仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

プーサン

2017年06月20日 | ムービー
『プーサン』(1953年/市川崑監督)を見た。
物語は、「補修学校(予備校)の講師をしている野呂米吉(伊藤雄之助)は、8年前に奥さんを亡くし、今は税務署吏員・金森風吉(藤原釜足)の家に間借りしているのだが、その娘・カン子(越路吹雪)に好意を寄せている。銀行勤務のカン子は無類のガンコ娘で、同僚より先に帰宅したくないと連日の残業続き。学校経営者の土建屋(加東大介)から時間外勤務を強いられても文句ひとつ言えないような米吉には興味がなかった。米吉は生徒の古橋三平(山本廉)の誘いにのってメーデーに参加したのだが、そこで・・・」という内容。
米吉は見るからに覇気がない男で、疾走するトラックをよけ損なって転び、右手をくじいた際も、授業中、代わりに黒板の文字を書いた泡田(小泉博)に金を請求され、その通りに支払うような頼りなさだ。
また、腕の治療に近所の病院を紹介された際も、内科医・手塚(木村功)の聴診器を使った診察を受け、「腕はいつ見てくれるんですか?」と終わって服を着てから訊ねる。
これは、どうにもずれている・・・。
(^_^;)
その手塚医師に関わるエピソードは酷かった。
あまりに忙しいからと弁当を食べながら患者の話を聞くというのも無茶苦茶だが、東大理学部の学生(平田昭彦)だというその患者は他の病院で結核と診断されが、アルバイトのため健康体だと書いた診断書がほしいのだという。
"アルバイト→本採用→給料確保→健康保険加入→治療"というのがその学生が描いたスケジュールらしいのだが、「その間に人に感染したらどうするんだ!!」と怒鳴られる。
そりゃそうだ。
あまりに自分勝手すぎる。
米吉とカン子のデート先は何故か日劇ミュージックホールでのストリップ。
開場一周年記念公演"桃源の美女たち"だ。
(^。^)
周囲の客がカップルだらけという演出に驚いたが、当時はストリップをデートコースに入れるというのもありだったのだろうか。
(^_^;)
出演していたのはマリー松原という人らしいのだが、"桃源の美女"というよりは"ジャングルの野獣"という感じだった。
銀座を行き交うクルマを避けながらスイスイと向かい側へ渡りきるカン子に対して、なかなか渡れない米吉。
2人の性格が良く表れていた場面だった。
調べてみると、1950(昭和25)年7月から1953(昭和28)年12月まで毎日新聞夕刊に連載された4コマ漫画が原作であり、映画化されるほどの人気だったのだというが、流石に時代が古すぎることもあって知らなかった。

海底軍艦

2017年03月26日 | ムービー
『海底軍艦』(1963年/本多猪四郎監督・円谷英二特技監督)を見た。
物語は、「落盤対策の専門家である土木技師の誘拐が相次いだ。最初の被害者・進藤(伊藤久哉)の誘拐事件に関する現場に居合わせたカメラマンの旗中進(高島忠夫)と助手の西部善人(藤木悠)は、誘拐に使用され海に沈んだタクシー(盗難車)を引き揚げた際、直前に蒸気人間を見たと証言するものの、警視庁の伊藤刑事課長(小泉博)は信じない。一方、雑誌『実話之友』記者・海野魚人(佐原健二)を名乗る男が、光國海運の重役、元日本海軍技術少将であり特別設計班班長・楠(上原謙)を訪ね、潜水艦イ号403の艦長だった神宮司八郎大佐(田崎潤)が実は生存していて極秘任務に当たっているのではないかという"海軍の謎"について取材を求めるのだが、サイパン沖で戦死したとされる大佐は楠の秘書・神宮司真琴(藤山陽子)の父親とのこと。そして、取材の直後、2人はムウ帝国工作隊員23号(平田昭彦)により誘拐されようとするところを・・・」という内容。
約1万2000年前に一夜にして海底に沈んだというムウ帝国の子孫が海底で生き延びていて、かつて植民地だった地上世界の国々に対し、ムウ帝国皇帝陛下(小林哲子)に世界を返上しろと迫るという展開になるのだが、なかなかに面白い。
(^_^)
世界最高性能を誇る原子力潜水艦レッドサタン号が水深3,600フィート(約1,097メートル)で圧壊爆発したのを尻目にまだまだ水中降下し続けるムウの潜水艦。
地熱をエネルギー源とする海底世界や深海の水圧にも耐えられる耐圧服は、地上人よりも優れていると自負するムウの人達のよりどころなのだろう。
日本の無条件降伏から20年が経過してなお"帝国海軍の復興"を目指し海底軍艦を開発し、世界的見地に立てとの言葉に耳を貸そうとしない旧軍人達が登場するのだが、何だかムウ帝国の人達と変わらないような気がするし、「世界は変わったのだ」という楠に対し、「海底軍艦で世界をまた変えて見せます」と言うに至っては、"戦争キチガイ"、"愛国心という錆びついた鎧を着続けている亡霊"と言われても仕方がないところだろう。
(^_^;)
調べてみると、原作は『海島冐險奇譚 海底軍艦』(1900年・明治33年/押川春浪著)というSF小説らしいのだが、内容はマッタクの別物とのことである。
ちなみに、原作は"青空文庫"で読めるらしい。
なかなかに興味深い作品だった。

ゴジラの逆襲

2014年08月02日 | ムービー
『ゴジラの逆襲』(1955年/小田基義監督・円谷英二特技監督)を見た。
物語は、「大阪に本社を置く"海洋漁業KK"の魚群探査機パイロット・月岡正一(小泉博)は、エンジン不調により岩戸島付近の海上に不時着した同僚・小林弘治(千秋実)の救助に向かった。小林は不時着後、無事に島へと上陸していたが、救助の際、2人は島で巨大怪獣のゴジラとアンギラスが戦っている様子を目撃する。1年前、芹沢大助博士(平田昭彦)が開発した"オキシジェン・デストロイヤー"によって死んだはずのゴジラだったが、"水爆実験が続けて行われるとしたら、ゴジラの同類がまた現れるかもしれない・・・"との古生物学者・山根恭平博士(志村喬)の不安が的中してしまい、ジュラ紀の巨大生物が再び蘇ったのだ。後日、レーダー探査によって、紀伊水道のはるか南方に潜むゴジラの姿が捉えられ、田所博士(清水将夫)はゴジラが紀州および紀伊水道沿岸に上陸すると予想したのだが・・・」という内容。
この作品の5ヶ月前に劇場公開された『ゴジラ』(1954年/本多猪四郎監督)が空前の大ヒットを記録したことから早速作られた続編とのことだが、第3作『キングコング対ゴジラ』(1962年/本多猪四郎監督・円谷英二特技監督)の劇場公開がこの7年後のことだったということは、本第2作はさほど好評を得られなかったということだったのだろうか。
1955(昭和30)年7月に設置された航空自衛隊を意識したようで、前作では描かれなかったゴジラ攻撃チームの人間関係が、月岡と小林のかつての軍の上官・寺沢隊長(恩田清二郎)や同僚・田島隊員(土屋嘉男)を登場させることによって描かれているのだが、月岡が航空自衛隊のジェット戦闘機に乗り込んでチームの一員になってしまうのが凄い。
(^。^)
また、大阪のあと再びゴジラが現れたのは、北緯53度東経148度の地点にある"神子島"という架空の離島だが、どうやらその位置は日本の領海内ではないらしいものの航空自衛隊機は躊躇なく山にミサイルを撃ち込む。
釧路なのか小樽なのか判然としない場所が舞台となっていたり、この辺りの舞台設定は随分といい加減だったようだ。
(^_^;)
特撮技術のパイオニア・円谷英二氏に"特技監督"という肩書きがついていたが、地下鉄の駅内に川水が流れ込む場面は素晴らしく良く出来ていると思った。