仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

原子怪獣現わる

2016年10月19日 | ムービー
『原子怪獣現わる(原題The Beast from 20,000 Fathoms)』(1953年/ユージーン・ルーリー監督/アメリカ)を見た。
物語は、「アメリカの研究者達は北極圏に位置するバフィン湾の北で核実験を実施した。極寒の中、研究者のトム・ネズビット教授(ポール・クリスチャン)とジョージ・リッチー(ロス・エリオット)は軍の雪上車で氷原の観測ポイントに向かったのだが、2人は古代に生息していた恐竜のような巨大生物を目撃する。吹雪の中、リッチーは行方不明。何とか救助されたネズビットは、治療のためにニューヨークのハートリー病院に緊急搬送された。恐竜を見たという彼の話には誰も耳を貸さず、精神科医の診察を受けるはめになったネズビットだったが、グランドバンクスにおいてカナダの漁船が襲われ、船長が恐竜を見たと言っているとのニュースを聞き・・・」という内容。
"核実験の影響で出現した巨大生物が現代の人間世界に脅威をもたらす"という設定が"ゴジラ"と共通するのだが、こちらの作品は『霧笛(The Fog Horn)』(レイ・ブラッドベリ原作)という短編小説を元に発想された物語のようで、特撮部分はレイ・ハリーハウゼン(1920~2013年)氏が担当しているのだが、彼も『ゴジラ』(1954年/本多猪四郎監督)の円谷英二(1901~1970年)氏と同様に"特撮監督"という立場では表記されていないようだ。
核実験の影響で出現した巨大生物は爬虫類や昆虫が放射能の影響で巨大化したものではなく、氷塊に閉じ込められていた恐竜が蘇ったものということだが、現実社会だと、氷河が融けてマンモスの死体が当時の姿のままで現れるくらいのことは起きそうだ。
(^_^;)
街中の建築物を容赦なく叩き壊していく巨大生物を脅威として描いているのは当然なのだが、(二次的に出現した脅威であったとはいえ)はるか昔の"ウィルス"が現代の人間に脅威をもたらすという展開にもなって、その部分は当時としてはおそらく斬新だったのではないかと思った。
ただ、あくまでも"巨大生物"が主役の物語なので、そこを掘り下げていかなかったのはもったいないような気もしたが、そこは仕方がないところだろう。
「核実験をやるたびに新時代の第一章だと思っている」と言う科学者もいれば、「旧時代の終章でなければいいがね」という科学者も登場したりして、"核"の存在というのは当時のアメリカでも複雑な位置にあったものなのだろうかと思った。