血統クリニック再掲~桜花賞

2014-04-13 15:59:58 | 血統クリニック

ハープスター
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104000/
母母ベガは桜花賞とオークスに勝ち、アドマイヤベガやアドマイヤドンを産んだ名繁殖。トニービン×Northern DancerでHyperion4・6・6×5、一方でMoonscapeがTom Fool×Bold RulerでBull Dog3×4にAlpoise≒Outdone3×4(Laughing Queen=PompeyとPennant≒Pink DominoとBen BrushとMeddler)なので、「米血Moonscapeを1/4異系にし、残りの3/4でHyperionとNasrullahをクロス」というトニービン産駒の王道配合でもある。
そこにファルブラヴが配されたのが母ヒストリックスターで、ファルブラヴは母父Slewpyを1/4異系とする「3/4欧,1/4米」の配合形だから、ヒストリックスターは「3/4欧,1/4米」の父母の配合ということになり、またHyperionクロスのベガに5代アウトのファルブラヴをもってきた「緊張→緩和」のリズム。自身はNorthern Dancer3×3、Bold Ruler7×5、Specialとトニービンを通じるHyperionとNasrullahとFair Trialのクロスとごく普通だが、ベガとFairy Kingの血脈構成を押さえた配合にはなっている。
そこにディープインパクトが配されたハープスターは、「母父がNorthern Dancer系のマイラーで(ファルブラヴはJCに勝った中距離馬だが種牡馬としてはFairy King的なマイラー資質を特に牝駒に強く伝えている)、母がNorthern Dancerのクロス」という、桜花賞で勝ち負けするディープ牝駒の典型のような配合パターンになった。またウインドインハーヘアはNorthern Dancer+Turn-to+Hyperion+Fair Trialという血脈構成だから、ウインドインハーヘアとFairy Kingとベガを通じてNorthern DancerとHyperionとNasrullah≒Royal ChargerとFair Trialの組み合わせをクロスしつつ、サンデーの米血を1/4異系的に使った配合形でもある。思わず膝を叩いてしまうようなニアリークロスがあるとか、近い世代に凄い全きょうだいクロスがあるとか、そういう特筆すべき仕掛けは見当たらないが、ファルブラヴの母系のどうでもいいところはあまりいじってないし、ディープとFairy Kingとベガから引き出すべき資質は引き出した、ピントの合った配合と言っていいだろう(このあたりはブログでも突っ込んで書いておきました)。
Fairy Kingの影響が強いマイラー体型と肉付きの良い480キロ近い馬格を誇るが、体質はディープ譲りで柔らかみもある。当初“女スズカフェニックス”と命名していたのはそのあたりだが、ファルブラヴ牝駒によくいるガーッと行く気性ではなく、ゲートが開いても出て行かないので自然とあの位置取りに。川田という乗り役の唯一の弱点が馬へのあたりの強さで、敏感な牝馬を繊細なタッチで御すのが巧いほうではないから、この図太い性格は頼もしい。リーディングを突っ走る今年は特に思い切りの良さ目立ち、判断力や胆力で勝ちきったというシーンを何度も目にしているが、チューリップ賞もまさに腹を決めた大外一気だった。やはり当たりが強かったアンカツさんは、「斬れる牝馬は得意ではない」と言いながらもブエナビスタやマルセリーナで肝の座った追い込みを見せてくれたが、メリハリつけて乗ったほうが勝ち味があるのが外回り桜花賞でもある。体型的にオークスとなると多少なりとも割り引く必要があると思われるので、ここは決めたいレースだろう。ルメールやユタカやノリや戸崎のようには乗れないが、直線で外に持ち出せれば届くと信じて、それで届かなければ俺が怒られればいいんだと腹を決めて、今の川田ならアンカツさんのようには乗れると思う。ハープスターの爆発力と川田の胆力、これが今年の桜花賞の最大の見どころに違いない。

フォーエバーモア
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103499/
ジャスタウェイと同牝系で、4代母Blue BurstがもつBlue Gay≒Revoked1×2(Blue LarkspurとSir Gallahad)、その娘Blue DoubleがもつBalladier≒Blue Larkspur4×3・4がこの牝系の活力の源。そこにSon-in-Law系のアウトサイダーでDominoなどの米血を一切持たないSir Wiggleが配され、Unbridledと3/4同血でAspidistra4×3、Rough'n Tumble4×4をもつPentelicusが配されたのが母エターナルビート。エターナルビートの血統表の3/4にはSir Gallahad=Bull DogやBlue Larkspur≒BalladierやMan o'Warの組み合わせが強力なニアリークロスで詰め込まれ、一方でSir Wiggleだけはこれらの血と全く無縁で、この最高にメリハリのきいた「3/4米,1/4欧」の配合形だけで名繁殖の資格ありと断言できる。おまけにクリスタルC2着など競走馬としてもオープン級のスピードとパワーを見せたのだから、これまで大物が出なかったのが不思議なぐらいの繁殖牝馬だ。
クイーンCはスローになって行きたがったが何とか番手で我慢、直線はゴール前200mまで持ったままで追い出しを我慢し、そのわりには突き放せなかったというべきだが、典型的な「サンデー×ミスプロ」的体質でしなやかさで走る馬だけにスピードの乗りはゆったりで、だからあそこからもう1F叩き合っても後ろと同じ脚で伸びつづけたはず。体質も後肢のつくりもネオユニ産駒のスタンダードとはかなり異なる馬で、ベストは外1800mだろうがマイルにも2400mにも対応可能。好位で流れに乗れるし追って渋いし、最後まで叩き合いに加わったJFも掛け値なしの内容で、ここも好走は間違いないし掲示板の真ん中より前にくるのもほぼ間違いないだろう。ただ過去7年の外回り桜花賞は4角10番手以降の差しが5勝で、先行して勝ちきったのはダイワスカーレットとアパパネだけ。この2頭に比肩するほどの名牝かとなると、こちらに◎を打つのは少し躊躇われる。

レッドリヴェール
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104324/
Haloと同じCosmahにさかのぼる牝系。ステイゴールドにSir Gaylordが入った420キロの牝馬となるとナスキロ柔いが非力なイメージだが、母父Dixieland Bandはその母がAlibhai3×4、Hyperion4×4・5で、母母がDetermineとHeliopolisを通じる「HyperionとSwynford」の組み合わせのクロスだから、ここがLady Angelaの「Hyperion,Tracery,Swynford」と脈絡してデインヒルのように頑強さを補えるNorthern Dancer血脈といえる。
だから小柄でも非力なところは全く感じさせず、函館の極悪馬場に足を取られながら抜け出したり、阪神の急坂で加速できる頑強さがある。3連勝はいずれも僅差で、勝負強さと我慢強さも特筆もので競走馬としての性格が素晴らしい。ただ血統・体型・走りをすり合わせていくとナカヤマフェスタとかアクシオンに近いところに着地点はあるように思うし、JFは前にフォーエバーモア、後ろにハープスターを見ながら戸崎が最高のタイミングで仕掛けて最高のタイミングでゴールにねじ込んだという勝ち方で、マイラーとしての爆発力で勝ったというような内容ではなかった。桜花賞かオークスかと言われれば、やっぱりオークスで重い印を打ちたい馬ではある。JFのように馬体を併せての追い比べになれば中距離馬としての我慢強さと勝負強さでまた勝ちきってしまうかもしれないが、今回はハープは大外一気で爆発力に賭けてくるだろう。道悪は巧者というよりは我慢強くこなすので、馬場は渋ったほうが相対的なプラスは大きい。あとぶっつけになったように、馬体維持にまだ問題が残る現状も“3強”の中では割り引き材料といえる。

シャイニーガール
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101162/
母母ディクターガールはスワンSの勝ち馬で、サッカーボーイと同じディクタス×ノーザンテーストだが、Wild Risk系Wordenの3×4をもつだけに燃えやすい気性で、我慢強いレースができず短距離を一気に差すような競馬で好走した。このWordenの母父Sindの牝系を辿るとPretty Pollyの全妹Mirandaに辿り着くので、Worden3×4、ノーザンテーストのLady Angela3×2、そしてDonatelloとThe CobblerからPretty Pollyの血を計6本引いている。繁殖としてはスピードよりスタミナや底力を伝えるタイプだろう。そこにミスプロ×Tom Foolの米血アフリートが配された母ブライティアガールは全くのアウトブリードでダ短距離で3勝。そこにディープインパクトの全兄ブラックタイドが配された本馬は、Northern Dancer5×5、Halo≒Sir Ivor≒Venetian Jester3・5×4、他にWild Risk7×6・7や「HyperionとFair Trial」の組み合わせのクロスも薄く持っていて、全体にまとまった配合といえるが、ウインドインハーヘアとディクターガールが持つ重厚な良血が、ブラックタイド×アフリートという字面以上の地力や底力を担保している配合だ。
アフリート譲りの揉まれ弱い性格で、エルフィンはスローで逃げてオイデオイデの楽勝、大外枠の紅梅は大外から目立つ伸びで追い込んだが、内枠で揉まれたチューリップとつわぶきは直線で馬群を割って前に出ようという意思が感じられなかった。京都にしか実績がないのはそういう展開的な巡り合わせで、坂が応えるタイプではないだろう。ブラックタイドにしては体質はソコソコ柔いしWild Risk的な斬れも兼備していて、阪神外マイルも条件としては悪くない。チューリップはあえて押さえる競馬を試したようだが、馬群の中では走る気を出さないことがハッキリしただけに、ここは逃げるか大外一気か、枠順次第だろうがいずれにしても極端なレースになるだろう。外回り桜花賞は行くか追い込むかメリハリつけて乗ったほうがハマりやすいし、今年は3強が抜けて強いので▲が回せないが、大駆けの魅力という点では限りなく▲に近い存在。

ペイシャフェリス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102351/
母母FelicityはゴールデンダフォディルS(英G3・芝約2000m)勝ち馬で、Sharpen Up×Sadler's Wellsの組み合わせからハイインロー的な粘着力を受け、その母Las FloresはNantallah≒Nashua4×2だからここからはパワーを受け継いでいたと想像できる。そこにGreen Desert産駒のマイラーCape Cross(ロジユニヴァースやライザンの母父)が配されたプレザントケイプは不出走。Northern Dancer4×4のクロスを持ち、スピードとスタミナのバランスがとれていてアウトサイダー血脈も適度に取り込み、引き出しは多そうな繁殖牝馬だ。
そこにスペシャルウィークが配されたのがペイシャフェリスで、クロスはノーザンダンサー5×5・5、マルゼンスキーとGreen Desertを通じるNorthern DancerとTom Fool≒AtticaとWar AdmiralとLa Troienneのクロスで、このマルゼンスキー≒Green Desertのニアリークロスにはやはりスペシャルウィーク×Green Desertのスイートマトルーフやデザートストーリー×アフリート×マルゼンスキーのナムラフューチャー(ダ1700mで3勝)などがいる。スペシャルウィーク×Green Desertの場合はHalo≒Sir Ivorのニアリークロスにもなるので、Halo的Tom Fool的な機動力型のスピードがONになる確率は高いだろう。ペイシャフェリスの場合は母母のところにRed Godが入ってHalo≒Sir Ivor≒Red God3×5・7でもあり、母方の影響が強いマイラー体型でHalo的Tom Fool的な脚捌きで走り「HyperionとFair Trial」的な粘着力も兼備していて、先行力と機動力に富み少し上がりがかかるレースに向くマイラーというべきで、アネモネは条件が全て揃っての完勝だったといえる。それまでも◎を打ち続けてきたようにけっこう評価してきた馬ではあるのだが、東京戦が上がり11.2-11.6、菜の花が上がり11.5-11.5、こういうレースではハッキリ鋭さ負けしてしまう。上がり12秒のマイル戦では2戦2勝だから、阪神外マイルよりは中山マイルのほうが機動力が活きる気はするが、地力はなかなかのものがあるので、先行馬総崩れの中この馬だけは掲示板に残っていた、というような力走は期待していいのではないか。母父Cape Crossは芝稍[1.2.0.3]重不[1.0.0.2]、不良の1勝はロジユニヴァースのダービーだが、掻き込む走りからも馬場が渋るのはプラスだろう。

マーブルカテドラル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104414/
母ヘルスウォールは旧阪神(現内回り)のチューリップ賞を逃げ切った馬で、その半姉に函館3歳S(逃げ)とデイリー杯(番手)で2着したサラトガビューティがいる。その母サラトガフラッシュはBold Ruler×Turn-to×Native Dancerという典型的な北米血統だが、Promised Land≒Darlin Patriceの3/4同血クロス3×3を持ち、両者の母であり母母であるMahmoudessはMahmoudの娘でThe Tetrarch4×4を持つので、字面よりは芝向きのしなやかさを伝える繁殖牝馬だった。3代母Solo Hainaの子孫にオペラ賞(仏G1・芝2000m)のTerre a Terreが出る。
このPromised Landはサンデーサイレンスの母父Understandingの父でもあるから、ヘルスウォールにサンデー系種牡馬を配するとPromised Land≒Darlin Patrice5×5・5になるわけだが、このパターンで父フジキセキとの間にNZT3着、スプリングS4着のアサクサダンディが出ている。マーブルカテドラルは父がダイワメジャーなのでこのクロスは同じだが、母はSeattle SlewとBold Bidderを通じるボルキロのクロスで、細身で脚長で直飛で斬れも感じさせる走りはこの影響もあるだろう。その体質体型のわりにストライドが伸びず手先の軽さでサッと加速できるのはBold Ruler的というべきで、それはこの牝系の持ち味である機動力や先行力とも重なる部分だ。全体としては“忍者走法で小回りもきくエクセラントカーヴ”というイメージか。デビュー当初は折り合いに難しいところがあり徐々に差しに脚質転換されていったが、折り合いさえつけば先行も好位差しも追い込みもOK、小回りを捲る芸当も外回りを差す芸当もできる。ほんとに何でもできる馬で、だからこそ(仕上げの甘かったアネモネと引っかかった新潟2歳を除けば)格下の相手に取りこぼすことなく勝つべきところはきちんと勝ちきってきた。ただ有力馬前後に見る形で追い出して一瞬いい脚で反応したものの追い比べで完敗したJFをみると、外マイルでの爆発力や持続力で3強を凌ぐものはない。コパノリチャードの戴冠やカレンブラックヒルの復活をみても、ダイワメジャーが斬れや瞬発力で勝てるのはG2までで、やっぱり前々でゴリ押ししてナンボという気もする。となると、一発あるとしたらスローを前々で立ち待って加速の速やかさやレースの巧さを活かしきったときではないかと思うのだが、今年は先行勢のメンツからして緩んだラップにはならないだろう。叩いた上積みは少なからずありそうだが、完調でもJF以上を望めるかとなると、その材料はちょっと見当たらないというのが正直なところ。

ヌーヴォレコルト
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104201/
母オメガスピリットは芝1200mで3勝をあげたスプリンターで、その半姉にファンタジーS2着、現阪神JF3着のゴッドインチーフがいる。その母ファーガーズプロスペクトがDanzig系×ミスプロ系でNative Dancer5×4・4で、開花の早いスピード型が出る牝系と言えるだろう。母父スピニングワールドはNureyevの代表産駒で欧米のマイルの大レースを勝ちまくった。そこにハーツクライが配された本馬も体型やスピードは母方のマイラー資質が強いが、ハーツクライやNureyev譲りのHyperion的体質も強く、こうやまきのように前で受けて踏ん張るレースもできる、というより前受けで粘る形がベターだろう。能力的にはアドマイヤビジンと五分ぐらいの評価でいいと思うが、鞍上も含めた引き出しの多さのぶんこちらを少し上にみたい。馬場が渋るのはプラスだろう。

アドマイヤビジン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101543/
3代母ミヤマポピーはタマモクロスの半妹でエリザベス女王杯勝ち馬。クロフネ×ゴールドヘイロー×サンダーガルチというダートに適性が高そうな累代で、母がMr.Prospector4×4にNative Dancer4×5、自身はNative Dancer≒Icecapade4・5×5・6。イメージは「ミスプロが多いので脚長で緩慢になったフサイチリシャール」で、外回り向きのマイラーだがパワー型なので時計や上がりがあまり速くなると辛い。紅梅Sは超スローなので上がりの数字は速いが、鋭く斬れたというよりは位置取りと仕掛けのタイミングの勝利というべきで、こうやまきの内容からも外マイルならヌーヴォレコルトと五分の評価でいいか。このメンバーをまとめてズバッと差すほどの脚はないから、何か恵まれないと馬券圏内は難しそうだが、おそらく今までどおりの中団以降からの差しで、何かに恵まれる絵があまり描きづらい。

レーヴデトワール
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104124/
すみれは超スローでずっとかかり気味(あれが川田の唯一の弱点)、脚をなし崩しに使ってしまったようで直線は反応できなかった。しかしこれを除くと内回りでは[2.0.0.0]で外回りでは[0.0.0.2]。レーヴディソールやレーヴドリアンの3/4妹で兄姉はみんなストレッチランナーでこのも体型に伸びはあるし体質に柔らかさもあるのだが、母父に入るNever Bendの血がマイニングのラトロパワーをONにしてしまったようで、肩が立っているのでストライドを伸ばして走れない。内回り向きの鬼っ子に出たのはそのあたりだろう。道悪が巧そうな走りなので、外回り適性が関係なくなるぐらい馬場が悪化すれば狙い目も出てくるが…。

ベルカント
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101395/
母セレブラールは全3勝を1200mであげたスプリンター。バクシンオーにナスキロ(Seattle SlewとSir Gaylord)が2本入って柔らかくなりすぎそうな配合だが、ノーザンテーストとVice Regentを通じるNorthern DancerとVictorianaのクロス、クリアアンバー(Bull Lea3×3)とAlydar(母Bull Lea3×3)を通じるBull Leaの継続クロス、そして母系にAlycidonの血が薄いながらも入ることにより頑強さを増すことでバランスをとっていると言える。
フィリーズレビューはハナから行く気はなかったようで好位イン、直線は逃げ馬の内の一頭分のスペースに潜り込んで抜け出してきた。あのレースぶりならば押さえる競馬には何の不安もないが、トモ高で両親のスプリンター資質を強く感じさせる体型から距離延長には不安しかなく、たとえ好位でタメがきいても外マイルの直線で二の脚を繰り出せるイメージが浮かんでこない。

ホウライアキコ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100693/
ヨハネスブルグはStorm Cat≒Narrate(Storm Bird≒Nijinsky,Bold Ruler,Princequilloが共通)のニアリークロス2×3でStorm Catのスピードを強く伝えるし産駒は仕上がりや完成も早い。産駒の代ではこのニアリークロスを緩和する形が望ましく、本馬の場合は母父サンデーサイレンスがNorthern Dancerもナスキロも持たないのがいい。一方で母母ホウライコメットはNorthern DancerにSecretariatにTom FoolだからStorm Catとかなり血脈構成が重なり、自身はMr.Prospector4×4にStorm CatとCatopetlを通じるNorthern DancerとSecretariatのクロスだから、父のニアリークロスを緩和しつつそのスピードを2歳時に完熟させようとした配合といえる。(ここまでフィリーズレビューと同じ)
フィリーズレビューは直線で外からかぶせられて進路がなくなり立て直すロス、そこからジワジワ追い上げていて着順ほど悪いレース内容ではなかった。しかし先行押し切りで3連勝の後、差しに回って2連敗。もともと早熟な血統だけに、スピードと完成度で押しきれなくなってからは伸び悩み…という見方も否定しがたい。牝祖Betty's Secretはセクレトの母でPrincequillo3×3、Nasrullah≒Royal Charger3×3、奥行きのない牝系ではないのだが、3歳春のクラシックで巻き返すためには、ヘネシーの母父Hawaiiとかサンデーの母母Mountain Flowerとか、縁の下でスピードをガッチリ支えられる血が近い世代に一つ欲しかったか。

リラヴァティ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103890/
アダムスピークの3/4妹で、母シンハリーズはデルマーオークス(米G1・芝9F)勝ち。父がゼンノロブロイに替わったがHalo3×4は兄と同じで、ゼンノロブロイ×Singspielはコスモネモシンと同じ。母がナスキロクロスだったネオモシンよりこちらのほうが胴長だが体質は硬い。機動力とパワーと粘りで走る中距離馬で、チューリップ賞はバテずに逃げ粘ったが、外マイルで弾ける脚はありませんという3着だった。ベストは急坂小回りの1800~2000mで、結論としてはアダムスピークやコスモネモシンに近い扱いでいいだろう。外マイルでは低評価を覆すような激走は期待できないように思う。

カウニスクッカ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100155/
母マネーペニーは米4勝、その母My White Corvetteの産駒にBCジュヴェナイルフィリーズなど米G1を5勝したスターダムバウンド(父Tapit)がいる。My White CorvetteはChieftain≒Foolish Pleasureのニアリークロス(Bold RulerとSickle=PharamondとSir Gallahad=Bull Dog)3×3を持つので、機動力に富み開花の早いスピードを伝える繁殖といえるだろう。母父Monarchosはケンタッキーダービー馬で、その母母リーガルロベルタはDynaformerと同血でブライアンズタイムと7/8同血、母父Dixieland BandはHyperionの強いNorthern Dancer系、そして父父Wavering Monarchの母UnComittedはBuckpasser×Better Selfだから、ここはスタミナとパワーが強い。
そこにマンハッタンカフェが配されたカウニスクッカは5代アウトで、RibotやDetermine≒Flower Bowlなどの薄いクロスもあるが、マンカフェの母系に入るBoldnesianがBold Ruler+Sickle+Sir Gallahadなので、Boldnesian≒Chieftain≒Foolish Pleasureのニアリークロス5×5・5と表記できる。おそらくMy White Corvetteの資質が強くONになったBold Ruler的な軽いスピードで走るマイラーで、菜の花ではスローで逃げて上がり11.5-11.5で突き放す楽勝。忍者走法で俊敏で機動力に富むが、非力なタイプではなく急坂もOK。ただアネモネでノリが番手から追い出しを待ったのに反応できなかったのを見ると、外マイルで追って味があるタイプには思えない。やっぱり小回りをフワフワ流れ込む脚質のマイラーなのだろう。

ニホンピロアンバー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102347/
ニホンピロサート、ニホンピロレガーロの甥でニホンピロジュピタも近親。父スウェプトオーヴァーボードはパドトロワやアーバンストリートやプリンセスメモリーなどを出すフォーティナイナー系の短距離型。いつも軽く仕掛けただけでハナを切れる二の脚の速さは特筆ものだが、母はSecretariat≒Sir Gaylord3×5なので柔らかみもある走りで、ハナを切ってからは巧みにラップを落とすような芸当もでき、フォーティナイナー系のガリガリ行くスプリンターという単調さはあまり感じない。JFのように突つかれなければ60秒近いスローに落とすことも可能だと思うが、ここは同型が何頭か出てきたし、1600mに延びるのはハッキリ割り引きだけに、立ち回りの巧さだけで残り目があるかというと…。

コーリンベリー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100069/
父サウスヴィグラス、母母父アジュディケーティングという南関御用達のような血統。母父ミシックトライブはKingmamboの全弟でMr.Prospector×NureyevでNashua≒Nantallahのクロスだからジェイドロバリーやファスリエフとやってることは同じで、中央での産駒の勝ち鞍は芝1勝ダ9勝という記録が残っている。この父と母父と母母父を通じるMr.Prospector4×3とNorthern Dancer5×5・5とBold Ruler5×6。血統どおりダ短距離でスピードを発揮しての3連勝は立派だし昇竜では追って味のあるところも見せており、母母のナスキロクロスと自身のミスプロクロスのぶん父よりは体質がしなやかで、ガリガリ行くだけの馬ではないし距離も1200mよりは1400mのほうが合ってそうだ。とはいっても、1F延長と芝替わりで更にプラスが見込めるか…というとそれはないだろう。昇竜では芝ダッシュがなかなか良かったので、ニホンピロアンバーやペイシャフェリスやカウニスクッカにしてみれば、お前出てくんのかよ勘弁してくれよ…と言いたいのではないか。

ニシノミチシルベ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103729/
桜花賞馬ニシノフラワーの孫で、配合もそこそこ凝った相似配合になっていて悪くない。ただThatch≒ポッセのニアリークロスだからコディーノのように機動力でいきたいのにナスキロ継続クロスから柔らか体質も受けていて、弱点は少ないが機動力にも斬れにも特化できない脚質が、手堅いけれど弾けきれない戦績につながっていると言えるのではないか。ハマったら大物を食えるかもしれない…という武器がないのだ。

フクノドリーム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105841/
ヨハネスブルグ産駒で配合パターンも戦績もホウライアキコに瓜二つで、Storm CatとDanzigの短距離型という体型。無欲でハナを切ったら予想外に頑張りをみせるケースも考えられなくはないのだが、それも1400m以下ならばだろう。

モズハツコイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103111/
クロフネにラストカッティング、ノーザンテーストとHyperion的凝縮を適度に取り込んだ配合といえるが、フレンチデピュティとバクシンオーを通じるVice Regent≒ノーザンテーストのクロスでエノクやベストロケーションのような短距離向き体型をしており、外マイルで上積みは見込めない。

--------

シャイニーガールは新馬戦では4角までは馬群の中にいたが、直線で外に馬がいなくなると突然伸びはじめて差し届いてしまった。そのレースも紅梅も跨っていた幸とすれば、コーリンやニホンピロやカウニスやフクノのハナを強引に叩きにいくよりは、4角までに外に出せる可能性を探る手でくるではないかと思う。今のところ日曜の阪神は降水確率50%、渋れば内からペイシャフェリスが抜け出しかかるシーンがありそうだが、それをフォーエバーモアが捕えて先頭に立ち、それを目標にリッドリヴェールが追い出され、ここまでは阪神JFと同じような絵が描けるが、その更に外から追い込む競馬を川田が貫徹できるならば、良でも重でもハープスターのマイラーとしての爆発力が一枚上だという結論でいきたい。アユサンやマルセリーナよりは弾けると思う。

◎ハープスター
○フォーエバーモア
▲レッドリヴェール
☆シャイニーガール
△ペイシャフェリス 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日曜のボツ予想~3年間、外マ... | トップ | 第74回桜花賞回顧~今年もム... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

血統クリニック」カテゴリの最新記事