血統クリニック~京成杯

2014-01-19 16:04:39 | 血統クリニック

「血統屋」の有料コンテンツ「血統クリニック」では、毎週のメインレースのなかから対象レースを一つ選んで、出走予定馬の血統解説と展望をしています(毎週木曜18時更新)
京成杯はこんな感じです(両重賞の回顧は最終レースが終わったらやります)

アデイインザライフ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103692/
母ラッシュライフはファンタジーSと函館2歳Sで2着。ディープ×バクシンオーというとグランプリボスを長めにしたような柔らか1800m型のイメージだが、母母フレンドレイはデインヒル産駒でNorthern DancerとBuckpasserとハイインローのクロスを持つ名繁殖で、ラッシュの他にもタガノデンジャラスやバアゼルリバーなどを産んでおり、ここがデインヒル的パワーを強く伝えるのでうまくバランスがとれている。「サンデー系のしなやかさ」と「デインヒル系のパワー」という相反する特長体質がうまく噛み合えば、ナカヤマフェスタやフェノーメノやエイジアンウインズやミッキーアイルのような"ちょっと違う馬"をつくることができるのだ。中山内2000mの多頭数を3角からずっと外を回して、軽く仕掛けただけで悠然と抜け出して最後は抑える余裕。一頭だけ別次元のレースをして楽勝だった。馬格は十分すぎるほどあるし体質は柔らかくて強いし、もしかしたらナカヤマフェスタのような中距離馬に完成するかもしれない、“ちょっと違う馬”かもしれない…という奥深さは多分に感じさせる馬だ。

エアアンセム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104182/
母エアマグダラはエアシェイディ、エアメサイアの全妹で、自身も休みがちながら9戦4勝と素質をかいま見せていた。その母エアデジャヴーは中山のクイーンSに勝ちオークス2着桜花賞3着。ブライアンズタイムと同じGolden Trailの牝系で、HerbagerやRibotのスタミナと同時に、Bold RulerやTudor MinstrelやRomanの機動力やパワーも強い。エアシェイディは中山の鬼だったし、エアメサイアは秋華賞勝ち含め内回りでは[3.2.2.0](東京外回りでは[1.2.0.2])、エアデジャヴーの兄エアシャカールも本領は皐月賞の捲りだろう。12月のディセンバーSを好位からきれいに抜け出したエアソミュールもジャンポケ産駒ながら内回り小回りで器用な立ち回りができる馬で、そういう機動力とパワーを脈々と伝える牝系だ。本馬はRoberto父系×Golden Trail牝系という組み合わせがブライアンズタイム的だし、そしてもちろんこの牝系特有の機動力もONになっていて、ブライアンズタイム産駒がBold Ruler的脚捌きで中山内2000mをスルスル抜け出してきたという勝ちっぷり。どうみても中山と阪神の内2000mがベスト。

キングスオブザサン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104272/
母スティンガーは阪神JFなど重賞5勝、その全姉にサイレントハピネス、3/4弟にアーバニティ。チチカステナンゴ産駒は時計のかかるエアレーション馬場が合うようで、ホルボッシュの寒竹賞、リボントリコロールの紫苑S、ピークトラムのひいらぎ賞、エクセンレトビューのフェアリーS、ルファルシオンのホープフルS、このところ中山芝では人気以上の活躍が続いている。母がHalo≒Chieftain2×4で、自身は薄いナスキロのクロス。あまり体型に伸びはないが、柔らかく全身運動できて、無駄のない脚捌きで動きは俊敏。葉牡丹賞で内から抜け出してくるときの躍動感はロゴタイプやジェニュインとダブるものがあったし、時計も文句なし。ただ母系のマイラーっぽさも感じさせる体型なので、細かいことをいうとベストは1800mではないかと思うのだが、同じようにマイラー寄り体型のホルボッシュが葉牡丹を逃げて粘りに粘ったのがまだ脳裏に焼き付いている。おそらく2000mだとスロー希望で、ホルボッシュが抽選ではじかれるようなら(アグネスの単騎スローもあるので)順位上げの方向で考えたい。

ヴォルシェーブ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103789/
リルダヴァルの3/4弟でディープインパクトの甥でゴルトブリッツのイトコ。父が同じモンドシャルナとは3/4同血でもある。そこにネオユニヴァースだから、Halo≒Sir Ivor3×5的機動力と「HyperionとFair Trial」的な粘りで走る中距離馬。リルダヴァルと比較すると距離適性は長めでコース適性は急坂小回りに寄っていて、サンダーガルチの力馬っぽさも受けてちょっと上がりがかかったほうが渋い脚質も似ている。エリカ賞は上がりの競馬になってバンドワゴンに手も足も出なかったが、エアレーション中山内2000mはベスト条件だから、弥生賞のミヤジタイガ的な食い込みは想定しておきたい。ウチパクもエクセンレントビューの騎乗はガッカリだったが、こういう図太い男馬は本来達者な人だ。

ディアデルレイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103964/
ポトリザリスの牝系はいかつい南米血脈だが、Fair Trial~Lady Jurorの薄いクロスも持つだけに牝馬には機動力を、牡馬には粘着力を伝えるようなところがあって、ディアデラノビア~ディアデラマドレ母娘は外回りのスローを回転の速さでビュンと差すが、マゼラン・イグアス兄弟は内回りの長丁場で先行粘り強い。本馬はディアデアマドレの全弟だが牡なのでタイプとしては粘着型で、葉牡丹賞も最後ジワジワ伸びてきたが新馬勝ちのようにもう少し前々で運べればしぶとさが活きる。押さえたいところだが、田辺は初騎乗時は大事に丁寧に乗る傾向があるので、丁寧に差しすぎると掲示板までだろう。

ホルボッシュ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103784/
ブラックエンブレムの半弟でナリタセンチュリーのイトコ。父がチチカステナンゴでクロスがスマートファルコンと同じVaguely Noble5×3だから、典型的なAureole魂の逃げ馬。ハナ切ったらしぶといのは未勝利勝ちをみてもわかっていたのだが、ヘクタープロテクターの影響が強いマイラー体型だから2000mはちょっと長いのではとみてノーマークにしたら、緩みないペースで逃げに逃げて粘りに粘った。これだから気分よく走ったときのAureoleはおっかない…。ピークトラムも母父スペシャルウィークでAureoleのクロスだから、思い切って逃げたらモノサシ馬を脱出できるかもしれない。ただ北宏がガッチリ押さえてジンワリとハナに立ってもあのペースで逃げてしまうのは、やっぱりそれはスピードの乗りがマイラーだからで、1800mならばもっと重い印も回せるが…というところ。この馬が出てくるならスローは考えなくていいだろう。

プレイアンドリアル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105416/
朝日杯は外枠からポジションを取りにいったらカベをつくれず行きたがってしまった。ヒシアマゾンやアドマイヤムーンでおなじみのKatiesの牝系で、叔父に短距離の追い込みで鳴らしたシルクヴェルリッツがいる。母はティンバーカントリー×Danzig×Alydarだからパワー型でダート血統と言ってもいいだろうが、サンデー系×ミスプロ系特有のしなやかな体質とTom Foolクロス由来の無駄のない脚捌きで、大知がむしろ芝向きというほどで力馬っぽさはあまり感じない。「サンデー×ミスプロに大物マイラーなし(例外はラインクラフトぐらい?)」というのが筆者の持論で、それはなぜかというとマイラーとしては柔らかでしなやかすぎる体質になってしまうからで、サイレンススズカもアドマイヤムーンもゼンノロブロイもヴィクトワールピサも、そしてマイルG1を勝ったトーセンラーやサダムパテックやローズキングダムにしても、1600mでうなりをあげるピュアマイラーではない。プレイアンドリアルもそういう体質だからベストは1800mだと思う。

ピオネロ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103833/
母クルソラはコパデプラタインテルナシオナル(亜G1・芝2000m)とエンリケアセバル大賞(亜G1・芝2000m)に勝った3歳牝馬チャンピオン。その父Candy Stripesはバブルガムフェローの半兄で亜リーディングサイアーでペルーサの母父。母父Ahmadは亜年度代表馬で亜リーディングサイアー。そこへネオユニヴァースで全体に粘りとパワーの血が強い配合だが、緩い相似配合で両親の中距離資質を上手く受け継いだようで、体型体質はBlushing Groomが強く、Halo≒Red God3×4の無駄のない脚捌きやWild Risk7×5のナタの斬れも受け、ストライドもソコソコ伸びる。ネオユニ産駒のスタンダートとはちょっと違うタイプだが、機動力と斬れを兼備した弱点の少ない中距離馬で、現時点では"もっさりペルーサ"というイメージか。まだ成長の余地は多分にあるだろう。

ウインマーレライ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105195/
マツリダゴッホ産駒でHalo3×5、Bold Ruler5×6、母がFair Trial7・8×4だから、中山向きの機動力に特化した配合。サンデー系×ミスプロ系の柔らかさもあるが、上がり11.2-11.2を一気に捲ったアスター賞こそ本領だろう。母父Fusaichi Pegasusの母父Danzigの影響も強い体型で、ベストは1800mだと思う。

ラングレー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104097/
ディープ×Storm CatというのはAlzaoとStorm Catを通じるNorthern DancerとナスキロとAttica≒First Roseのクロスなので柔らかな体質がONになりやすい。だから母母のところにはパワーの血が入ったほうがバランスはとれる。本馬の母母MonevassiaはKingmamboの全妹だからパワー型というべきだが、いつも書くようにサンデーとミスプロが出会うと両者のしなやか体質がONになりやすいから、ディープにStorm Catとミスプロを入れたとなるとちょっと柔すぎ緩すぎ体質になるのはやむを得ない。こういう緩すぎるディープ×Storm Catは、ラキシスやヒラボクディープやサトノアラジンやジョングルールのように東京や外回りのスローで直線緩やかに加速して差す、という競馬が一番合っている。今回は中山内2000mだから、東スポ4着以上のパフォーマンスは期待しづらいか。

ショウナンラグーン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102893/
メジロドーベルの孫で父がシンボリクリスエス。母父マンハッタンカフェを胴長にしたような体型でスピードの乗りも緩やかで長いところが合っていそうだが、脚捌きが無駄なく中山内でソコソコ機動力があるのはBoldnesian6×6の影響だろう。上がりがかかれば食い込みの余地はないとはいえないが、今年は例年になくメンバーが揃っただけにここまで印が回らない。

アグネスドリーム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103256/
マンハッタンカフェ産駒で母父がGone West系のマイラーだから先行脚質に出たのは順当。ベストは1800mっぽいので京都2歳のようなスローで逃げられればだが…。

オウケンブラック
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102899/
シェリルにさかのぼるメジロのスタミナ牝系で母父がアサティスと母系は重厚だが、体型は父アグネスデジタル似で父をジリ脚に劣化したような馬だろう。1600~1800mで時計のかかる決着に向いた馬だと思う。

ツクバアズマオー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103985/
ステイゴールドにStorm BirdとVaguely Nobleが入ってノーザンテースト血脈を増幅しているが、母はSeattle SlewとSecretariatとChieftainを通じるボルキロクロスで自身はHalo≒Red Godのニアリークロスだけに、パワー体質になりきれないところが不満。距離延長はプラスだが…。

マイネグレヴィル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105245/
おなじみオカノブルーの牝系で母はマルゼンスキー3×2、そこにブライアンズタイムだから米血パワーで走る中距離馬で、Flower Bowl≒Aureoleのニアリークロスが隠し味。今の中山芝は合っているが、それにしてはホープフルの内容がちょっと物足りない。


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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-01-20 19:46:50
エクセンレトビューではなくてエクセ「レン」トビュー、ですか
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Unknown (MJ)
2014-01-20 20:14:53
すいません今なおしました(^ ^;)
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