【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

株価の変動

2018-02-10 07:25:53 | Weblog

 アメリカで長期金利が上昇したことを理由として株価が急落、そのあおりで日本の株価まで下がってしまいました。これで私は3つのことを思いました。
1)アメリカの株価が下がっても日本の実体経済には変化はないのに、どうして日本まで一緒に株価が下がる必要があるんだろ?
2)これは、日本で金融緩和をやめたら株の大暴落が起きる、ということ? となると「デフレを脱却」したとしてもアベノミクスを終了できなくなるのでは?
3)株価が上がっているときは胸を張って「自分の手柄だ」と主張している政治家は、下がったときには何を言うのかな?

【ただいま読書中】『ビーグル号世界周航記 ──ダーウィンは何をみたか』チャールズ・ダーウィン 著、 荒川秀俊 訳、 築地書館、1975年、1700円

 本書はダーウィンの著書からの児童向けに抜粋・編集された「What Mr. Darwin saw in his Voyage round the World in the Ship "Beagle"」を翻訳したものです。古風な銅版画も豊富に含まれ、良い味の本となっています。講談社学術文庫からも発行されていますが、図版のことを思うと大きい本の方が良いかな。
 まずは南米で出会った動物たち。馬、騾馬、牡牛、犬、猿、グァナーコ(野生の駱馬(らま))、ピューマ、昆虫などが次々登場します。著者はそのどれに対しても、とても楽しそうに描写を続けます。
 次の章は「人類」。最初は「未開人」なのですが、そこのさし絵が「砂漠のライオン」「さい」なのが笑えます。フェーゴ人(グッド・サクセス湾)、インディアン(北アメリカ)、オーストラリアの原住民なども登場します。ダーウィンが人類学者だったら狂喜乱舞だったでしょうが、博物学者・進化論者としては「人も自然にある観察対象の一部分」でしかなかったようです。もしかしたら「文明人」もまたそういった「一部分」でしかなかったのかもしれませんが。実際にこの章には「チリー人」「スペイン人」も登場しますが、それに対する描写の態度は「未開人」とほとんど無差別です。
 地理の章で「チリーの地震」が大きなスペースを占めています。1835年2月20日に著者は大地震を経験してひどく驚きました。この地震によって発生した津波で、チリの沿岸は大きな被害を受けましたが、住民の目撃証言や著者のリアルな目撃談もあります。また、「大地震と火山噴火」の関係についても重要な示唆があります。津波の被害とその土地の近くの海の深さとの関係についての考察を著者がしているのも、鋭い、と感じさせられます。プレートテクトニクスなどについての知識がなくても知性があれば、いろんなものに気づくことができるようです。そして、こういった考察の積み重ねから仮説のブレイクスルーがもたらされるのでしょう。
 進化論で重要な役割を果たしたフィンチは登場しません。ただ、「ダーウィンという人」について、本書から様々なイメージを得ることができました。昔の本でも、子供向けの本でも、読む価値がある本は、読む価値があります。




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