子)が「初鰹ではなく脂ののった戻り鰹を好む者もおります」と嫁を気遣っていただけに、"料理指南を受けるor離縁"を賭ける包丁の腕比べに至った2人には何とも前途多難な様子が見えたが、『武士の家計簿』(2010年/森田芳光監督)に登場した"そろばん侍"猪山直之(堺雅人)と駒(仲間由紀恵)の夫婦はとても良い関係に描かれていただけに、同じ加賀藩の侍を取り上げた似たような物語とあって、あえて違う感じにしたのだろうか。
この物語に登場するのは実在した人物達なのだそうで、舟木伝内(?~1759年)は『ちから草』(全5巻/成立年不明)など、安信(長左衛門/?~1779年)は父と共著の『料理無言抄』(享保14・1729年)など、加賀料理のレシピ本を著しているとのことであるし、加賀藩第5代藩主(加賀前田家6代)・前田吉徳(1690~1745年)、その側室・お貞の方(真如院/1707~1748年)、藩士・大槻伝蔵(1703~1748年)、鹿賀丈史が演じた前田土佐守直躬(1714~1774年)などは"加賀騒動"と呼ばれた加賀藩お家騒動の中心にいた人物なのだそうである。
安信の親友として登場する今井定之進(柄本佑)が実在した人物なのかは分からないのだが、妻・佐代(成海璃子)共々、"加賀騒動"という失敗した藩政改革の犠牲者として描かれており、おそらくは物語の展開上、この一連の事件にそれなりの時間を割いて取り上げざるを得なかったものだから、肝心の"武士の献立"という一番のテーマが突き詰められなかったのだろうと想像する。
終盤は何か物足りなさを感じてしまって、幾分残念に思えた作品だった。

南極料理人

2010年12月30日 | ムービー
『南極料理人』(2009年/沖田修一監督)を見た。
物語は、「鈴木(宇梶剛士)の代わりに南極観測隊に参加した海上保安官・西村淳(堺雅人)の任務は、南極大陸のドームふじ観測拠点で隊員8名分の食事を調理することだった。雪と氷以外に何も無い極寒の地で、日々料理の腕をふるうのだが・・・」という内容。
特に起承転結も無く進行する物語だが、実際の南極観測基地でも特に事件が起きることは無いのだろうか。
(^_^)
それにしても登場する隊員達はあまりにも個性的すぎて、そのキャラクター自体に笑ってしまうほどだ。
気象庁から来ている金田ヒロシ(きたろう)はラーメン大好きだし、自動車メーカーのいすゞから来ている車両整備担当の御子柴ケン(古舘寛治)は雪上車の中でマンガを読んでるだけだし、川村ヤスシ(高良健吾)はKDDのオペレーター・清水さん(小出早織)を電話でナンパしたりする。
随分と小さなエピソードの連続なのだが、なかなかに面白い。
伊勢海老の海老フライは何とももったいない食べ方だし、朝からカニ三昧とは羨ましい。
しかし、それでもラーメンが一番いいんだから、日本人というのは面白いぞ。
ラスト近くでの隊員達の食事風景はちょっと狙った感じだが、何だか家族のようで笑える。
さて、これを見たのは5日前に導入したシャープ製の46型テレビ。
やはり大画面はいいなぁ。
シャープの液晶は最高だ!!
(^o^)

武士の家計簿

2010年12月18日 | ムービー
ユナイテッド・シネマ札幌で、『武士の家計簿』(2010年/森田芳光監督)を見た。
物語は、「江戸時代末期。代々加賀藩の算用者(さんようもの)を勤めている猪山家の8代目・猪山直之(堺雅人)と駒(仲間由紀恵)の間に長男・直吉(大八木凱斗)が生まれた。同じく算用者として勤める父・信之(中村雅俊)、母・常(松坂慶子)、祖母(草笛光子)の6人で暮らしていた猪山家は決して華美な生活をしていたわけでは無かったが、家計は厳しく、借金の額は2人の年収の2倍にも達していたのだった。4歳になった直吉の武士としての最初の儀式を控え、収支のやり繰りが付かなくなった直之は・・・」という内容。
これは、実際に残されている猪山家の記録を元に書かれた同名ノンフィクションが原作となっているようで、著者の茨城大学准教授・磯田道史氏は、4日前のNHKテレビ『爆笑問題のニッポンの教養』に出演し、「猪山家の家族のやり取りはまるでツイッターのようだ」と述べていたが、猪山家の記録は相当克明に残されているのだろう。
劇中、家計簿をつけるきっかけとなる"にらみ鯛"は悲しいエピソードだが、やはり子供のいる家庭は子供の存在に助けられるようだ。
子供がいると、本当に家庭の中は明るくなる。
当時の加賀藩には"天使"だなんて言葉は無かっただろうが、まさしくそういった存在だろう。
それにしても、武士の世の中というのはお金がかかったようだ。
見栄を張るのも大概にした方が良いということだな。
(^o^)
"お家芸"とはこういうことかと再認識させられた面白い映画だった。
月曜はメンズデーということで、これを1,000円で見られたのはとてもラッキー。

クヒオ大佐

2009年10月30日 | ムービー
ユナイテッド・シネマ札幌で、『クヒオ大佐』(2009年/吉田大八監督)を見た。
物語は、「カメハメハ大王の末裔を父に持ち、エリザベス女王の妹の夫のいとこを母に持つというアメリカ空軍特殊部隊パイロットのジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐(堺雅人)。"私と結婚すれば軍から5000万円の結納金が支給される"、"ウェディングドレスはダイアナ妃のドレスも手がけたデザイナーに依頼して製作してもらう"等という話で、弁当屋の女社長・永野しのぶ(松雪泰子)をその気にさせるが、実は彼は結婚詐欺師。そして、彼が新たなターゲットとして選んだのは、学芸員の浅岡春(満島ひかり)と銀座でホステスをしている須藤未知子(中村優子)の2人だった。巧みな言葉(?)で彼女達の心の隙間に入り込もうとするクヒオ大佐ではあったが・・・」という物語。
何ともでたらめな展開でも、演じる役者が上手だとふざけた話にならないので、面白く見られる。
主役の堺雅人という人は今迄知らなかったが、上手な役者さんだ。
『ゆれる』(2006年/西川美和監督)に出演していた新井浩文(永野達也役)もナカナカ良い。
見終わってから知ったのだが、ナントこれは実話を元にした物語なのだそうだ。
こういった経歴やでたらめな話で実際に騙された人がいたとはホント驚かされる。
劇中の永野しのぶの感覚は最後までマッタク理解できなかったので、余計にそう思ったのだった。
それにしても、『沈黙の艦隊』って・・・。
(^o^)