仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

緯度0大作戦

2017年02月26日 | ムービー
『緯度0大作戦』(1969年/本多猪四郎監督・円谷英二特技監督/日本・アメリカ)を見た。
物語は、「1969年、春。東経180度、緯度0の南太平洋上で日本の海洋観測船ふじより水中降下した潜水挺No,4は、クロムウェル海流の調査を行っていた。12時間後に回収されるはずだったが、突然の海底火山の爆発によりワイヤーロープが切れ、海底峡谷に投げ出されてしまう。乗員の物理学・海洋学の権威・田代健博士(宝田明)、地質学者ジュール・マッソン博士(岡田真澄)、トランスグローブ通信社ペリー・ロートン記者(リチャード・ジャッケル)の3人は気を失っているうちに、謎の潜水艦アルファ号に救助され、マッソン博士の緊急手術のため、深海都市・緯度0に向かったのだが・・・」という内容。
アルファ号は随分と大きな潜水艦だが、相当に自動化が進んでいるらしく、乗員はクレイグ・マッケンジー艦長(ジョゼフ・コットン)以下、アン・バートン医師(リンダ・ヘインズ)、甲保(大前均)のわずか3人。
アルファ号を襲ってくるマリク(シーザー・ロメロ)所有の潜水艦クロサメ号の指令所が艦長・黒い蛾(黒木ひかる)、陳(黒部進)ら乗員でひしめき合っている様子とは随分と違ったのだった。
潜水艦アルファの就航は1805年6月21日らしいし、マッケンジー艦長は204歳だという。
随分と突拍子もない設定なのだが、緯度0には世界中から集まった科学者達がたくさんいて、進んだ理論や優れた技術を駆使して、何か別の世界を作り上げたということなのだろう。
金は海水から抽出しているということだし、ダイヤモンドも研磨くらいにしか使わないという。
満ち足りた人間社会は、装飾品などにはこだわりをもたない新たな価値観が生まれてくるようだ。
マッケンジー艦長が204歳だと知ったロートンが、「バートン医師はいくつなんですか?」と尋ねると、艦長は「緯度0でも女性の歳は聞かないのが礼儀でね」と答える。
なかなか洒落た台詞もあったりして、面白い作品だった。

ゴジラ

2014年11月06日 | ムービー
『ゴジラ』(1954年/本多猪四郎監督)を見た。
物語は、「太平洋を航行中の貨物船や漁船の沈没事故が相次いだ。筏で大戸島に流れ着いた漁師の証言から、古老は島の伝説に伝わる怪物"ゴジラ"の仕業ではないかと話す。やがて、暴風雨の夜に巨大な生物が島に上陸し、家屋が破壊され、住民や家畜が襲われた。政府公聴会で未知の生物の仕業とする証言が次々と出され、古生物学者・山根恭平博士(志村喬)らによる調査団が結成された。毎朝新聞の記者・萩原(堺左千夫)、南海サルベージKK所長の尾形秀人(宝田明)ら同行者を含む一行は、上陸後、壊滅した村の一部だけにおびただしい放射能反応を確認し、残された巨大な足跡からはジュラ紀の古生物を発見した。その時、不気味な足音が鳴り響き、山の向こうから・・・」という内容。
この『ゴジラ』は日本における初の怪獣映画で、劇場公開は今から60年前の昭和29年11月3日だったようだ。
本作の5ヶ月後には早速続編『ゴジラの逆襲』(1955年/小田基義監督・円谷英二特技監督)が製作される等シリーズ化され、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年/北村龍平監督)まで全28作品が作られるに至った。
シリーズ化され沢山の映画が作られた中で、ゴジラの顔つきは随分と変わっていったように思うが、この第1作のゴジラの顔つきは何だか左右が非対称なように見えて不気味だ。
ジュラ紀から現代まで生き長らえていた古代生物が水爆実験の放射能を大量に浴びて巨大化したという設定だから、あえてそのようにいびつな部位を作ったのだろうか。
とても迫力があるテーマ音楽の作曲は、日本を代表する作曲家の一人だという伊福部昭(1914年~2006年)。
北海道釧路町(現釧路市)で生まれ、音更村(現音更町)で育った彼は、北海道帝国大学(現北海道大学)農学部卒業後に勤務した帝室林野局北海道林業試験場(札幌市)でレントゲンを使った木材の研究に携わるが、連日放射線を浴びて病に倒れたという。
『NHKアーカイブス/あの人に会いたい』(File No,398)では、「突然血が出てきて医者に診てもらったら、"そんなことやってたんだ。それは放射線だ"と。一年間静養して。一生何か引いているようですけど。静養中に音楽の道で生きることを決めた。放射能というものに対してちょっと特殊な感情をもっている」等とコメントが紹介されていた。
劇中、夜間のゴジラの襲撃によって壊滅状態となった東京。
住む場所を失い、家族も殺された山田新吉(鈴木豊明)の「ちくしょう・・・ちくしょう・・・ちくしょう・・・」という台詞が何ともいえない無念さを現していた。
戦争で片目を失ったあと、山根恵美子(河内桃子)との婚約を破棄して自宅地下の研究室にこもり続ける科学者の芹沢大助(平田昭彦)など、この映画の登場人物には、伊福部を含めて、製作に関わった沢山の人達のいろいろな思いが込められていたのだろう。