仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

海底軍艦

2017年03月26日 | ムービー
『海底軍艦』(1963年/本多猪四郎監督・円谷英二特技監督)を見た。
物語は、「落盤対策の専門家である土木技師の誘拐が相次いだ。最初の被害者・進藤(伊藤久哉)の誘拐事件に関する現場に居合わせたカメラマンの旗中進(高島忠夫)と助手の西部善人(藤木悠)は、誘拐に使用され海に沈んだタクシー(盗難車)を引き揚げた際、直前に蒸気人間を見たと証言するものの、警視庁の伊藤刑事課長(小泉博)は信じない。一方、雑誌『実話之友』記者・海野魚人(佐原健二)を名乗る男が、光國海運の重役、元日本海軍技術少将であり特別設計班班長・楠(上原謙)を訪ね、潜水艦イ号403の艦長だった神宮司八郎大佐(田崎潤)が実は生存していて極秘任務に当たっているのではないかという"海軍の謎"について取材を求めるのだが、サイパン沖で戦死したとされる大佐は楠の秘書・神宮司真琴(藤山陽子)の父親とのこと。そして、取材の直後、2人はムウ帝国工作隊員23号(平田昭彦)により誘拐されようとするところを・・・」という内容。
約1万2000年前に一夜にして海底に沈んだというムウ帝国の子孫が海底で生き延びていて、かつて植民地だった地上世界の国々に対し、ムウ帝国皇帝陛下(小林哲子)に世界を返上しろと迫るという展開になるのだが、なかなかに面白い。
(^_^)
世界最高性能を誇る原子力潜水艦レッドサタン号が水深3,600フィート(約1,097メートル)で圧壊爆発したのを尻目にまだまだ水中降下し続けるムウの潜水艦。
地熱をエネルギー源とする海底世界や深海の水圧にも耐えられる耐圧服は、地上人よりも優れていると自負するムウの人達のよりどころなのだろう。
日本の無条件降伏から20年が経過してなお"帝国海軍の復興"を目指し海底軍艦を開発し、世界的見地に立てとの言葉に耳を貸そうとしない旧軍人達が登場するのだが、何だかムウ帝国の人達と変わらないような気がするし、「世界は変わったのだ」という楠に対し、「海底軍艦で世界をまた変えて見せます」と言うに至っては、"戦争キチガイ"、"愛国心という錆びついた鎧を着続けている亡霊"と言われても仕方がないところだろう。
(^_^;)
調べてみると、原作は『海島冐險奇譚 海底軍艦』(1900年・明治33年/押川春浪著)というSF小説らしいのだが、内容はマッタクの別物とのことである。
ちなみに、原作は"青空文庫"で読めるらしい。
なかなかに興味深い作品だった。

緯度0大作戦

2017年02月26日 | ムービー
『緯度0大作戦』(1969年/本多猪四郎監督・円谷英二特技監督/日本・アメリカ)を見た。
物語は、「1969年、春。東経180度、緯度0の南太平洋上で日本の海洋観測船ふじより水中降下した潜水挺No,4は、クロムウェル海流の調査を行っていた。12時間後に回収されるはずだったが、突然の海底火山の爆発によりワイヤーロープが切れ、海底峡谷に投げ出されてしまう。乗員の物理学・海洋学の権威・田代健博士(宝田明)、地質学者ジュール・マッソン博士(岡田真澄)、トランスグローブ通信社ペリー・ロートン記者(リチャード・ジャッケル)の3人は気を失っているうちに、謎の潜水艦アルファ号に救助され、マッソン博士の緊急手術のため、深海都市・緯度0に向かったのだが・・・」という内容。
アルファ号は随分と大きな潜水艦だが、相当に自動化が進んでいるらしく、乗員はクレイグ・マッケンジー艦長(ジョゼフ・コットン)以下、アン・バートン医師(リンダ・ヘインズ)、甲保(大前均)のわずか3人。
アルファ号を襲ってくるマリク(シーザー・ロメロ)所有の潜水艦クロサメ号の指令所が艦長・黒い蛾(黒木ひかる)、陳(黒部進)ら乗員でひしめき合っている様子とは随分と違ったのだった。
潜水艦アルファの就航は1805年6月21日らしいし、マッケンジー艦長は204歳だという。
随分と突拍子もない設定なのだが、緯度0には世界中から集まった科学者達がたくさんいて、進んだ理論や優れた技術を駆使して、何か別の世界を作り上げたということなのだろう。
金は海水から抽出しているということだし、ダイヤモンドも研磨くらいにしか使わないという。
満ち足りた人間社会は、装飾品などにはこだわりをもたない新たな価値観が生まれてくるようだ。
マッケンジー艦長が204歳だと知ったロートンが、「バートン医師はいくつなんですか?」と尋ねると、艦長は「緯度0でも女性の歳は聞かないのが礼儀でね」と答える。
なかなか洒落た台詞もあったりして、面白い作品だった。

宇宙大怪獣ドゴラ

2017年01月10日 | ムービー
『宇宙大怪獣ドゴラ』(1964年/本多猪四郎監督・円谷英二特技監督)を見た。
物語は、「人工衛星の消滅事故が頻発していた折、日本から打ち上げられた電波研究所のL100型テレビ衛星は日本上空に差し掛かった際にやはり原因不明の消滅事故にあってしまう。そのほぼ同時刻、宝石店の天宝堂に入った強盗団は謎の妨害を受けて現場から逃げ出した。組織は、宗方博士(中村伸郎)の研究所からダイヤを盗み出したばかりのマーク・ジャクソン(ダン・ユマ)を敵対する強盗団の一味として拉致した。警視庁の駒井刑事(夏木陽介)も宝石ブローカーを名乗るマークを張っていたのだが、気絶させられているうちの出来事だった。翌日、警視庁で事情を説明した宗方博士と秘書の桐野昌代(藤山陽子)は、大量のダイヤモンドを盗まれたというのに被害届を出さないと言い出し・・・」という内容。
ドゴラはゴジラのような姿ではなく、ふわふわ漂うクラゲのような形なので、"宇宙大怪獣"という題名が何とも不釣り合いだ。
(^_^;)
なかなか正体を現さないドゴラに対して、最初から出ずっぱりなのが謎の宝石ブローカー、マーク。
警備員「警察ですか?」
マーク「残念でした」とか、
昌代「お茶をどうぞ」
マーク「どうもどうも。おぉ、日本の番茶たいへんいいです。枝豆、なかなか乙なもんですね」
などと上手に日本語をあやつる憎めないキャラクターだ。
(^_^)
特撮は特技監督として円谷英二(1901~1970年)氏の名前があるが、積み上げられた石炭の山が竜巻に巻き上げられて上空へ消えていく場面などの映像は素晴らしい。
また、自衛隊の砲台が映し出される場面では、木陰でヘルメットが動いていたりする細かな技も効いていて、見ていてニヤリとしてしまったのだった。

原子怪獣現わる

2016年10月19日 | ムービー
『原子怪獣現わる(原題The Beast from 20,000 Fathoms)』(1953年/ユージーン・ルーリー監督/アメリカ)を見た。
物語は、「アメリカの研究者達は北極圏に位置するバフィン湾の北で核実験を実施した。極寒の中、研究者のトム・ネズビット教授(ポール・クリスチャン)とジョージ・リッチー(ロス・エリオット)は軍の雪上車で氷原の観測ポイントに向かったのだが、2人は古代に生息していた恐竜のような巨大生物を目撃する。吹雪の中、リッチーは行方不明。何とか救助されたネズビットは、治療のためにニューヨークのハートリー病院に緊急搬送された。恐竜を見たという彼の話には誰も耳を貸さず、精神科医の診察を受けるはめになったネズビットだったが、グランドバンクスにおいてカナダの漁船が襲われ、船長が恐竜を見たと言っているとのニュースを聞き・・・」という内容。
"核実験の影響で出現した巨大生物が現代の人間世界に脅威をもたらす"という設定が"ゴジラ"と共通するのだが、こちらの作品は『霧笛(The Fog Horn)』(レイ・ブラッドベリ原作)という短編小説を元に発想された物語のようで、特撮部分はレイ・ハリーハウゼン(1920~2013年)氏が担当しているのだが、彼も『ゴジラ』(1954年/本多猪四郎監督)の円谷英二(1901~1970年)氏と同様に"特撮監督"という立場では表記されていないようだ。
核実験の影響で出現した巨大生物は爬虫類や昆虫が放射能の影響で巨大化したものではなく、氷塊に閉じ込められていた恐竜が蘇ったものということだが、現実社会だと、氷河が融けてマンモスの死体が当時の姿のままで現れるくらいのことは起きそうだ。
(^_^;)
街中の建築物を容赦なく叩き壊していく巨大生物を脅威として描いているのは当然なのだが、(二次的に出現した脅威であったとはいえ)はるか昔の"ウィルス"が現代の人間に脅威をもたらすという展開にもなって、その部分は当時としてはおそらく斬新だったのではないかと思った。
ただ、あくまでも"巨大生物"が主役の物語なので、そこを掘り下げていかなかったのはもったいないような気もしたが、そこは仕方がないところだろう。
「核実験をやるたびに新時代の第一章だと思っている」と言う科学者もいれば、「旧時代の終章でなければいいがね」という科学者も登場したりして、"核"の存在というのは当時のアメリカでも複雑な位置にあったものなのだろうかと思った。

パシフィック・リム

2016年10月03日 | ムービー
『パシフィック・リム(原題Pacific Rim)』(2013年/ギレルモ・デル・トロ監督)を見た。
物語は、「2013年8月、太平洋グアム沖の深海に異世界と繋がる割れ目が生じ、そこから怪獣アックスヘッドが出現した。アメリカ軍はサンフランシスコを襲撃したアックスヘッドを6日間かけて倒すことができはしたが、これは始まりにすぎず、怪獣は次々と出現した。環太平洋沿岸(パシフィック・リム)諸国はPPDC(パン・パシフィック・ディフェンス・コープ)を設立し、専門家達の英知を結集した人型巨大兵器"イェーガー"を開発。これによって人類は優位に立つことができたものの、怪獣の出現ペースは徐々に早まっていき・・・」という内容。
「"モンスター・マスター"レイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に捧ぐ」と書かれていたが、本多猪四郎(1911~1993年)氏は『ゴジラ』(1954年)、『モスラ』(1961年)、『マタンゴ』(1963年)等、数々の東宝特撮映画を制作した監督なので、本作のギレルモ・デル・トロ監督は随分と日本の特撮映画に詳しいのだろうと思うのだが、「そこは"円谷英二"だろ!!」と言いたくなる。
異星人に操られて地球に現れるのは"Monster"ではなく"Kaiju"だし、人型の巨大ロボットが兵器として怪獣と戦うだなんて、まるで日本の特撮映画やアニメ映画の世界だ。
(^_^)
ローリー・ベケット(チャーリー・ハナム)と森マコ(菊地凛子/幼少期・芦田愛菜)の2人が搭乗する"ジプシー・デンジャー"というイェーガーの"エルボーロケット"は、マジンガーZ(永井豪原作)の必殺武器ロケットパンチを彷彿させるし、搭乗方法はまさしく"パイルダーオン!!"だ。
(^。^)
また、東京が舞台になった時の街中に氾濫する看板等に「益代&由美子剣店」、「葵綾香」、「東京都廃棄物の除去」といった文字の羅列があって面白いし、ポスターの隅には「環太平洋同盟が怪獣を倒せるかどうかは君次第だ。我々の前に立ちふさがるのは前代未聞の敵だ。一億玉砕」などという文字列が読めたのだが、ギレルモ・デル・トロ監督は特撮やアニメという媒体を通して、色々な日本を見ているのだろう。
とても良くできた物語ではあったのだが、いろいろと詰め込み過ぎなのか、見ていて疲れた。
(^_^;)
様々な素晴らしいアイディアをどんどんつぎ込んていった作品なのだろうが、世の中のヒット作品というのはもっと単純なストーリーのものが多いはずだ。
欲張り過ぎた結果、成功に至ることができなかったのではないかと思える少し残念な作品だった。

ゴジラ

2014年11月06日 | ムービー
『ゴジラ』(1954年/本多猪四郎監督)を見た。
物語は、「太平洋を航行中の貨物船や漁船の沈没事故が相次いだ。筏で大戸島に流れ着いた漁師の証言から、古老は島の伝説に伝わる怪物"ゴジラ"の仕業ではないかと話す。やがて、暴風雨の夜に巨大な生物が島に上陸し、家屋が破壊され、住民や家畜が襲われた。政府公聴会で未知の生物の仕業とする証言が次々と出され、古生物学者・山根恭平博士(志村喬)らによる調査団が結成された。毎朝新聞の記者・萩原(堺左千夫)、南海サルベージKK所長の尾形秀人(宝田明)ら同行者を含む一行は、上陸後、壊滅した村の一部だけにおびただしい放射能反応を確認し、残された巨大な足跡からはジュラ紀の古生物を発見した。その時、不気味な足音が鳴り響き、山の向こうから・・・」という内容。
この『ゴジラ』は日本における初の怪獣映画で、劇場公開は今から60年前の昭和29年11月3日だったようだ。
本作の5ヶ月後には早速続編『ゴジラの逆襲』(1955年/小田基義監督・円谷英二特技監督)が製作される等シリーズ化され、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年/北村龍平監督)まで全28作品が作られるに至った。
シリーズ化され沢山の映画が作られた中で、ゴジラの顔つきは随分と変わっていったように思うが、この第1作のゴジラの顔つきは何だか左右が非対称なように見えて不気味だ。
ジュラ紀から現代まで生き長らえていた古代生物が水爆実験の放射能を大量に浴びて巨大化したという設定だから、あえてそのようにいびつな部位を作ったのだろうか。
とても迫力があるテーマ音楽の作曲は、日本を代表する作曲家の一人だという伊福部昭(1914年~2006年)。
北海道釧路町(現釧路市)で生まれ、音更村(現音更町)で育った彼は、北海道帝国大学(現北海道大学)農学部卒業後に勤務した帝室林野局北海道林業試験場(札幌市)でレントゲンを使った木材の研究に携わるが、連日放射線を浴びて病に倒れたという。
『NHKアーカイブス/あの人に会いたい』(File No,398)では、「突然血が出てきて医者に診てもらったら、"そんなことやってたんだ。それは放射線だ"と。一年間静養して。一生何か引いているようですけど。静養中に音楽の道で生きることを決めた。放射能というものに対してちょっと特殊な感情をもっている」等とコメントが紹介されていた。
劇中、夜間のゴジラの襲撃によって壊滅状態となった東京。
住む場所を失い、家族も殺された山田新吉(鈴木豊明)の「ちくしょう・・・ちくしょう・・・ちくしょう・・・」という台詞が何ともいえない無念さを現していた。
戦争で片目を失ったあと、山根恵美子(河内桃子)との婚約を破棄して自宅地下の研究室にこもり続ける科学者の芹沢大助(平田昭彦)など、この映画の登場人物には、伊福部を含めて、製作に関わった沢山の人達のいろいろな思いが込められていたのだろう。

ゴジラの逆襲

2014年08月02日 | ムービー
『ゴジラの逆襲』(1955年/小田基義監督・円谷英二特技監督)を見た。
物語は、「大阪に本社を置く"海洋漁業KK"の魚群探査機パイロット・月岡正一(小泉博)は、エンジン不調により岩戸島付近の海上に不時着した同僚・小林弘治(千秋実)の救助に向かった。小林は不時着後、無事に島へと上陸していたが、救助の際、2人は島で巨大怪獣のゴジラとアンギラスが戦っている様子を目撃する。1年前、芹沢大助博士(平田昭彦)が開発した"オキシジェン・デストロイヤー"によって死んだはずのゴジラだったが、"水爆実験が続けて行われるとしたら、ゴジラの同類がまた現れるかもしれない・・・"との古生物学者・山根恭平博士(志村喬)の不安が的中してしまい、ジュラ紀の巨大生物が再び蘇ったのだ。後日、レーダー探査によって、紀伊水道のはるか南方に潜むゴジラの姿が捉えられ、田所博士(清水将夫)はゴジラが紀州および紀伊水道沿岸に上陸すると予想したのだが・・・」という内容。
この作品の5ヶ月前に劇場公開された『ゴジラ』(1954年/本多猪四郎監督)が空前の大ヒットを記録したことから早速作られた続編とのことだが、第3作『キングコング対ゴジラ』(1962年/本多猪四郎監督・円谷英二特技監督)の劇場公開がこの7年後のことだったということは、本第2作はさほど好評を得られなかったということだったのだろうか。
1955(昭和30)年7月に設置された航空自衛隊を意識したようで、前作では描かれなかったゴジラ攻撃チームの人間関係が、月岡と小林のかつての軍の上官・寺沢隊長(恩田清二郎)や同僚・田島隊員(土屋嘉男)を登場させることによって描かれているのだが、月岡が航空自衛隊のジェット戦闘機に乗り込んでチームの一員になってしまうのが凄い。
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また、大阪のあと再びゴジラが現れたのは、北緯53度東経148度の地点にある"神子島"という架空の離島だが、どうやらその位置は日本の領海内ではないらしいものの航空自衛隊機は躊躇なく山にミサイルを撃ち込む。
釧路なのか小樽なのか判然としない場所が舞台となっていたり、この辺りの舞台設定は随分といい加減だったようだ。
(^_^;)
特撮技術のパイオニア・円谷英二氏に"特技監督"という肩書きがついていたが、地下鉄の駅内に川水が流れ込む場面は素晴らしく良く出来ていると思った。